カンテサンス グラン メゾン 東京。 『グランメゾン東京』を監修する「イヌア」と「カンテサンス」の凄さとは

グランメゾン東京6話の鯖のローストはどこのお店で食べれるか調査!

カンテサンス グラン メゾン 東京

パンペルデュというのは、いわゆるフレンチトーストのこと。 卵と牛乳をパンに浸してバターで焼くのがフレンチトーストですが、その卵を雲丹に替えたのがこのアミューズです。 雲丹もタンパク質でできているので、卵と同じように加熱すれば凝固します。 なので卵の代わりに雲丹を使い、さらに牛乳の代わりに海水にしてミキサーにかけ、その雲丹の液を小さく焼いた食パンみたいな形のブリオッシュに浸し、中までちゃんと吸い込ませてからフライパンで焼きました。 出来上がったものは、表面はカリッと焼けていますが、中までは焼かずにトロっとして、しっかりと雲丹の味がします。 僕が考案したのはそこまでだったんですけれど「見た目がちょっと地味だな」自分では思っていたものの、味として完成しているから、何もしない方がいいかなと思っていたのですが、劇中で木村拓哉さんが試作品を作るお芝居の中でご自身でキャビアを乗せたそうで、そのままキャビアを使おうという話になりました。 それを受けて僕も盛り付けの際にキャビアを足して、少し可愛らしくしてみました。 いわゆる木村さんとの合作という作品になりますね。 ブーダンノワールというのは、豚の血を使った真っ黒なソーセージのこと。 フランスではすごく伝統的な食べ物ですが、実を言うとフランス人でもブーダンノワールが苦手で食べられないという方がたくさんいらっしゃいます。 日本人でもお寿司を食べれないという方がいるように、豚の血を使っているのでそれなりにクセがあって、苦手な方がたくさんいらっしゃる料理でもあります。 なので、フランスではリンゴをソテーしたものと一緒に食べるというのが伝統的な食べ方になっています。 クセがあるものなので、フレッシュなものを食べて一度リセットをするような形ですね。 そこで僕はこのブーダンノワールを、「もうちょっと食べやすい食べ方はないか」と思って考案したのがこのお料理です。 最初にパイ生地の上にスライスしたりんごを綺麗に並べて焼き上げ、りんごのタルトを作ります。 そのりんごのタルトの上にブーダンノワールを全部ほぐしてペースト状にし、左官屋さんのように塗っていきます。 そしてそこにちょっとフォアグラも乗せます。 ここで何がしたいかと言うと、先ほど言ったようにブーダンノワールは、すごくクセのある食べ物なので、りんごと一緒に食べるんですけれど、ブーダンノワールと交互に食べていくと、人によって量のバランスが出てくるんじゃないかと思いました。 ブーダンばっかり食べてしまうと「クセが強いなあ」と思ってしまったり、りんごばっかり食べてると「甘くて何だか分からない」となってしまいます。 僕が考えたブーダンノワールは層になっていて、この比率は、僕が思う完璧な黄金比率になっているんです。 どこから切ろうと比率は常に僕が思う完璧な比率。 お客様がどんな食べ方をしても必ず完璧な比率で食べられるというのを目指して作った創作料理です。 以前の鰆もこの焼き方でしたが、今回のハタもやはり同じで、大きな塊でそれを切り分けることによって焼き面の量を減らし、しっかり焼けてはいるけれど、断面には焼き目は一切存在しないので、香ばしさが和らぐと同時に素材の味や香りがちゃんとわかるというのが 一つテーマになっています。 真ん中が半生になっているのですが、これは魚は火を入れすぎると水が出て旨味がなくなってしまうので、完璧な焼き加減を目指すと、こういう焼き方が正しいと思います。 ソースについては、ノワゼットグリエというソースを使っています。 ノワゼットというのは、ヘーゼルナッツのこと。 グリエというのは、香ばしく茶色くなるまでローストしたことを指します。 アンチョビと茹でこぼしたニンニクを合わせてペーストにした後に、それをカリカリになるまで焼いて、その粉末とノワゼットをローストしたものを合わせて絡めたものをソースにしています。 香ばしいナッツの香りがするソースを作ってみました。 最終話は、倫子さんが作った魚料理と尾花さんが作ったマグロの料理の二つを対決させるお話になっているので、どちらの料理も考えなきゃいけないのがとても難しく、さらに最終的には倫子さんが採用されるというバランスがさらに難しく…二つとも料理は完成させるんですけれど、視聴者の皆さんが「ハタの方がいいよね」と思ってもらえるようなものにしなければいけないのが難しかったです。 そもそもマグロをフランス料理で作るというのは非常に難しい。 「マグロだけはやっちゃいけない」と言われてきた食材で、僕も10年以上前からマグロという食材に取り組んできて、結局完成をしたことがなく、「カンテサンス」で出したことはありません。 マグロというのは、それだけ難しい食材です。 日本にはマグロの文化が昔からありますが、僕は特にお寿司が好きなんです。 お刺身も好きですけど、お刺身よりもお寿司のマグロは素晴らしく、マグロというのは寿司になるために生まれてきた魚といってもいいくらい、そのくらいお寿司との相性がよく、料理としての完成度も高いと思います。 僕が言っている「マグロを使っちゃいけない」というのは、要するにマグロのお寿司ほどのクオリティをフランス料理で作ることができるかと言ったらそれは無理で、出した時にお客様に「やっぱりお寿司で食べたかったな」「お刺身で食べたかったよね」と言われるような料理を出すわけにはいかない。 それは食材に対しても申し訳がない。 「お寿司よりもこっちが好きだな」と言ってもらえるような料理を作れたなら、フランス料理でも提供するべきだと思うんですが、そうでないのだとしたら作るべきではない、という意味です。 加熱すると触感が悪くなり、繊細な香りも失われて味もチープになりがちです。 鉄分であり酸味。 加熱するとその魅力は失われてしまうんです。 フランス料理が他の国の食文化よりも優れているのは加熱の技術だと思うのですが、その加熱の技術が使えない事とフランス料理の基本的な考え方として色々な食材と組み合わせて複雑な新しい味を生み出すという考えがマグロには必要ないと考えるので「わざわざフランス料理である必要があるの?」と思ってしまいますよね。 なのでフランス料理で取り扱うというのは非常に難しいです。 その中で考えたこの料理は、チュロスの生地を使ってその上にマグロの「脳天」という頭のお肉を乗せています。 チュロスと聞くと甘いお菓子を想像されるともいますが、それは周りにグラニュー糖やシナモンシュガーなどをたっぷりまぶしているから甘いのであって、チュロスの生地自体は砂糖が入っていませんので甘くはないんです。 その甘くない生地を素揚げして使えば料理にも使えるし、マグロの味を損なわないだろうと思い合わせる事にしました。 熱々に揚げたチュロスの上に脳天の肉を乗せているんですけれど、そうすると余熱で少しだけマグロが温まるんです。 そうすることによって、加熱はしてないけど温めることによって、食材の香りは立ちます。 実はお寿司のシャリもマグロの時はシャリの温度一番高いのをご存知ですか?逆に青魚はシャリの温度は低い。 一流のお寿司屋さんはそうやってコントロールしているんです。 そうすると、やっぱりマグロには熱が必要なんだけど、火は通しちゃいけないという難しさが再び立ちはだかります。 マグロの中には食べることができないぐらい硬い筋と加熱すると美味しくなる筋、その2種類が存在します。 脳天の間には筋が入っていて、その筋は加熱すると溶けてもちっとした食感を生み出します。 加熱すると美味しい筋なんです。 僕は筋と肉を全部バラバラに剥がして、身は生で出していますが、筋は炭火で炙ってからシブレットと一緒に和えて乗せています。 そうすることで火を入れていない身の美味しさと熱々に焼いた筋の香ばしさが同居します。 そして下には熱々のチュロス、ほんのり温まっているマグロはマグロの香りはするんだけども火が入りすぎず魅力が失われていないところが、今回の料理の狙いです。 そして木村さんからアイデアを頂きまして2種類のソースを添えることにしました。 赤ワインとバニュルスのソースとマグロの皮で作ったソースです。 そのモッツァレラチーズを作る時に副産物として、リコッタチーズができます。 それが僕はすごく大好きなんです。 モッツァレラももちろん好きですが、こんなにおいしいリコッタが日本で手に入るなんてすごい事だと思います。 リコッタチーズは劣化がすごく早く、鮮度が命。 イタリアの物もすごく美味しいですが、日本に輸入する過程で何日も時間がかかってしまうと、やっぱり最高の状態では食べられない…。 その点木更津だったらその日に作ったらその日に手に入ってしまう。 距離的なアドバンテージも本当に素晴らしい。 リコッタは「冷蔵庫入れる前に食べきるのが理想」というのが生産者の言い分。 一回でも冷蔵庫に入れてしまうと味が変わってしまうと言われていて、理想は冷蔵庫に入れる前に食べてもらう。 じゃないと本来の最高の状態ではないんです。 そのリコッタを使って今回クレームダンジュというのを作りました。 というのも元々クレームダンジュというのはフロマージュブランという酸味のあるタイプのフレッシュチーズを使って作るお菓子なんですが、日本では最高のフロマージュブランが手に入らないような気がしていて、その中でどうしたらいいか…と考えたときに、「最高のリコッタが存在するんだから、リコッタチーズでクレームダンジュを作れば最高のものが作れるんじゃないか」という思いで今回クレームダンジュを作ってみました。 そこにパッハリート種という貴重なカカオの豆を散らし、カカオの香りとリコッタの香りを楽しんでいただけるデザートというものを作りました。 デザインは前回のモンブランに引き続き、徳永シェフにデザインをお願いしました。 というのも、あくまで萌絵ちゃんが作った作品なので、僕が作ってしまうと僕の作風に全部なってしまいますから。 今回も素敵なデザインにしていただきました。 コンセプト自体はリコッタチーズとカカオというのがテーマ。 敢えて複雑にし過ぎないようにしています。 普段レストランでシェフをする傍らで、水産資源の保護活動をしています。 というのも、日本の水産資源というのは徐々に減り続けていて、現在は枯渇している状態です。 皆さんはスーパーなどに行けばいつでも魚が売っているので、あまり気づいていらっしゃらないと思いますが、実はどんどん国産の魚が海外の輸入品に入れ替わっています。 こうして水産資源が減っている状況で、それに伴って本当に良い品質の魚が減ってきています。 僕は毎日魚を注文して魚を触っているからこそ、どんどん悪くなっているなというのを実感しています。 なんとかしなくてはいけないという思いがあり、水産資源の保護活動を、30人ほどのシェフ達とジャーナリストの方と一緒にNPO 法人を作って水産資源の保護活動をしています。 日本で長く食べられてきた太平洋クロマグロは現在、1960年頃に比べて12-3%にまで減っています、衝撃的な数字ですよね? マグロは今は、本当に最高のものが獲れなくなってきています。 この前「すきやばし次郎」の次郎さんにお話を伺ったんですけれど、ほんの2〜30年前の3番手4番手ぐらいのマグロが、今の1番手ぐらいの品質になっているんだそうです。 今回「マグロ」のテーマをいただいたとき、「僕はマグロを守っている身なので、そのテーマは辞めたい」と言い続けてきました。 けれどドラマのストーリーにおいて、それをどうしても取り上げたいという番組側からのアプローチを受けて、「マグロの事に触れないよりも作中で一言でも二言でもこの事を取り上げて頂く事で皆さんにこの状態を知っていただける事の方が良いのではないか?」と思いました。 なので、劇中でもマグロについて尾花さんは「太平洋マグロ(いわゆる日本の近海のマグロ)は使わずに、大西洋マグロ(ヨーロッパやアメリカ、インドなど遠洋にいるマグロ)を使う」とおっしゃっています。 大西洋マグロは水産資源の保護をしっかりとしてきた結果現在は資源回復をし始めています。 だから日本も同じように資源保護をしていけば、太平洋マグロも資源回復をすることができるのではないかと思っています。 劇中ではワイナリーの場所は山梨でしたが、、 北海道という土地に食材を合わせ、さらに季節は冬だったので、真鱈の白子を食材にチョイスしました。 白子は野菜のお出汁を使って一瞬だけポシェ 湯通し し、半生の状態にしています。 温かくなった白子は一度冷やして、それから香箱ガニというセイコガニ 松葉ガニのメス の身と内子 卵 ・外子 内臓 、その3つをほぐしてあわせたものを白子の下にソースとして敷いています。 白子の上にはシャンパンビネガーと少量のオリーブオイルを混ぜている刻んだお野菜を。 白子の食感はふにゃっとしているので、水菜、セロリ、ロケット、パセリ、フィーヌゼルブ ハーブをミックスしたもの をのせて、食感を出しています。 一番のポイントになるのはピーカンナッツをスライスしたものを熱々にローストして、最後にふりかけるということ。 白子はあったかいと生臭さが出てしまうので、冷やしたほうが臭いを抑えられていいのですが、ワインとのペアリングとして考えるとやや温度はあった方が良い。 「冷たく提供したいけど温度が欲しい。 」 一見矛盾していますが解決方法はあります。 白子に乗せたらジュッて音がするくらい熱々のピーカンナッツを振りかけることで、一緒に食べてもらうときに口の中で一瞬だけ温度があがり香ばしさやナッツの存在を感じられますが、咀嚼するとすぐに口の中は冷たくなり白子の臭みは抑えられます。 冷たいものと温かいものを同居させながら1つの料理にしたのが、この料理です。 日本は世界的にみても非常に高品質なジビエが獲れる国。 日本の誇れる食材だと思っているので、今回こちらをメインに使おうと思いました。 キジバトは非常に小さく火入れの難しい食材ですが、これを一羽まるごとゆっくりとローストしてから捌いてスネ以外の骨は全て取り除いています。 捌いた断面にパイ生地を貼り付けもう一度焼いています。 片面はローストした肉が剥き出しになっていて、もう片面は生地が付いている状態です。 2回焼くので逆算して火を入れながら焼き過ぎに注意します。 フランスの古典料理に「アンクルート」というパイ包みの料理があります。 素晴らしい料理ですが、パイ包み焼きの問題点として中のお肉が蒸されてしまい香ばしさが失われるという問題があります。 今回は片側しか生地を付けていないので、半分だけパイ包み焼きにして、裏面はローストの香ばしさが残ったままの状態。 ローストとパイ包み焼きのいいとこ取りをしたいと思って作ったお料理です。 ソースはザクロとオールドカンパリ。 赤ワインのソースの仕上げに1970年代に流通していた古いカンパリを使っているのですが今のカンパリと全然違い素晴らしい味と香りです。 さらにザクロと一緒にキジバトの内臓を炒めたものも添えています。 冷製で食べるクスクスのことを「タブレ」と言いまして、様々な野菜の角切りと合わせたパスタサラダのような物ですが、クスクス自体はお湯で戻すのが一般的です。 ここでは芹や色々な香草と野菜を使ったスムージーのような物でクスクスをもどしたために、緑色になっています。 これを型に詰めていきますが、その中に子牛の胸腺肉をいれています。 焼肉屋さんでいうとシビレと呼ばれる部位の肉で、僕たちは「リ・ド・ヴォー」という呼び方をしているのですが、牛のこどもがお乳を飲むために使う内臓で、大人になると退化してなくなってしまう部分でもあります。 そのリ・ド・ヴォーを熱々に揚げて、クスクスと交互に型の中に詰めていきます。 一見冷たい料理に見えるのですが、食べていただくと熱々のリ・ド・ヴォーが入っていることで、お客様が驚くところが面白いお料理だと思います。 フランス料理は温度感のない料理が多いのですが、今回のこの3つの料理の共通点は温度に非常に気遣ったと言う点です。 温度を大切にする料理は、仕上げるタイミングが非常に難しくそれぞれの料理人がいろいろなパーツを担当しているので全員の息が合わないと料理が完成しないチームワークが試される料理でもあります。 お子様にとって馴染みのあるもの…大好物であるだろうと、一口オムライスを作りました。 普通のオムライスだと、薄焼きの卵の中にケチャップライスが入っていますが、あの大きさを作るというのは意外と難しいんです。 全卵にチーズ、バターを入れて、マヨネーズくらいの粘度になるまで加熱をして、その加熱したものをフライパンの角っこに置き、その中にケチャップライスを巻き込んでというよりも、埋め込んでいるというほうが近いですね。 見た目はオムライスですが、卵の中にチーズやバターが通常のオムライスよりも入っていることで、フランス料理らしさを忘れずにお出ししています。 今回は、フランスのブルターニュ地方の定番料理で、そば粉を使ったクレープ、「ガレット」をイメージしました。 本来フランス流のガレットは、丸い円盤状の生地の中に思い思いの具材を入れて、四方を畳んで正方形にして、ナイフとフォークで食べていただくのですが、そうすると具材の水分によって、生地がふにゃふにゃになってしまうという問題があって、そこを解決したいと思ったのが今回のテーマです。 海苔巻きの海苔を想像していただくと、どうしても海苔のパリパリ感は減って、ふにゃふにゃになりますよね? それをどうにか食感を残したまま、そのまま美味しいクレープが食べたいなと思い、クレープを巻かないことにしたんです。 焼いたままのアツアツの状態をそのままお皿にのせて、具材も生地に乗っていますが、巻いてはいません。 そうすることで生地のパリッとした食感がなくならずに、食べることが可能なんじゃないかと思います。 その生地の上には、8種類のいろいろな調理法のキノコが乗っています。 ソテーしたものもあれば、コンセルヴという酢漬けのピクルス状になったキノコ…そして卵黄を付けて焼いたものなど。 いろんな種類のキノコをそれぞれの調理法に施し生地の上に 一列に並べ、お客さんご自身で巻いていただきます。 お話の設定では、相沢さんの奥様のエリーゼさんは、ブルターニュの出身ということで、彼女の郷土の料理を作り、日本の食材を使い手巻き寿司のような日本の文化とフランスの文化、両方がうまく組み合わさった料理となっています。 今回は、冬においしいお魚ということで、鰆(サワラ)を選ばせていただきました。 魚へんに春と書きますが、鰆の本当においしい時期は、秋から冬にかけて。 「カンテサンス」では6〜8キロの鰆を使っているのですが、「グランメゾン東京」でも同じくらいの大きさの鰆が使われています。 大きいものが美味しいとされていて、それ以下のものを使うことはあまりありません。 このお料理の最大の特徴は、火入れ。 大きな塊のままで肉も魚も焼いて、焼いたあとに切り分けていくのが「カンテサンス」の代名詞にもなっている火入れの特徴です。 1枚ごとに切り分けたお魚を焼くと、焼き目ができる表面積が増えますよね?そうすると、香ばしさが付くことで美味しさは生まれますが、香ばしさが前面に出すぎるために、何を食べているかわからなくなってしまうんです。 鯛(タイ)を食べていても、鱸(スズキ)を食べていても、どちらも同じように香ばしくて美味しいという感覚になるために、素材の良さをどこまで引き出したか、疑問がうまれます。 けれど、大きな塊を焼いたあとに切り分ければ、断面の部分には焼き目は存在しないのでより素材の味や香りを楽しんでいただくことができます。 また、火の入り方も大きな塊で焼いた方が良い状態で仕上げることが可能です。 付け合わせにしているのは、水晶文旦(鰆と同じく旬の果物)。 水晶文旦は身をほぐすことができて、1粒ずつバラバラになります。 そこに少量のニンニクとセロリのみじん切り、フヌイユ、天然の茸(チチタケ、ナラタケ、ショウゲンジ) それからフィーヌゼルブという香草を4種類くらい刻んだものと、文旦の果汁とオリーブオイルを混ぜて作ったソースを下に散らして、魚と一緒に召し上がっていただきます。 そして、付け合わせはラディッキオ・タルディーボというお野菜。 芯の部分をさっと炒めて、トマトとケッパー、赤ワインビネガー、フュメドポワソンと上に水菜。 それが付け合わせになっています。 「カンテサンス」では秋から冬にかけて、旬の魚である鰆の料理をお出ししています。 そこで試しに一尾仕入れてみることに。 新鮮な肝があるものを選びました。 すると、尾の部分に弾力があり肉のような食感で、肝との相性が非常に良いとわかりました。 クリーミーな食感と脂の濃厚さが加わるからです。 尾と肝の食感の違いを引き立てたかったので、他の要素は最小限にとどめ、味噌、きのこ、昆布など、深みと旨味を補いつつも魚自体の風味をかき消さない素材を使って仕上げました。 前菜は山羊のバヴァロア。 デザートは、メレンゲのアイスクリーム。 この2つはカンテサンスでは必ず出る料理です。 これもオープンしてから毎日作り続けている一品。 フランスで修行していた頃、僕が驚いたことの1つに、すごく大きなメレンゲのお菓子がフランスの至る場所で売っていたことでした。 日本だと小さいメレンゲを焼いたお菓子はありますが、フランスは本当にびっくりするくらい…野球帽くらいの大きさのものが、山積みになって売っています。 「フランスの人って一人でこれ食べるの?」と驚いたのを覚えています。 というのも、メレンゲの半分は砂糖作っているんです。 勉強のために一回食べたことがあるのですが、覚悟はしていましたが、想像以上に甘かった!美味しいものがたくさんあるフランスで、なぜあるのだろうと僕は本当に理解が出来ず、好きになれないものが「メレンゲ」。 実は大嫌いな食べ物なんです(笑)。 この大嫌いなメレンゲを美味しくすることが出来ないか…というのがこのアイスクリームを作った最初のテーマ。 僕が思う嫌いなものは、改善点がたくさんあるもの。 自分が嫌いなものをテーマに料理をつくることが好きです。 なぜならそこにはたくさんの伸びしろがあるから。 みんなが大好きで昔から愛されているメレンゲのお菓子があり、そこに伸びしろがあるのであれば、僕がそれを改善すれば、今よりもはるかに美味しいものを作ることが可能じゃないかと思いました。 メレンゲには課題がたくさんありました。 1つは甘すぎるということ。 けれど、焼いた香りは、他にはない、いい香りがします。 メレンゲを形成するために、砂糖をたくさん使うことは避けられない、でもこの香りは伝えたい…でも甘さは控えたい。 そう考えたとき、僕はこのメレンゲを通常どおりに作ってから、粉々に砕いて、その粉をアイスクリームの生地の中に入れることを思いつきました。 アイスクリームには、牛乳や卵も入っていますが、砂糖も当然入ります。 そのメレンゲを砕いた粉を砂糖代わりにしました。 アイスクリームの種類は世の中にいっぱいあって、種類は出尽くしています。 新しいアイスクリームを作るにはどうすればいいかと考えると、自分が一度作ったお菓子を原材料として使うことで無限の可能性が出て、メレンゲのアイスクリームという、今まで世の中に存在しなかったアイスクリームを作り出すことができました。 嫌いから始まり、いい部分を取り出し、嫌な部分をなくしている。 このアイスクリームが僕、大好きです。 そして、カンテサンスで一番人気があるのは、このアイスです。 メレンゲのアイスはそれで完成しますが、そこに最後にひと手間。 能登のお塩屋さんで、海水を濃縮して5倍くらいになったものを霧吹きにいれて、アイスにかけています。 塩キャラメルやスイカに塩をかけて、塩分をほんのちょっぴり感じると、甘さを際立たせる効果があると思います。 僕、塩キャラメルもそんなに好きじゃないのですが(笑)、なぜかというと、お菓子なのに最後までずっと甘じょっぱい塩分を感じ続けるから。 塩味は後に残るんです。 デザートなのに塩分が残るのは嫌ですよね。 それに対して、スイカに塩をふる行為。 あの調理法には意味があり、スイカの中に塩分があるわけじゃなくて、上から振っていることで、最初の一口は塩分をたくさん感じるけれど、二口目、三口目と、塩分は減っていく。 最後の後味は甘さだけ。 だから、メレンゲのアイスクリームも中に塩を加えるのではなく、できあがったアイスクリームに、霧吹きで塩分をかける。 そうすると単調なものではなく、塩分にグラデーションが発生していく。 デザートとして、最後は甘さで終わることが出来るんです。 そこがすごく大事だと思っています。 このお料理は、山羊のミルクを使ってゼラチンでかためているバヴァロアの部分に、マカデミアナッツと百合根が乗っていますが、このお料理で食べていただきたいのはそこではありません。 この料理で食べていただきたいのは、お塩とオリーブオイルです。 それを食べてもらうため、バヴァロアやマカデミアナッツ、百合根の食感は、それぞれ個性はあるけれど、味は優しいものばかり。 だからこそ、このお料理を食べていただくと、まず最初に感じるのはお塩でありオリーブオイルの香りなんです。 料理は材料が主役であって、そこに調味料で味をつける…という主従関係が本来のスタイルですが、このお料理では主従関係が逆転しています。 調味料が主役であり、主材料があくまでも縁の下の力持ちであるということ。 その逆転が、すごくおもしろいお料理です。 この料理を思いついたのは、当店の名刺代わりになる料理が作りたいというところからでした。 当店の前菜の一番最初に出てくる品であり「これから始まる料理は、こういう味付けでこういう調味料を使っていきます」と、知ってもらうための「アントレ(前菜)」です。 フランス語で前菜はアントレと呼びますが、この語源は玄関をさします。 これがこのコースの入口になる、店の名刺代わり、という意味を込めています。 このお料理は、一年中出しているメニューで、材料は基本的に一年を通して手に入ります。 しかし、ミルクを作る山羊の食事は、季節によって変わっていきます。 春は青々とした牧草。 冬場になるとそれが乾燥した牧草に。 そうするとミルクの味も変わっていきます。 スペシャリテとして毎回出ているお料理ですが、季節によって味の変化を感じてお楽しみいただくことが出来ます。 スタッフからのお題があり「第1話で雲丹の殻を使った料理があったと思いますが、お話の流れで、あの時と同じように祥平さんが尾花さんを手伝って、2人で料理を仕上げていくようにしたい。 殻を使った料理を考えて欲しい」というお題をいただきました。 前回の雲丹の殻は、蕎麦の実の香りと雲丹の前菜でしたが、メイン料理の前のあたたかい料理ならではで、もう少しボリュームがあり、熱々なものにしようというのがあって、殻にほかの魚介類も詰めて表面をグラタン状に焼いています。 前回はスープのようなものでしたが、今回は熱々のグラタン。 これらグラティネというのはフランス料理としては古典的なお料理です。 洋食のようだと感じられるかと思いますが、昔からフランスにある料理で、ここでは「サヴァイヨン」という、卵黄を泡立てたものを使う、比較的クラシカルで、いわゆる正統派のフランス料理というイメージで作りました。 雲丹の掃除はすごく大変なんですよ。 僕もフランス時代にやっていましたが、ちくちく刺さりながら、きちんとホールドしないと殻を開けられないし、でもちゃんと持てば持つほど、痛い。 本当に大変な作業で、僕も雲丹の掃除は嫌いな作業の1つでした(笑)。 今回も改めてやっていただきました。 鬼皮を焼いた後に水で煮出してから濾して水分をギリギリまで煮詰め、焼いた栗の香りを抽出しました。 栗の香りには何種類かありますが、実の香りと鬼皮の香りは別のものになりますので、栗の香りを強く感じながらも今までに感じたものとは違うモンブランになったと思います。 しかし、鬼皮には強いタンニンがあり、煮詰めたエッセンスは渋くてとても食べられません。 このタンニンを緩和するのは糖分になります。 糖分を大量に入れることでタンニンは感じにくくなり、デザートに使うことが可能になります。 けれど、このエッセンスを加えたマロンクリームが甘くなりすぎないように、糖分を逆算して減らすのがポイントです。 この作品は、作中の萌絵さんが考案したものという事で、作風が同じにならないように、(萌絵の)盛り付けやデザインについては「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」の徳永純司シェフに考案していただきました。 とても素晴らしい作品に仕上げていただきました。 有難う御座います。 この鹿のお料理は、監督や脚本家さんとお話する中で「鹿を無駄なく使う料理を考案していただきたい」とお願いがあり、オリジナルで考案しました。 コンソメは、本来クリアな色をしていますよね?フランス料理というものは、昔は王様が食べていた料理なので、味だけでなく美しさもとても大事にしています。 この澄んだコンソメをつくるのに、本来は卵白を使います。 フランスはワインの生産地としても有名ですが、ワインはなぜあんなに綺麗に澄んでいるかといったら、ワインも卵白で汚れを吸着し、ブドウの濁りとワインを分離させています。 卵白はそのあと取り除かれ、ワインに入っているわけではありませんが、クリアな色にするために卵白で濾しているんです。 それによって、鹿も無駄なく使いきれて、鹿の野生的な香りをコンソメに付けることができました。 コンソメに卵白の代わりに血液を使い、水の代わりに赤ワインを使っています。 鹿の料理で赤ワインのソースを使うのは、フランス料理の古典において、定番の組み合わせです。 今回は赤ワインのソースではなく、赤ワインのコンソメにして、そこには鹿の香りをさせるというのは、新しくもあり、王道の料理ではないかなと思って作らせていただきました。 ドラマの物語は、秋から冬にかけてのお話なので、秋ナスをおいしく食べられる料理を考案しようと始まり、この料理になりました。 ナスには春ナスと秋ナス、2回の旬があり、春ナスは皮が柔らかく、水分が多いので滑らかで柔らかいのが特徴。 対して秋ナスは、皮が固く、身もしっかりしていて、加熱しても身が崩れないのが特徴。 秋ナスの良さ、秋ナスでしかできないことを活かそうと考えました。 また、野菜だけだと物足りなさがあったので、ホロホロ鳥のレバーとカカオ(甘くないチョコレート)をパリパリとおせんべいのようにして、ナスとホロホロ鳥をサンドイッチ。 ナスを加熱したあと冷製にするため、14ミリにスライスしたナスをオリーブオイルで焼いて、シェリービネガーと数種類の調味料をいれてマリネし、ホロホロ鳥のレバーと一緒に層を作ります。 この層にするのが春ナスではできない、しっかりした秋ナスならではです。 この料理は、今年は出していませんが、去年は僕の店で出していたお料理で、当店のいわゆる「スペシャリテ」と呼ばれる、得意料理です。 「クスクス」は元々南の国の方々の食文化。 それがフランスでは自然に溶け込んでいました。 の時間にならないかな」とか、「今日は一体どんな作り方をしたんだ」みたいな話をしていました。 「僕はこういうアイディア持っています」と。 ただ食事を作るのではなく、シェフに対してアピールが出来る場でもあるんです。 それでシェフからコメントいただいたり、褒めてもらったりすると、それは次の仕事のモチベーションになったりするんです。 その中でも、クスクスはご馳走の日というイメージです。

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2019年話題のテレビドラマ「グランメゾン東京」

カンテサンス グラン メゾン 東京

もくじ• 尾花がパリでフランス料理店を営んでいたことから、撮影も本場パリの三ツ星レストラン「ランブロワジー」などで行われたことが、大きな話題となっています。 さらに、ドラマ内で調理風景やお料理が多く映し出されることから、グランメゾン東京に料理監修のシェフがつくことになりました。 今回料理監修を務めることになったのが、東京・品川にあるミシュラン三つ星のフレンチレストラン「カンテサンス」の岸田周三シェフです。 初めて料理監修を引き受けることになったことについて、岸田周三さんは以下のようにコメントを出されていました。 フランス料理、レストランをテーマにしたドラマということで、飲食業界にドラマを通じて活気が出てくれたらと思って協力させていただくことになりました。 「飲食業界に入ってみようかな、やってみようかな」という若い方たちが増えたらいいなという気持ちです。 今回はお客様の席じゃなく、キッチンの中の裏方の方が多く映されている番組なので「飲食店ではこういうことやっているんですよ」って皆さんに知っていただいて、「やってみようかな」と思う人が増えたら、と思って引き受けました。 ードラマ公式HPより引用 岸田シェフは1974年8月8日生まれで愛知県出身。 志摩観光ホテル「ラ・メール」や東京都渋谷区のレストラン「カーエム」での勤務を経て、本場パリに修行に行きます。 その後パリのミシュラン三つ星レストラン「アストランス」で独特の火の入れ方(キュイソン)を身につけられました。 最上質な肉に非常に時間をかけて火入れをしていく、オーダーメイド的な丁寧な調理方法が特徴です。 岸田シェフは調理において<プロデュイ 素材 ><キュイソン 火の入れ方 ><アセゾネ 味付け >の3つのプロセスを特に大事にされているようです。 2006年に開業し、翌年2007年にはたった1年という異例の速さで三つ星を獲得されたのだとか。 それ以来12年間に渡り、一度も星の数を落としたことが無いのだそうです。 パリのフレンチ激戦区でも、一度三つ星を獲得してもランクダウンしてしまうお店も無数にある厳しい世界なのに、東京で12年間も三つ星を守り続けているということがいかに凄いことか分かりますね。 ミシュランの星を守り続けていることについて、岸田周三さんは以下のようにコメントされています。 フランス料理の料理人にとって、ミシュランの星はとても大事な意味を持っています。 東京にミシュランが来るようになってから、和食やお寿司のお店も星を取られていると思いますが、フランス料理の料理人にとって、昔から憧れているシェフたちが獲得していたものを、我々も獲得できるチャンスがいただけるようになるというのは、すごいことが起こったなと思いました。 カンテサンスが星を獲ったのは もう12年前になります。 感情が高まったのを覚えています。 (星を守ることは)プレッシャーはあります。 星だけでなくお客様はたくさんの期待をして当店に来て下さいます。 毎日毎日プレッシャーもありますけど、それは期待の表れなので、それに応えたいなという気持ちで、それをモチベーションにスタッフとともに頑張っています。 ードラマ公式HPより引用 カンテサンスの場所はどこにある? レストラン「カンテサンス」は 東京・北品川にあります。 ドラマの料理監修って具体的にどんなことをするお仕事なの…?! と料理監修というお仕事に馴染みのない方は多いと思います。 料理監修とは、撮影で使われるお料理のレシピ作りはもちろん、素材選びや盛り付け方などあらゆることを決定し、撮影で再現できるように調理技術を指導していくお仕事です。 つまり木村拓哉さん扮する尾花のレストランで作られるお料理やメニューを、岸田周三シェフが考えているということですね。 三つ星レストラン「カンテサンス」で腕を振るう岸田周三シェフが監修するお料理を毎週映像で楽しめる…ということです。 本当に贅沢なドラマですね。 尾花は再起をかけるレストラン「グランメゾン東京」のメニューは、岸田周三シェフと木村拓哉さんの二人三脚で作られるということで、毎週お料理から目が離せなくなりそうですね。 カンテサンスはグランメゾン東京のロケ地になる? 「グランメゾン東京」の撮影が初めて行われた場所は、なんとフランス・パリの三ツ星レストラン「ランブロワジー」でした。 木村さん曰く、時間も費用も手間もかなり掛けられてドラマが作られているので、料理監修の岸田周三シェフの働くカンテサンスがドラマ内で登場するのか気になりますよね。 尾花の帰国後、東京で倫子と共に店を構えることになるのですが、東京のレストランロケ地は代官山の超高級フレンチレストランになるようなので、 現段階ではカンテサンスがロケ地として使われることは無いのでは?と予想します。 ただでさえ、常時予約が受け付けられないほどの人気店ですからね… もし撮影に使われるような情報が入りましたら、追記していきます。 1話でロケ地とはなりませんでしたが、レストラン「gaku」のミシュラン調査が入る際、丹後が「東京で三つ星を取ったのはカンテサンスしかない」と言っているセリフがありました! グランメゾン東京料理監修は岸田周三氏まとめ! 2019年10月スタートの日曜劇場「グランメゾン東京」にて料理監修を務める岸田周三シェフについて、 また岸田周三シェフのレストラン「カンテサンス」についてまとめました。 これを機に更に有名になって、予約が取れないお店になりそうですね。 この秋、岸田周三シェフの作るレシピと、木村拓哉さんの料理風景が毎週観られる「グランメゾン東京」から目が離せませんね。

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口コミ一覧 : カンテサンス (Quintessence)

カンテサンス グラン メゾン 東京

パンペルデュというのは、いわゆるフレンチトーストのこと。 卵と牛乳をパンに浸してバターで焼くのがフレンチトーストですが、その卵を雲丹に替えたのがこのアミューズです。 雲丹もタンパク質でできているので、卵と同じように加熱すれば凝固します。 なので卵の代わりに雲丹を使い、さらに牛乳の代わりに海水にしてミキサーにかけ、その雲丹の液を小さく焼いた食パンみたいな形のブリオッシュに浸し、中までちゃんと吸い込ませてからフライパンで焼きました。 出来上がったものは、表面はカリッと焼けていますが、中までは焼かずにトロっとして、しっかりと雲丹の味がします。 僕が考案したのはそこまでだったんですけれど「見た目がちょっと地味だな」自分では思っていたものの、味として完成しているから、何もしない方がいいかなと思っていたのですが、劇中で木村拓哉さんが試作品を作るお芝居の中でご自身でキャビアを乗せたそうで、そのままキャビアを使おうという話になりました。 それを受けて僕も盛り付けの際にキャビアを足して、少し可愛らしくしてみました。 いわゆる木村さんとの合作という作品になりますね。 ブーダンノワールというのは、豚の血を使った真っ黒なソーセージのこと。 フランスではすごく伝統的な食べ物ですが、実を言うとフランス人でもブーダンノワールが苦手で食べられないという方がたくさんいらっしゃいます。 日本人でもお寿司を食べれないという方がいるように、豚の血を使っているのでそれなりにクセがあって、苦手な方がたくさんいらっしゃる料理でもあります。 なので、フランスではリンゴをソテーしたものと一緒に食べるというのが伝統的な食べ方になっています。 クセがあるものなので、フレッシュなものを食べて一度リセットをするような形ですね。 そこで僕はこのブーダンノワールを、「もうちょっと食べやすい食べ方はないか」と思って考案したのがこのお料理です。 最初にパイ生地の上にスライスしたりんごを綺麗に並べて焼き上げ、りんごのタルトを作ります。 そのりんごのタルトの上にブーダンノワールを全部ほぐしてペースト状にし、左官屋さんのように塗っていきます。 そしてそこにちょっとフォアグラも乗せます。 ここで何がしたいかと言うと、先ほど言ったようにブーダンノワールは、すごくクセのある食べ物なので、りんごと一緒に食べるんですけれど、ブーダンノワールと交互に食べていくと、人によって量のバランスが出てくるんじゃないかと思いました。 ブーダンばっかり食べてしまうと「クセが強いなあ」と思ってしまったり、りんごばっかり食べてると「甘くて何だか分からない」となってしまいます。 僕が考えたブーダンノワールは層になっていて、この比率は、僕が思う完璧な黄金比率になっているんです。 どこから切ろうと比率は常に僕が思う完璧な比率。 お客様がどんな食べ方をしても必ず完璧な比率で食べられるというのを目指して作った創作料理です。 以前の鰆もこの焼き方でしたが、今回のハタもやはり同じで、大きな塊でそれを切り分けることによって焼き面の量を減らし、しっかり焼けてはいるけれど、断面には焼き目は一切存在しないので、香ばしさが和らぐと同時に素材の味や香りがちゃんとわかるというのが 一つテーマになっています。 真ん中が半生になっているのですが、これは魚は火を入れすぎると水が出て旨味がなくなってしまうので、完璧な焼き加減を目指すと、こういう焼き方が正しいと思います。 ソースについては、ノワゼットグリエというソースを使っています。 ノワゼットというのは、ヘーゼルナッツのこと。 グリエというのは、香ばしく茶色くなるまでローストしたことを指します。 アンチョビと茹でこぼしたニンニクを合わせてペーストにした後に、それをカリカリになるまで焼いて、その粉末とノワゼットをローストしたものを合わせて絡めたものをソースにしています。 香ばしいナッツの香りがするソースを作ってみました。 最終話は、倫子さんが作った魚料理と尾花さんが作ったマグロの料理の二つを対決させるお話になっているので、どちらの料理も考えなきゃいけないのがとても難しく、さらに最終的には倫子さんが採用されるというバランスがさらに難しく…二つとも料理は完成させるんですけれど、視聴者の皆さんが「ハタの方がいいよね」と思ってもらえるようなものにしなければいけないのが難しかったです。 そもそもマグロをフランス料理で作るというのは非常に難しい。 「マグロだけはやっちゃいけない」と言われてきた食材で、僕も10年以上前からマグロという食材に取り組んできて、結局完成をしたことがなく、「カンテサンス」で出したことはありません。 マグロというのは、それだけ難しい食材です。 日本にはマグロの文化が昔からありますが、僕は特にお寿司が好きなんです。 お刺身も好きですけど、お刺身よりもお寿司のマグロは素晴らしく、マグロというのは寿司になるために生まれてきた魚といってもいいくらい、そのくらいお寿司との相性がよく、料理としての完成度も高いと思います。 僕が言っている「マグロを使っちゃいけない」というのは、要するにマグロのお寿司ほどのクオリティをフランス料理で作ることができるかと言ったらそれは無理で、出した時にお客様に「やっぱりお寿司で食べたかったな」「お刺身で食べたかったよね」と言われるような料理を出すわけにはいかない。 それは食材に対しても申し訳がない。 「お寿司よりもこっちが好きだな」と言ってもらえるような料理を作れたなら、フランス料理でも提供するべきだと思うんですが、そうでないのだとしたら作るべきではない、という意味です。 加熱すると触感が悪くなり、繊細な香りも失われて味もチープになりがちです。 鉄分であり酸味。 加熱するとその魅力は失われてしまうんです。 フランス料理が他の国の食文化よりも優れているのは加熱の技術だと思うのですが、その加熱の技術が使えない事とフランス料理の基本的な考え方として色々な食材と組み合わせて複雑な新しい味を生み出すという考えがマグロには必要ないと考えるので「わざわざフランス料理である必要があるの?」と思ってしまいますよね。 なのでフランス料理で取り扱うというのは非常に難しいです。 その中で考えたこの料理は、チュロスの生地を使ってその上にマグロの「脳天」という頭のお肉を乗せています。 チュロスと聞くと甘いお菓子を想像されるともいますが、それは周りにグラニュー糖やシナモンシュガーなどをたっぷりまぶしているから甘いのであって、チュロスの生地自体は砂糖が入っていませんので甘くはないんです。 その甘くない生地を素揚げして使えば料理にも使えるし、マグロの味を損なわないだろうと思い合わせる事にしました。 熱々に揚げたチュロスの上に脳天の肉を乗せているんですけれど、そうすると余熱で少しだけマグロが温まるんです。 そうすることによって、加熱はしてないけど温めることによって、食材の香りは立ちます。 実はお寿司のシャリもマグロの時はシャリの温度一番高いのをご存知ですか?逆に青魚はシャリの温度は低い。 一流のお寿司屋さんはそうやってコントロールしているんです。 そうすると、やっぱりマグロには熱が必要なんだけど、火は通しちゃいけないという難しさが再び立ちはだかります。 マグロの中には食べることができないぐらい硬い筋と加熱すると美味しくなる筋、その2種類が存在します。 脳天の間には筋が入っていて、その筋は加熱すると溶けてもちっとした食感を生み出します。 加熱すると美味しい筋なんです。 僕は筋と肉を全部バラバラに剥がして、身は生で出していますが、筋は炭火で炙ってからシブレットと一緒に和えて乗せています。 そうすることで火を入れていない身の美味しさと熱々に焼いた筋の香ばしさが同居します。 そして下には熱々のチュロス、ほんのり温まっているマグロはマグロの香りはするんだけども火が入りすぎず魅力が失われていないところが、今回の料理の狙いです。 そして木村さんからアイデアを頂きまして2種類のソースを添えることにしました。 赤ワインとバニュルスのソースとマグロの皮で作ったソースです。 そのモッツァレラチーズを作る時に副産物として、リコッタチーズができます。 それが僕はすごく大好きなんです。 モッツァレラももちろん好きですが、こんなにおいしいリコッタが日本で手に入るなんてすごい事だと思います。 リコッタチーズは劣化がすごく早く、鮮度が命。 イタリアの物もすごく美味しいですが、日本に輸入する過程で何日も時間がかかってしまうと、やっぱり最高の状態では食べられない…。 その点木更津だったらその日に作ったらその日に手に入ってしまう。 距離的なアドバンテージも本当に素晴らしい。 リコッタは「冷蔵庫入れる前に食べきるのが理想」というのが生産者の言い分。 一回でも冷蔵庫に入れてしまうと味が変わってしまうと言われていて、理想は冷蔵庫に入れる前に食べてもらう。 じゃないと本来の最高の状態ではないんです。 そのリコッタを使って今回クレームダンジュというのを作りました。 というのも元々クレームダンジュというのはフロマージュブランという酸味のあるタイプのフレッシュチーズを使って作るお菓子なんですが、日本では最高のフロマージュブランが手に入らないような気がしていて、その中でどうしたらいいか…と考えたときに、「最高のリコッタが存在するんだから、リコッタチーズでクレームダンジュを作れば最高のものが作れるんじゃないか」という思いで今回クレームダンジュを作ってみました。 そこにパッハリート種という貴重なカカオの豆を散らし、カカオの香りとリコッタの香りを楽しんでいただけるデザートというものを作りました。 デザインは前回のモンブランに引き続き、徳永シェフにデザインをお願いしました。 というのも、あくまで萌絵ちゃんが作った作品なので、僕が作ってしまうと僕の作風に全部なってしまいますから。 今回も素敵なデザインにしていただきました。 コンセプト自体はリコッタチーズとカカオというのがテーマ。 敢えて複雑にし過ぎないようにしています。 普段レストランでシェフをする傍らで、水産資源の保護活動をしています。 というのも、日本の水産資源というのは徐々に減り続けていて、現在は枯渇している状態です。 皆さんはスーパーなどに行けばいつでも魚が売っているので、あまり気づいていらっしゃらないと思いますが、実はどんどん国産の魚が海外の輸入品に入れ替わっています。 こうして水産資源が減っている状況で、それに伴って本当に良い品質の魚が減ってきています。 僕は毎日魚を注文して魚を触っているからこそ、どんどん悪くなっているなというのを実感しています。 なんとかしなくてはいけないという思いがあり、水産資源の保護活動を、30人ほどのシェフ達とジャーナリストの方と一緒にNPO 法人を作って水産資源の保護活動をしています。 日本で長く食べられてきた太平洋クロマグロは現在、1960年頃に比べて12-3%にまで減っています、衝撃的な数字ですよね? マグロは今は、本当に最高のものが獲れなくなってきています。 この前「すきやばし次郎」の次郎さんにお話を伺ったんですけれど、ほんの2〜30年前の3番手4番手ぐらいのマグロが、今の1番手ぐらいの品質になっているんだそうです。 今回「マグロ」のテーマをいただいたとき、「僕はマグロを守っている身なので、そのテーマは辞めたい」と言い続けてきました。 けれどドラマのストーリーにおいて、それをどうしても取り上げたいという番組側からのアプローチを受けて、「マグロの事に触れないよりも作中で一言でも二言でもこの事を取り上げて頂く事で皆さんにこの状態を知っていただける事の方が良いのではないか?」と思いました。 なので、劇中でもマグロについて尾花さんは「太平洋マグロ(いわゆる日本の近海のマグロ)は使わずに、大西洋マグロ(ヨーロッパやアメリカ、インドなど遠洋にいるマグロ)を使う」とおっしゃっています。 大西洋マグロは水産資源の保護をしっかりとしてきた結果現在は資源回復をし始めています。 だから日本も同じように資源保護をしていけば、太平洋マグロも資源回復をすることができるのではないかと思っています。 劇中ではワイナリーの場所は山梨でしたが、、 北海道という土地に食材を合わせ、さらに季節は冬だったので、真鱈の白子を食材にチョイスしました。 白子は野菜のお出汁を使って一瞬だけポシェ 湯通し し、半生の状態にしています。 温かくなった白子は一度冷やして、それから香箱ガニというセイコガニ 松葉ガニのメス の身と内子 卵 ・外子 内臓 、その3つをほぐしてあわせたものを白子の下にソースとして敷いています。 白子の上にはシャンパンビネガーと少量のオリーブオイルを混ぜている刻んだお野菜を。 白子の食感はふにゃっとしているので、水菜、セロリ、ロケット、パセリ、フィーヌゼルブ ハーブをミックスしたもの をのせて、食感を出しています。 一番のポイントになるのはピーカンナッツをスライスしたものを熱々にローストして、最後にふりかけるということ。 白子はあったかいと生臭さが出てしまうので、冷やしたほうが臭いを抑えられていいのですが、ワインとのペアリングとして考えるとやや温度はあった方が良い。 「冷たく提供したいけど温度が欲しい。 」 一見矛盾していますが解決方法はあります。 白子に乗せたらジュッて音がするくらい熱々のピーカンナッツを振りかけることで、一緒に食べてもらうときに口の中で一瞬だけ温度があがり香ばしさやナッツの存在を感じられますが、咀嚼するとすぐに口の中は冷たくなり白子の臭みは抑えられます。 冷たいものと温かいものを同居させながら1つの料理にしたのが、この料理です。 日本は世界的にみても非常に高品質なジビエが獲れる国。 日本の誇れる食材だと思っているので、今回こちらをメインに使おうと思いました。 キジバトは非常に小さく火入れの難しい食材ですが、これを一羽まるごとゆっくりとローストしてから捌いてスネ以外の骨は全て取り除いています。 捌いた断面にパイ生地を貼り付けもう一度焼いています。 片面はローストした肉が剥き出しになっていて、もう片面は生地が付いている状態です。 2回焼くので逆算して火を入れながら焼き過ぎに注意します。 フランスの古典料理に「アンクルート」というパイ包みの料理があります。 素晴らしい料理ですが、パイ包み焼きの問題点として中のお肉が蒸されてしまい香ばしさが失われるという問題があります。 今回は片側しか生地を付けていないので、半分だけパイ包み焼きにして、裏面はローストの香ばしさが残ったままの状態。 ローストとパイ包み焼きのいいとこ取りをしたいと思って作ったお料理です。 ソースはザクロとオールドカンパリ。 赤ワインのソースの仕上げに1970年代に流通していた古いカンパリを使っているのですが今のカンパリと全然違い素晴らしい味と香りです。 さらにザクロと一緒にキジバトの内臓を炒めたものも添えています。 冷製で食べるクスクスのことを「タブレ」と言いまして、様々な野菜の角切りと合わせたパスタサラダのような物ですが、クスクス自体はお湯で戻すのが一般的です。 ここでは芹や色々な香草と野菜を使ったスムージーのような物でクスクスをもどしたために、緑色になっています。 これを型に詰めていきますが、その中に子牛の胸腺肉をいれています。 焼肉屋さんでいうとシビレと呼ばれる部位の肉で、僕たちは「リ・ド・ヴォー」という呼び方をしているのですが、牛のこどもがお乳を飲むために使う内臓で、大人になると退化してなくなってしまう部分でもあります。 そのリ・ド・ヴォーを熱々に揚げて、クスクスと交互に型の中に詰めていきます。 一見冷たい料理に見えるのですが、食べていただくと熱々のリ・ド・ヴォーが入っていることで、お客様が驚くところが面白いお料理だと思います。 フランス料理は温度感のない料理が多いのですが、今回のこの3つの料理の共通点は温度に非常に気遣ったと言う点です。 温度を大切にする料理は、仕上げるタイミングが非常に難しくそれぞれの料理人がいろいろなパーツを担当しているので全員の息が合わないと料理が完成しないチームワークが試される料理でもあります。 お子様にとって馴染みのあるもの…大好物であるだろうと、一口オムライスを作りました。 普通のオムライスだと、薄焼きの卵の中にケチャップライスが入っていますが、あの大きさを作るというのは意外と難しいんです。 全卵にチーズ、バターを入れて、マヨネーズくらいの粘度になるまで加熱をして、その加熱したものをフライパンの角っこに置き、その中にケチャップライスを巻き込んでというよりも、埋め込んでいるというほうが近いですね。 見た目はオムライスですが、卵の中にチーズやバターが通常のオムライスよりも入っていることで、フランス料理らしさを忘れずにお出ししています。 今回は、フランスのブルターニュ地方の定番料理で、そば粉を使ったクレープ、「ガレット」をイメージしました。 本来フランス流のガレットは、丸い円盤状の生地の中に思い思いの具材を入れて、四方を畳んで正方形にして、ナイフとフォークで食べていただくのですが、そうすると具材の水分によって、生地がふにゃふにゃになってしまうという問題があって、そこを解決したいと思ったのが今回のテーマです。 海苔巻きの海苔を想像していただくと、どうしても海苔のパリパリ感は減って、ふにゃふにゃになりますよね? それをどうにか食感を残したまま、そのまま美味しいクレープが食べたいなと思い、クレープを巻かないことにしたんです。 焼いたままのアツアツの状態をそのままお皿にのせて、具材も生地に乗っていますが、巻いてはいません。 そうすることで生地のパリッとした食感がなくならずに、食べることが可能なんじゃないかと思います。 その生地の上には、8種類のいろいろな調理法のキノコが乗っています。 ソテーしたものもあれば、コンセルヴという酢漬けのピクルス状になったキノコ…そして卵黄を付けて焼いたものなど。 いろんな種類のキノコをそれぞれの調理法に施し生地の上に 一列に並べ、お客さんご自身で巻いていただきます。 お話の設定では、相沢さんの奥様のエリーゼさんは、ブルターニュの出身ということで、彼女の郷土の料理を作り、日本の食材を使い手巻き寿司のような日本の文化とフランスの文化、両方がうまく組み合わさった料理となっています。 今回は、冬においしいお魚ということで、鰆(サワラ)を選ばせていただきました。 魚へんに春と書きますが、鰆の本当においしい時期は、秋から冬にかけて。 「カンテサンス」では6〜8キロの鰆を使っているのですが、「グランメゾン東京」でも同じくらいの大きさの鰆が使われています。 大きいものが美味しいとされていて、それ以下のものを使うことはあまりありません。 このお料理の最大の特徴は、火入れ。 大きな塊のままで肉も魚も焼いて、焼いたあとに切り分けていくのが「カンテサンス」の代名詞にもなっている火入れの特徴です。 1枚ごとに切り分けたお魚を焼くと、焼き目ができる表面積が増えますよね?そうすると、香ばしさが付くことで美味しさは生まれますが、香ばしさが前面に出すぎるために、何を食べているかわからなくなってしまうんです。 鯛(タイ)を食べていても、鱸(スズキ)を食べていても、どちらも同じように香ばしくて美味しいという感覚になるために、素材の良さをどこまで引き出したか、疑問がうまれます。 けれど、大きな塊を焼いたあとに切り分ければ、断面の部分には焼き目は存在しないのでより素材の味や香りを楽しんでいただくことができます。 また、火の入り方も大きな塊で焼いた方が良い状態で仕上げることが可能です。 付け合わせにしているのは、水晶文旦(鰆と同じく旬の果物)。 水晶文旦は身をほぐすことができて、1粒ずつバラバラになります。 そこに少量のニンニクとセロリのみじん切り、フヌイユ、天然の茸(チチタケ、ナラタケ、ショウゲンジ) それからフィーヌゼルブという香草を4種類くらい刻んだものと、文旦の果汁とオリーブオイルを混ぜて作ったソースを下に散らして、魚と一緒に召し上がっていただきます。 そして、付け合わせはラディッキオ・タルディーボというお野菜。 芯の部分をさっと炒めて、トマトとケッパー、赤ワインビネガー、フュメドポワソンと上に水菜。 それが付け合わせになっています。 「カンテサンス」では秋から冬にかけて、旬の魚である鰆の料理をお出ししています。 そこで試しに一尾仕入れてみることに。 新鮮な肝があるものを選びました。 すると、尾の部分に弾力があり肉のような食感で、肝との相性が非常に良いとわかりました。 クリーミーな食感と脂の濃厚さが加わるからです。 尾と肝の食感の違いを引き立てたかったので、他の要素は最小限にとどめ、味噌、きのこ、昆布など、深みと旨味を補いつつも魚自体の風味をかき消さない素材を使って仕上げました。 前菜は山羊のバヴァロア。 デザートは、メレンゲのアイスクリーム。 この2つはカンテサンスでは必ず出る料理です。 これもオープンしてから毎日作り続けている一品。 フランスで修行していた頃、僕が驚いたことの1つに、すごく大きなメレンゲのお菓子がフランスの至る場所で売っていたことでした。 日本だと小さいメレンゲを焼いたお菓子はありますが、フランスは本当にびっくりするくらい…野球帽くらいの大きさのものが、山積みになって売っています。 「フランスの人って一人でこれ食べるの?」と驚いたのを覚えています。 というのも、メレンゲの半分は砂糖作っているんです。 勉強のために一回食べたことがあるのですが、覚悟はしていましたが、想像以上に甘かった!美味しいものがたくさんあるフランスで、なぜあるのだろうと僕は本当に理解が出来ず、好きになれないものが「メレンゲ」。 実は大嫌いな食べ物なんです(笑)。 この大嫌いなメレンゲを美味しくすることが出来ないか…というのがこのアイスクリームを作った最初のテーマ。 僕が思う嫌いなものは、改善点がたくさんあるもの。 自分が嫌いなものをテーマに料理をつくることが好きです。 なぜならそこにはたくさんの伸びしろがあるから。 みんなが大好きで昔から愛されているメレンゲのお菓子があり、そこに伸びしろがあるのであれば、僕がそれを改善すれば、今よりもはるかに美味しいものを作ることが可能じゃないかと思いました。 メレンゲには課題がたくさんありました。 1つは甘すぎるということ。 けれど、焼いた香りは、他にはない、いい香りがします。 メレンゲを形成するために、砂糖をたくさん使うことは避けられない、でもこの香りは伝えたい…でも甘さは控えたい。 そう考えたとき、僕はこのメレンゲを通常どおりに作ってから、粉々に砕いて、その粉をアイスクリームの生地の中に入れることを思いつきました。 アイスクリームには、牛乳や卵も入っていますが、砂糖も当然入ります。 そのメレンゲを砕いた粉を砂糖代わりにしました。 アイスクリームの種類は世の中にいっぱいあって、種類は出尽くしています。 新しいアイスクリームを作るにはどうすればいいかと考えると、自分が一度作ったお菓子を原材料として使うことで無限の可能性が出て、メレンゲのアイスクリームという、今まで世の中に存在しなかったアイスクリームを作り出すことができました。 嫌いから始まり、いい部分を取り出し、嫌な部分をなくしている。 このアイスクリームが僕、大好きです。 そして、カンテサンスで一番人気があるのは、このアイスです。 メレンゲのアイスはそれで完成しますが、そこに最後にひと手間。 能登のお塩屋さんで、海水を濃縮して5倍くらいになったものを霧吹きにいれて、アイスにかけています。 塩キャラメルやスイカに塩をかけて、塩分をほんのちょっぴり感じると、甘さを際立たせる効果があると思います。 僕、塩キャラメルもそんなに好きじゃないのですが(笑)、なぜかというと、お菓子なのに最後までずっと甘じょっぱい塩分を感じ続けるから。 塩味は後に残るんです。 デザートなのに塩分が残るのは嫌ですよね。 それに対して、スイカに塩をふる行為。 あの調理法には意味があり、スイカの中に塩分があるわけじゃなくて、上から振っていることで、最初の一口は塩分をたくさん感じるけれど、二口目、三口目と、塩分は減っていく。 最後の後味は甘さだけ。 だから、メレンゲのアイスクリームも中に塩を加えるのではなく、できあがったアイスクリームに、霧吹きで塩分をかける。 そうすると単調なものではなく、塩分にグラデーションが発生していく。 デザートとして、最後は甘さで終わることが出来るんです。 そこがすごく大事だと思っています。 このお料理は、山羊のミルクを使ってゼラチンでかためているバヴァロアの部分に、マカデミアナッツと百合根が乗っていますが、このお料理で食べていただきたいのはそこではありません。 この料理で食べていただきたいのは、お塩とオリーブオイルです。 それを食べてもらうため、バヴァロアやマカデミアナッツ、百合根の食感は、それぞれ個性はあるけれど、味は優しいものばかり。 だからこそ、このお料理を食べていただくと、まず最初に感じるのはお塩でありオリーブオイルの香りなんです。 料理は材料が主役であって、そこに調味料で味をつける…という主従関係が本来のスタイルですが、このお料理では主従関係が逆転しています。 調味料が主役であり、主材料があくまでも縁の下の力持ちであるということ。 その逆転が、すごくおもしろいお料理です。 この料理を思いついたのは、当店の名刺代わりになる料理が作りたいというところからでした。 当店の前菜の一番最初に出てくる品であり「これから始まる料理は、こういう味付けでこういう調味料を使っていきます」と、知ってもらうための「アントレ(前菜)」です。 フランス語で前菜はアントレと呼びますが、この語源は玄関をさします。 これがこのコースの入口になる、店の名刺代わり、という意味を込めています。 このお料理は、一年中出しているメニューで、材料は基本的に一年を通して手に入ります。 しかし、ミルクを作る山羊の食事は、季節によって変わっていきます。 春は青々とした牧草。 冬場になるとそれが乾燥した牧草に。 そうするとミルクの味も変わっていきます。 スペシャリテとして毎回出ているお料理ですが、季節によって味の変化を感じてお楽しみいただくことが出来ます。 スタッフからのお題があり「第1話で雲丹の殻を使った料理があったと思いますが、お話の流れで、あの時と同じように祥平さんが尾花さんを手伝って、2人で料理を仕上げていくようにしたい。 殻を使った料理を考えて欲しい」というお題をいただきました。 前回の雲丹の殻は、蕎麦の実の香りと雲丹の前菜でしたが、メイン料理の前のあたたかい料理ならではで、もう少しボリュームがあり、熱々なものにしようというのがあって、殻にほかの魚介類も詰めて表面をグラタン状に焼いています。 前回はスープのようなものでしたが、今回は熱々のグラタン。 これらグラティネというのはフランス料理としては古典的なお料理です。 洋食のようだと感じられるかと思いますが、昔からフランスにある料理で、ここでは「サヴァイヨン」という、卵黄を泡立てたものを使う、比較的クラシカルで、いわゆる正統派のフランス料理というイメージで作りました。 雲丹の掃除はすごく大変なんですよ。 僕もフランス時代にやっていましたが、ちくちく刺さりながら、きちんとホールドしないと殻を開けられないし、でもちゃんと持てば持つほど、痛い。 本当に大変な作業で、僕も雲丹の掃除は嫌いな作業の1つでした(笑)。 今回も改めてやっていただきました。 鬼皮を焼いた後に水で煮出してから濾して水分をギリギリまで煮詰め、焼いた栗の香りを抽出しました。 栗の香りには何種類かありますが、実の香りと鬼皮の香りは別のものになりますので、栗の香りを強く感じながらも今までに感じたものとは違うモンブランになったと思います。 しかし、鬼皮には強いタンニンがあり、煮詰めたエッセンスは渋くてとても食べられません。 このタンニンを緩和するのは糖分になります。 糖分を大量に入れることでタンニンは感じにくくなり、デザートに使うことが可能になります。 けれど、このエッセンスを加えたマロンクリームが甘くなりすぎないように、糖分を逆算して減らすのがポイントです。 この作品は、作中の萌絵さんが考案したものという事で、作風が同じにならないように、(萌絵の)盛り付けやデザインについては「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」の徳永純司シェフに考案していただきました。 とても素晴らしい作品に仕上げていただきました。 有難う御座います。 この鹿のお料理は、監督や脚本家さんとお話する中で「鹿を無駄なく使う料理を考案していただきたい」とお願いがあり、オリジナルで考案しました。 コンソメは、本来クリアな色をしていますよね?フランス料理というものは、昔は王様が食べていた料理なので、味だけでなく美しさもとても大事にしています。 この澄んだコンソメをつくるのに、本来は卵白を使います。 フランスはワインの生産地としても有名ですが、ワインはなぜあんなに綺麗に澄んでいるかといったら、ワインも卵白で汚れを吸着し、ブドウの濁りとワインを分離させています。 卵白はそのあと取り除かれ、ワインに入っているわけではありませんが、クリアな色にするために卵白で濾しているんです。 それによって、鹿も無駄なく使いきれて、鹿の野生的な香りをコンソメに付けることができました。 コンソメに卵白の代わりに血液を使い、水の代わりに赤ワインを使っています。 鹿の料理で赤ワインのソースを使うのは、フランス料理の古典において、定番の組み合わせです。 今回は赤ワインのソースではなく、赤ワインのコンソメにして、そこには鹿の香りをさせるというのは、新しくもあり、王道の料理ではないかなと思って作らせていただきました。 ドラマの物語は、秋から冬にかけてのお話なので、秋ナスをおいしく食べられる料理を考案しようと始まり、この料理になりました。 ナスには春ナスと秋ナス、2回の旬があり、春ナスは皮が柔らかく、水分が多いので滑らかで柔らかいのが特徴。 対して秋ナスは、皮が固く、身もしっかりしていて、加熱しても身が崩れないのが特徴。 秋ナスの良さ、秋ナスでしかできないことを活かそうと考えました。 また、野菜だけだと物足りなさがあったので、ホロホロ鳥のレバーとカカオ(甘くないチョコレート)をパリパリとおせんべいのようにして、ナスとホロホロ鳥をサンドイッチ。 ナスを加熱したあと冷製にするため、14ミリにスライスしたナスをオリーブオイルで焼いて、シェリービネガーと数種類の調味料をいれてマリネし、ホロホロ鳥のレバーと一緒に層を作ります。 この層にするのが春ナスではできない、しっかりした秋ナスならではです。 この料理は、今年は出していませんが、去年は僕の店で出していたお料理で、当店のいわゆる「スペシャリテ」と呼ばれる、得意料理です。 「クスクス」は元々南の国の方々の食文化。 それがフランスでは自然に溶け込んでいました。 の時間にならないかな」とか、「今日は一体どんな作り方をしたんだ」みたいな話をしていました。 「僕はこういうアイディア持っています」と。 ただ食事を作るのではなく、シェフに対してアピールが出来る場でもあるんです。 それでシェフからコメントいただいたり、褒めてもらったりすると、それは次の仕事のモチベーションになったりするんです。 その中でも、クスクスはご馳走の日というイメージです。

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