俺 は ジンオウガ に なっ て しまう。 ~何故オタクは俺の嫁から僕のママになったのか~オタクで知る社会の闇

【画像】俺の加湿器、化け物になってしまう: GOSSIP速報

俺 は ジンオウガ に なっ て しまう

黒板に書かれている事に絶句した。 星の王子様が良からぬ方向に進化してしまった事をだって脚本家は海老名姫菜であるからだ。 絶対BL臭くなるのは妥当なので、俺は奴の視界に止まらないようにフェードアウトしたのだ。 林間学校の発言から俺はヤバイと何かを察知しその場を後にした 「奉仕部に行くか」 雪ノ下と由比ヶ浜と川崎のいつものスタイルで奉仕部が再開することを嬉しく思う…軍人ぽいな俺… 「姉さんが迷惑を掛けたわね比企谷くん」 「気にしねえよ。 分かった事はお前の姉ちゃんがちょーおっかねえ奴だと認識したからよ」 「何? あの人そんなにヤバイ人だったの? 」 「その通りだ」 ああ本当めんどくせえ人に会っちまったよ。 神様変な所で頑張らなくていいから本当、大してやることもなく今日の部活は終わった…そして翌日、風邪気味だったので保健室に休んで教室に戻ったら文化祭の実行員になっていた。 マジかよ、平塚先生勘弁してくれよ しかし、女子のメンバーが決まらない。 俺の顔を見ようともしないルーム長がじゃんけんで決めようと言い出したが、三浦が威嚇する。 けど由比ヶ浜が挙手をする。 それに嘲笑を向ける人物が 「えー、結衣ちゃん、やるんだー? 」 「…うん」 「でもそういうのいいよね! 仲良い同士でイベントとか超盛り上がりそ~」 その言葉で相模の周囲の友人たちもクスクスと笑う。 カースト最底辺の俺をチラチラと見ながら…それに戸塚っと川崎の表情が険しくなるが 「つーかさ」 ここで三浦の一声で相模たちの笑みが消える。 お前、どんだけ恐れられてやがる!? 「結衣はあーしと一緒に脚呼び込む係だから無理っしょ」 「そーなんだ、呼び込むも大事だよねー」 「そ、そーそー、呼び込みも重要、って、あたしが呼び込みやるの、いつの間にか決まってたんだ!? 」 笑顔が崩さないが三浦への刺激を避ける相模。 まあそこら辺の奴が三浦に強く出れる奴はいない、呼び込みに関しては打ち合わせはしてなかったのかよ 「リーダーシップ発揮してくれそうな人にお願いしたいってことでいい? 」 「したっけ、相模さんじゃね? 」 「ああ、いいかもな。 相模さん、ちゃんとやってくれそうだし」 ふーん、相模を推すのかお前ら…別に構わねえが 「えぇ? うちぃ? うちにできるかなぁ。 ぜーったい無理だぁってぇっ! 」 なんだろうな…このモヤモヤは 解散となり今日から実行員としての仕事が始まった。 遅れないように会議室へと向かう。 相模が友人との話声のデカさにうんざりしつつ時計を見ていると扉が開く音が… 雪ノ下だ。 やはり来たか彼女は顔を合わせた時、少しだけ表情が柔らかくなった。 言葉を交わす事はなく席に着くその姿に釘付けになる奴が大半だったが雪ノ下はそれらには目もくれず席についた。 「それでは、文化祭実行委員会を始めまーす」 肩まであるミディアムヘアーで前髪にはピンが、デコがよく見える優しいそうな女子生徒が号令をかける。 城廻めぐり…今の生徒会長だ。 ゆるふわな素振りを見せながら会議が進む。 実行委員長についての話が上がるこれは二年生が務めるらしく立候補して欲しいとの事だ。 誰も手を挙げようとしないし厚木先生が覇気が足らんだのと気合を入れてくる。 それでも上げず城廻先輩も困った様子だったが 「…お。 お前、雪ノ下の妹か! あのときみたいな文化祭を期待しとるけぇの」 陽乃さんはやっていたようだ。 それほど成功を収めたということか、当然期待の目が雪ノ下に集中する。 めぐり先輩が雪ノ下が陽乃さんの妹だと気付くが 「実行員として善処します」 バッサリと切り捨てる雪ノ下に惚れそうになったが不機嫌そうにも見えた。 陽乃さんが雪ノ下は自分の後を追いかけるって言っていたが…なんか違う気がするな。 めぐり先輩が推薦をだしにするがその程度では落ちませんよこいつはパンさんか猫なら可能性がありましたけど 「あの…」 手を上げる奴がいた。 そいつは 「みんなやりたがらないなら、うち、やってもいいですけど」 「二年F組の相模南です。 こういうの、少し興味あったし……、うちもこの文化祭を通して成長したいっていうか……、あんまり前に出るの得意じゃないんですけど、あれうち何言ってるんだろじゃあやるなって話ですよね! あ、でも、そういうの変えたいと思うし。 なんていうんですか? スキルアップのチャンスだと思うんで頑張りたいです」 ほう大層な抱負だな……だがな、それは真意か? 由比ヶ浜と俺に蔑んだ視線を送ったお前にその言葉に真意はあるのか? そんな疑問を抱く暇もなく役割、仕事分担の選別が始まり俺は記録雑務になった。 何も起きなければいいと思うんだがな…… 杞憂で終わればいいんだが…… 俺は憤慨した。 演劇に出ることになっていたことを勝手に決められた事を 「…出ないぞ俺は」ゴゴゴゴゴッ 「え!? ていうかマストゲイだよ! 」 「俺は文実だ…だから出ない代役でも探してろ」 明らかに落ち込む海老名。 よかった文実に入っておいてよかった…誰が好き好んでBL染みた演劇に出なければならんのだ。 尚、代役は戸塚になった。 罪悪感が半端ない…すまねえな戸塚いつか詫びを… 「アンタも大変だね…まっ文実頑張ってよ」 「おう分かった…取り敢えず奉仕部行くか」 「二人とも待ってよ~」 奉仕部には先に雪ノ下が来ていた。 お互いに文実に入っていることを茶化すが 「海老名の演劇に出ないでこっちが全然マシだ…」 「ご愁傷様ね…」 「察してくれたか…」 「失礼しまーす」 会話が中断され部室に入ってきたのはなんと相模。 何しに来たんだ…他の二人を連れ薄笑いしながら入ってくる。 「って、雪ノ下さんと結衣ちゃんじゃん…へぇ~、奉仕部って雪ノ下さんたちの部活なんだぁ」 おい、俺と川崎を無視か? 随分と失礼な奴だ。 安心しろよ俺もお前なんか眼中にすらねえよ。 狡猾な目宿す相模だが 「何かご用かしら? 」 冷たい声で返す雪ノ下に思わずたじろぐ相模、俺も凍えているけどね 「ちょっと相談があって、来たんだけど…」 こいつは最初誰かに迷惑を掛けたくないと言うが、雪ノ下はそういうリスクを負って立候補したのではないかといい言葉を詰まらせるが一人よりも誰かと協力して成し遂げるのも成長の一つと言い張る。 その主張で感じたのは相模は雪ノ下に協力をせがんで文化祭実行委員長の肩書きを欲しているだけに過ぎない。 こいつ虚勢を張るだけ犬だ、三浦とやり取りの時にそう感じた。 正直言おう…この依頼は引き受けるべきではない。 こいつの尻持ちをする必要性はない 「…話を要約するとあなたの補佐をすればいいということになるのかしら」 「うん、そうそう」 「そう……。 なら、構わないわ。 私自身、実行委員なわけだし、その範囲から外れない程度には手伝える」 「本当に!? ありがとー! 」 「…部活、中止するんじゃなかったの? 」 由比ヶ浜が雪ノ下の前に立ち少々冷めた口調で尋ねる 「…私個人でやることだから。 あなたたちが気にすることではないでしょう」 「雪ノ下…アンタさ。 あいつがそんな真面目に依頼すると思う? 絶対に何かあるよ」 「俺もだ。 あいつお前の生真面目さを利用しようと思ってるんだがな」 俺と川崎は雪ノ下に忠告するが… 「いつも通りよ。 …別に変わらないわ」 「でも、みんなでやったほうが」 「結構よ。 文化祭実行委員会のことなら多少勝手はわかっているから。 私一人でやったほうが効率がいいわ」 「効率って…そりゃそうかもしんないけど…」 由比ヶ浜は雪ノ下を説得しようとするが俺は制止させた。 どうにも何かが引っ掛かるのだ。 川崎の方にも目配りする 「由比ヶ浜…教室にいこ」 「う、うん…」 川崎に頼んで由比ヶ浜を一旦退室させる。 さて、ここは俺と雪ノ下だけしかいない空間だ。 俺はある違和感を感じていた。 雪ノ下は遊戯部の件で一回痛い目に遭ったはずだ。 なのに同じ様な事をしようとしているしそれの自覚がある。 なのに頑なに依頼を受けようとするのか? 相模の考えを見抜けない奴ではない…なのに何故? 「…何も言わなくても分かるな? 」 「ええ…」 背伸びして首を鳴らし雪ノ下を見続ける。 何故だろう悲しいと思ってしまう 「俺と由比ヶ浜…川崎に戸塚たちもいる。 もし、何かあったら…言え。 それだけだ…確かに伝えたぞ」 それだけ伝えて俺は奉仕部の部室を後にした。 外に出ると地団駄を踏む由比ヶ浜とそれを宥める川崎が待っていた 「なんかもう! なんかもう! その様子がとても可愛らしいのだがそんな洒落ている場合ではない。 由比ヶ浜にしては珍しい表情で川崎も困惑している 「なんか…いつものゆきのんじゃないし。 それに…さがみん絶対に」 「アンタ、相模と知り合いだったの? 」 「実はね…あたしさがみんが苦手なんだ…」 「なんで? 」 由比ヶ浜の口から語れるのは相模との過去の話だ。 一年生の頃、彼女とは同じグループだったらしく目立つ存在だったらしい、それで相模は自信に持ったらしい。 確かに相模は対人スキルと自己アピールは良いが肝心の能力はどうなんだろうな。 それに由比ヶ浜は今だ友人だと思うが相模は少なくともそう思わないだろう 女子の友好関係は怖いもんだ。 だが、あいつには天敵がいる。 それが三浦優美子という存在だ。 三浦は性別関係無くグループを作り葉山や由比ヶ浜なども居るグループだ。 トップカーストの人間、でも相模はそんな三浦優美子に勝てるはずもなくトップから2番目に立ち位置でとても本人が満足するような結果ではないだろう。 更にそこに由比ヶ浜がいるという事を好意的に見られないだろう。 あいつ本当に面倒くさい女だな…… 「…あたし、思ってたよりずっとゆきのんのこと好きなのかも…他の子がゆきのんと仲良くなろうとするのが嫌なのかも。 ……小さい子みたいだね」 「……それは別にいいんじゃない? それほどにアンタが雪ノ下の事を大切に思っている証拠だよ」 「取り敢えず雪ノ下にはちゃんと言っておいたしヤバかったらフォローするさ……まあでも相模の出方だよな…あいつが真面目に取り組むのかどうか…」 「見立ては? 」 「雪ノ下に頼ってきたからな…怪しい」 由比ヶ浜と別れ文実の会議室へと向かう。 途中、材木座と出会うが特に何も無かったので割愛だ 雪ノ下が副委員長に就任して初めての会議が始まる。 相模が定例ミーティングを溌剌した声で発表していく。 それぞれの担当分担が報告する。 それを相模が満足しながらうんうんと頷く今の相模にとって良い気分だろう 「いいえ。 少し遅い」 がしかし雪ノ下がそんな優悦をかき消す声が…お前本当に容赦ねえな…女って面倒くせえな… でも、よくやったと俺は思っている 「文化祭は三週間後。 来客がスケジュール調整する時間を考慮には入れればこの時点で既に完了していないといけないはずです。 掲示箇所の交渉、HPへのアップは既に済んでいますか? 」 「まだです…」 「急いでください。 社会人はともかく、受験志望の中学生やその保護者はHPを結構こまめにチェックしていますから」 「は、はい」 そこの部署だけではない他の部署にも手厳しい追及が入る。 だが、ただ 責するだけではなく問題点を提示してケツを叩くので効率があがるし何よりも雪ノ下を怒らせたくないという思いがあるのだろう 尚、記録雑務は特に何も問題がない。 この部署でよかったかもしれないな雪ノ下の様子を見れるし相模の動向も見れるし何よりもあの演劇に出れなくていいと思っている、いやほんと この後も三年生に遠慮せず物申す為、会議が捗る捗る。 城廻先輩からも褒められ他の実行員達も雪ノ下を称賛する。 だが、ここで面白く思わない人物がいる そう相模だ。 本来ならその称賛を受けるのは自分なのだから相当気に食わないのだろう。 今日はそれで解散となったが明日からは本格的に始動しそうだ 文実の仕事前に教室を覗くと海老名と女子陣によるスパルタ指導に葉山が犠牲になるドンマイ。 そして、戸塚よ本当にすまない。 川崎も役割分担を担ったようだ、まあ、俺が海老名に一声掛けたんだがな 「んで、衣装担当になったんだな川崎」 「うん、まあ裁縫とか得意だから」 「けーちゃんの服とか直していたもんな…それにしても」 「大丈夫大丈夫。 雪ノ下さん超頼りになるし~。 それに、クラスの企画申請書、書くのもうちの仕事だからさ~」 由比ヶ浜が相模に文実について尋ねるがこの返しだ。 まさかとは思うがこいつサボりつもりじゃあないだろうな? そろそろ時間なので会議室に向かう為教室を後にすると 「今から文実? 」 メイクを落とす葉山に遭遇、文実になんで来るのか目で訴えると有志団体の申し込みをするようなので一緒に行く事に会議室の扉を開ける。 開けた瞬間、後悔した なんでお前そこにいる雪ノ下陽乃。 雪ノ下とめぐり先輩と何やら話しており、耳を澄ますと有志バンドで盛り上がったとかだが、雪ノ下が唇を噛み締めてしたのが印象に残った 「あれ、比企谷くんだ、ひゃっはろー! 」 幻覚だといいなー……そんな話ねえか。 この人…一体何に来たんだ? 何もしなければいいんだがな.

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43 きみにはこっそり教えたくなってしまうな

俺 は ジンオウガ に なっ て しまう

体育祭の準備が始まってから、ずっと気になっていたことを尋ねると、リオンハルトが頷いた。 「いけない、いけない。 応援合戦の内容は、本番まで相手側には教えないことになっているんだよ。 その方が、サプライズで楽しめるだろう? だというのに、つい答えてしまいそうになった」 唇の前に人差し指を立てたリオンハルトが、 悪戯 ( いたずら )っぽく片目をつむる。 「愛らしい君に尋ねられたら、口に掛けた鍵をうっかり外してしまいそうになる」 だから! 隙あらば砂糖をぶっこんでこなくていいから! でも、そうか……。 どんなイゼリア嬢を見られるかとワクワクしてたけど、体育祭当日までおあずけかぁ……。 「秘密だというのなら、我慢するしかありませんね」 答えつつ、残念な気持ちが隠し切れず嘆息すると、リオンハルトが困ったように眉を寄せた。 「きみの哀しげな顔を見ると、その憂いを晴らしたくて、 言 ( げん )をひるがえしてこっそり教えたくなってしまうな」 「お言葉はありがたいですが、結構です。 生徒会長自らが決まりを破られては、他に示しがつきませんでしょう?」 即座に返すと、リオンハルトが笑みを深めた。 「なんだか、きみにはよく注意されている気がするね」 「す、すみませんっ。 ご不快でしたらお許しください」 俺はあわてて謝罪する。 生徒会の先輩と後輩ではあるが、本来の身分は第二王子と弱小貴族の娘だ。 不敬罪に問われたら、ひとたまりもない。 というか、第二王子様が供もつけずにふらふら歩いていていいんだろうか……? 駅に近づくにつれ、人の姿もちらほらと見えてくる。 学園の正門から、緩やかに曲がりくねりながら伸びる歩道の先にある最寄駅は、名前も立地そのままの「聖エトワール学園前駅」という名前だ。 とはいえ、生徒のほとんどは車通学なので、駅の利用者のほとんどは食堂や売店の職員だったり、庭師だったりという聖エトワール学園の関係者だ。 駅前らしく、雑貨屋や文具店、弁当屋などいくつかの店が立ち並んでおり、少ないとはいえ、人通りもあるが……。 (すげぇいたたまれない……!) 老若男女、道行く人々の視線を一身に集めているのはリオンハルトだ。 誰もが皆、リオンハルトの高貴な空気に 見惚 ( みほ )れ、感嘆の吐息をこぼしている。 が、リオンハルト当人はあくまでも自然体だ。 衆目に 晒 ( さら )されることに慣れているのだろう。 俺なんか、今すぐリオンハルトの隣から逃げ出したいというのに。 (俺が隣にいるせいでリオンハルトが見づらいとか、心の中で文句を言われてるんじゃなかろうか……) リオンハルトに向けられた視線の何割かが、次いで俺にも向けられるので、小市民には、居心地悪いことこの上ない。 「どうかしたのかい?」 リオンハルトに気遣わしげに尋ねられて、初めて気づく。 早くこの状況から逃げ出したくて、無意識に早足になっていた。 「い、いえ……。 その、そろそろ電車の時間が迫っているので……。 あっ、ほら。 リオンハルト先輩のお車もお待ちですよ」 駅前のロータリーに、明らかに周りから浮きまくった高級車が、一台停まっている。 「リオンハルト先輩のワガママで待たせ過ぎては運転手さんにも悪いでしょう?」 だからさっさと行ってくれ! と、内心で願いながら告げると、リオンハルトが柔らかに微笑んだ。 周囲の人々から感嘆のため息がほとばしる。 何人かが目をハートマークにして気を失いかけていた。 おいっ、その無差別兵器同然の微笑みはしまっとけ! 被害がどんどん拡大してるからっ! と、リオンハルトの甘い響きの声が俺の 耳朶 ( じだ )を 撫 ( な )でる。 「きみは誰にでも優しいんだね。 可憐な 容貌 ( ようぼう )だけじゃなく、心まで天使のようだ」 「はうっ!」 変な声がそばで聞こえた。 俺じゃない。 不幸にも、たまたまそばをすれ違ってリオンハルトの呟きを耳にしてしまったおばさんだ。 いや、 恍惚 ( こうこつ )に満ちあふれた表情を見るに、幸福なのか……? とりあえず、見知らぬおばさんが犠牲になってくれたおかげで、俺は冷静さを保つことができた。 自分より動揺している人を見ると、逆に落ち着くものだ。 ありがとう、見知らぬおばさん! と心の中で感謝しつつ、そっけなく答える。 「そんなことありません。 ヴェリアス先輩には、「小悪魔」と言われたくらいですから」 「ヴェリアスに?」 リオンハルトの碧い瞳が興味深そうにきらめく。 かと思うと。 「いったい、ヴェリアスとどんなやりとりをして言われたのか……。 気になるね」 リオンハルトの右手が、俺の頬に添えられる。 その手に導かれるように端麗な 面輪 ( おもわ )を見上げると、碧い瞳が心の中まで見通そうとするかのように、じっ、と俺を見つめていた。 「わたしも見てみたいものだ。 愛らしいきみなら、たとえ小悪魔でも魅力的だろうね?」 唇に楽しげな笑みを刻んだリオンハルトが、甘く囁く。 背後で、流れ弾に当たった通行人が、感極まった呻き声を上げているのが聞こえる。 ……失神者出てないか? これ。 周囲の熱気にあてられたかのように、俺の頬まで熱くなる。 「し、知りませんわ! 私は天使でも小悪魔でもありません! しがない一庶民でしかありませんから! 約束の駅に着きましたから、鞄を返してください!」 頬にふれる手から逃げ、俺は右手を差し出す。 「……心楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうのが残念だね」 吐息したリオンハルトが、しぶしぶといった様子で俺の通学鞄を差し出す。 俺は一刻も早く駅に着きますようにって願ってたけどなっ! 鞄を受け取った途端、きゅっ、と手を握られた。 「夕闇も迫ってきた。 危ない目に遭わないよう、気をつけて帰るんだよ?」 俺がいま一番、身の危険を感じてるのはあんただよっ! 心の底からのツッコミを喉元で抑え込み、俺は「失礼します」と一礼すると、逃げるように改札口へ駆け込んだ。

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43 きみにはこっそり教えたくなってしまうな

俺 は ジンオウガ に なっ て しまう

体育祭の準備が始まってから、ずっと気になっていたことを尋ねると、リオンハルトが頷いた。 「いけない、いけない。 応援合戦の内容は、本番まで相手側には教えないことになっているんだよ。 その方が、サプライズで楽しめるだろう? だというのに、つい答えてしまいそうになった」 唇の前に人差し指を立てたリオンハルトが、 悪戯 ( いたずら )っぽく片目をつむる。 「愛らしい君に尋ねられたら、口に掛けた鍵をうっかり外してしまいそうになる」 だから! 隙あらば砂糖をぶっこんでこなくていいから! でも、そうか……。 どんなイゼリア嬢を見られるかとワクワクしてたけど、体育祭当日までおあずけかぁ……。 「秘密だというのなら、我慢するしかありませんね」 答えつつ、残念な気持ちが隠し切れず嘆息すると、リオンハルトが困ったように眉を寄せた。 「きみの哀しげな顔を見ると、その憂いを晴らしたくて、 言 ( げん )をひるがえしてこっそり教えたくなってしまうな」 「お言葉はありがたいですが、結構です。 生徒会長自らが決まりを破られては、他に示しがつきませんでしょう?」 即座に返すと、リオンハルトが笑みを深めた。 「なんだか、きみにはよく注意されている気がするね」 「す、すみませんっ。 ご不快でしたらお許しください」 俺はあわてて謝罪する。 生徒会の先輩と後輩ではあるが、本来の身分は第二王子と弱小貴族の娘だ。 不敬罪に問われたら、ひとたまりもない。 というか、第二王子様が供もつけずにふらふら歩いていていいんだろうか……? 駅に近づくにつれ、人の姿もちらほらと見えてくる。 学園の正門から、緩やかに曲がりくねりながら伸びる歩道の先にある最寄駅は、名前も立地そのままの「聖エトワール学園前駅」という名前だ。 とはいえ、生徒のほとんどは車通学なので、駅の利用者のほとんどは食堂や売店の職員だったり、庭師だったりという聖エトワール学園の関係者だ。 駅前らしく、雑貨屋や文具店、弁当屋などいくつかの店が立ち並んでおり、少ないとはいえ、人通りもあるが……。 (すげぇいたたまれない……!) 老若男女、道行く人々の視線を一身に集めているのはリオンハルトだ。 誰もが皆、リオンハルトの高貴な空気に 見惚 ( みほ )れ、感嘆の吐息をこぼしている。 が、リオンハルト当人はあくまでも自然体だ。 衆目に 晒 ( さら )されることに慣れているのだろう。 俺なんか、今すぐリオンハルトの隣から逃げ出したいというのに。 (俺が隣にいるせいでリオンハルトが見づらいとか、心の中で文句を言われてるんじゃなかろうか……) リオンハルトに向けられた視線の何割かが、次いで俺にも向けられるので、小市民には、居心地悪いことこの上ない。 「どうかしたのかい?」 リオンハルトに気遣わしげに尋ねられて、初めて気づく。 早くこの状況から逃げ出したくて、無意識に早足になっていた。 「い、いえ……。 その、そろそろ電車の時間が迫っているので……。 あっ、ほら。 リオンハルト先輩のお車もお待ちですよ」 駅前のロータリーに、明らかに周りから浮きまくった高級車が、一台停まっている。 「リオンハルト先輩のワガママで待たせ過ぎては運転手さんにも悪いでしょう?」 だからさっさと行ってくれ! と、内心で願いながら告げると、リオンハルトが柔らかに微笑んだ。 周囲の人々から感嘆のため息がほとばしる。 何人かが目をハートマークにして気を失いかけていた。 おいっ、その無差別兵器同然の微笑みはしまっとけ! 被害がどんどん拡大してるからっ! と、リオンハルトの甘い響きの声が俺の 耳朶 ( じだ )を 撫 ( な )でる。 「きみは誰にでも優しいんだね。 可憐な 容貌 ( ようぼう )だけじゃなく、心まで天使のようだ」 「はうっ!」 変な声がそばで聞こえた。 俺じゃない。 不幸にも、たまたまそばをすれ違ってリオンハルトの呟きを耳にしてしまったおばさんだ。 いや、 恍惚 ( こうこつ )に満ちあふれた表情を見るに、幸福なのか……? とりあえず、見知らぬおばさんが犠牲になってくれたおかげで、俺は冷静さを保つことができた。 自分より動揺している人を見ると、逆に落ち着くものだ。 ありがとう、見知らぬおばさん! と心の中で感謝しつつ、そっけなく答える。 「そんなことありません。 ヴェリアス先輩には、「小悪魔」と言われたくらいですから」 「ヴェリアスに?」 リオンハルトの碧い瞳が興味深そうにきらめく。 かと思うと。 「いったい、ヴェリアスとどんなやりとりをして言われたのか……。 気になるね」 リオンハルトの右手が、俺の頬に添えられる。 その手に導かれるように端麗な 面輪 ( おもわ )を見上げると、碧い瞳が心の中まで見通そうとするかのように、じっ、と俺を見つめていた。 「わたしも見てみたいものだ。 愛らしいきみなら、たとえ小悪魔でも魅力的だろうね?」 唇に楽しげな笑みを刻んだリオンハルトが、甘く囁く。 背後で、流れ弾に当たった通行人が、感極まった呻き声を上げているのが聞こえる。 ……失神者出てないか? これ。 周囲の熱気にあてられたかのように、俺の頬まで熱くなる。 「し、知りませんわ! 私は天使でも小悪魔でもありません! しがない一庶民でしかありませんから! 約束の駅に着きましたから、鞄を返してください!」 頬にふれる手から逃げ、俺は右手を差し出す。 「……心楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうのが残念だね」 吐息したリオンハルトが、しぶしぶといった様子で俺の通学鞄を差し出す。 俺は一刻も早く駅に着きますようにって願ってたけどなっ! 鞄を受け取った途端、きゅっ、と手を握られた。 「夕闇も迫ってきた。 危ない目に遭わないよう、気をつけて帰るんだよ?」 俺がいま一番、身の危険を感じてるのはあんただよっ! 心の底からのツッコミを喉元で抑え込み、俺は「失礼します」と一礼すると、逃げるように改札口へ駆け込んだ。

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