ばかな男でごめんな誰よりも輝いていた女 歌詞。 心に焼き付く歌詞のフレーズ2006

Do It BANG BANG(榊原郁恵)歌詞

ばかな男でごめんな誰よりも輝いていた女 歌詞

「もう、ついてこないでください!!! 」 「ちょ、ちょっと待ってよ!! 政宗君っ!!! 」 僕の呼び掛けに答えてくれないまま、足をはやめる政宗君。 僕から逃げるように、時々振り返る彼の表情は恋人に向けるような顔じゃないことは、誰が見ても一目瞭然。 ……僕、いま避けられてる…?? 謝りながら政宗君の足にすがりつく。 「ごめん、ごめん、ごめんってば!!! 待って、待ってよ!!! 」 「……」 「謝るから、ねっ!? 僕が悪かったよ、だから、お願い!!! 捨てないでっ!!!! 」 「……っ…、あんた、女ですか…?」 「え…?」 「女々しいんですよ、家康さん!!!! もうついてこないでくださいっ!! 」 「あ、政宗君っ!!!!!! 」 僕の手を離れていく彼が遠ざかる。 涙で滲んだ景色の中、一度だけ政宗君が振り返った気がした。 幸村の家 正しくは彼の保護者の家だけど で泣きながら彼に全てを話した。 政宗君のことを思い出せば思い出すほど辛くなってくる。 なんでフラれたのかも分かんないし、政宗君が僕を嫌いになる理由も要素も見つからない。 だから余計納得いかないし、悲しくなるんだ。 「なんで…政宗く…ん…」 「………ちょっと、ねぇ、なんでフラれたか分かんないってどうゆうことなの?政宗クンに何かしたんじゃないの?」 「そんな、こと、してないっ…うっ…」 「政宗クンは理由もなしに人をフるようなヒトじゃないよ。 家康クンに何か問題アリなんじゃないの?」 「…僕は…政宗君が傷つくようなことなんてしてないし…。 いつだって彼を一番に考えて…。 それに政宗君も僕のこと好きだっていつも言ってくれてたし…」 「……ねぇ、なんとなく予想できたんだけど…今日政宗クンとどうゆう会話したか教えてくれない?」 「え…?あ、うん…」 幸村にそう言われて僕はさっきまでのことを話し始めた。 [newpage] 「すみません家康さん、待ちました?」 「ううん全然、僕も今来たところだよ。 」 ほんとは一時間前から来てたけど。 口には出さなくても、政宗君にはバレてるみたいだった。 僕が約束の一時間前には待ち合わせ場所にいることを知っている政宗君は申し訳なさそうにしていた。 そうゆう政宗君も約束の時間の数十分前には来てくれてるから優しいな、って思う。 「じゃあ行こうか」 今日は僕の大学も休みで会社に用事もなかったので学校終わりの政宗君にデートのお誘いをしてみた。 すぐに政宗君から返信がきて、二人で遅めのランチに行くことになった。 制服姿の政宗君は見慣れてるとはいえ、やっぱり可愛いな、なんて。 行きつけのイタリアンカフェで食事を済ませてから近くの公園を歩いていた。 「あ、そうだ。 これ、政宗君にプレゼント」 「え?」 「僕とおそろいなんだけどペアリング、あげる! 」 「あ…え、と…ありがとうございます。 でも、高価なものじゃないですか?」 「そうでもないから、気にしないで! ほら、つけてみてよ」 「あ、はい…」 控え目にシルバーリングを指に通す政宗君。 一際細くて綺麗な薬指に、それはぴったりとはまった。 うん、サイズもばっちりだ。 僕とおそろい、小さく言って自分の左手のリングを彼に見せる。 政宗君は恥ずかしそうに俯いてしまった。 そんなところも可愛いんだから、なんて言ったらまた困らせちゃうかな? これで政宗君とおそろいで身に付けているものは何個目だろう。 時計、鞄、靴、洋服に携帯。 それから… [newpage] 「ちょっとストップ。 」 「へ?」 「……待って、ちょっと一旦停止ボタン」 幸村に言われ思考をいったん目の前で物凄い険しい顔を披露している彼にむける。 今からが重要なところなんだけど、顔で不満を表すと幸村は呆れた、と一言呟いた。 「え?」 「当たり前じゃん。 政宗君が別れたかったの」 「はぁっ!? 今の話聞いてどこをどう解釈すればそうなるんだよ! 」 「全部。 」 「え…?」 ソファから立ち上がった幸村に凄い剣幕で見下ろされる。 とゆうか見下されてる……!!?? 「あぁもう真面目に聞いたボクがバカだった。 」 「え、え…?」 「家康クン、政宗クンと付き合ってどれくらい経ったワケ?」 「えと……一週間…。 昨日で…」 「一週間でしょ。 たった、ねぇ、7日間しか経ってないのわかってる?そんな恋人にペアのリングとか、重いに決まってんじゃん」 「え…」 「一週間って言ったらお互いのこと話したり、一緒にいてもっとお互いを理解しようって思う時期でしょ。 政宗クンだって付き合って一週間でそんなプレゼント押し付けられても困るに決まってんじゃんか」 「そ…それは…」 「だいたい待ち合わせの一時間前に来るってナニ?気持ち悪いんだけど。 待ち合わせしてる意味ないじゃんそれ。 」 「そ、それは、政宗君に早く会いたくて…」 「いやだからそれが重いって言ってんの」 「……」 「なんでもおそろいって…女子じゃないんだからさぁ…。 小学生だよ。 とゆうかどうせ政宗クンの許可なく勝手に買い揃えて無理矢理押し付けたんでしょ?」 「…そ、そんなこと、」 「ない、って言えるの?」 泣きそうだ。 とゆうかもう泣いてるけど。 幸村の攻撃は終わらない。 「洋服、カバン、それにケータイ?重いとか超えてきもいよ、それ」 「ま、政宗君は喜んでくれてたもん! 」 「それは気ぃつかってたんでしょ。 政宗クン優しいし。 てかさ、政宗クンにとっては初めての彼氏で、しかも年上。 その彼氏が乙女度マックスで女々しくて、尚且つ重いとか…。 悪夢じゃんか」 「……」 「よく一週間ももったよ、政宗クン。 ボクなら3日、耐えられるかどうか、だな。 」 幸村はそう言い放って、もう一度ソファに寝転んだ。 僕はというと、あまりのショックで固まることしかできなかった。 「家康クン、乙。 」 「…そ…そんな…」 「政宗クンはこんな女々しい人好みじゃないんだよ。 とゆうか今時捨てないでって泣きながらすがりつく男、あり得ないから」 最後の一撃で完全にHPはなくなった。 笑いながら言う幸村に怒りも感じない、ただ悲しくて死にそうだ。 政宗君…僕、そんなに重かったの…? そんなに女々しかったの…? [newpage] ガチャ 「ただいま」 「あ、ナオちゃーん、おかえりなさぁい。 今日は仕事はぁ?」 「あぁ、私はもう終わったが上杉さんはお屋形様に呼ばれて少し会社に残るそうだ。 …家康、大丈夫…か…?」 「……」 「ほっときなよナオちゃん。 いま自分と闘ってるの家康クンは?」 「え?」 心配そうな目を向ける直江さん。 ありがたいけど、今はそれどころじゃない。 「でも丁度よかった。 政宗君から預かりものがあって、届けに行こうかと思っ…」 「政宗君からっ!!!??? 」 「え、あ、あぁ…」 距離を置かれて若干傷ついたけど、そんなことより政宗君からの預かりものって… 「さっき会社の近くで彼と会って、少し話をしてから、これを家康に渡してほしいと言われて。 会社に出入りするときにでも渡してくれと預かってきたんだが」 「ナニソレ。 」 「………これは……」 直江さんから渡されたのは、彼と僕の名前が刻まれた、シルバーリング。 「………。 」 「やっぱり…政宗クン嫌だったんだ… 笑 」 「?とりあえず、ちゃんと渡しとくな。 さてと…夕飯でも作るか」 「やったぁ。 ボクさ、ハンバーグがいいなぁ」 「……」 「昨日のカレーが残ってるから今日もカレーだ」 「……」 「えー、今日はハンバーグな気分だったのにぃ…」 「……」 「ワガママ言うな、支度するから、幸村も手伝ってくれ」 「……」 「はぁい」 パタパタとスリッパの音を立てながらキッチンへ消える二人。 取り残された僕と、鈍く光る手のひらの上の リング。 「ま…政宗く…ん…」 僕のことからかってたの?こんなに好きなのに、あんなに好きだって言ってたのに… 僕はもう要らないの…? 君と手を繋いで歩きたかっただけなのに 最後に見た人混みの中で君だけが輝いてた 「家康クン、ドントマインド」 「カレー食べてくか?」 愛情ってゆうか、ただ君が欲しいだけ。 犬みたいだ、僕の心…アホみたい…でもね、それでもいいんだ。 騙されたって構わないんだよ、君と居れるなら。 「政宗君…もう一回だけ…。 」 リングを握り締める。 「愛されたい…。 きっと見過ごしたんだね、僕。 君のシグナル…」 気まぐれでもいいよ 君といれるなら 「……っ…」 女々しくて女々しくて 光を浴びて 女々しくて女々しくて 恋の歌歌って 女々しくて女々しくて いざ辿り着いたこの世界はもう 女々しくて 女々しくて 女々しくて 辛いよ…!!!!! 「政宗くーんっ!!!!!!! 」 とりあえずごめんなさいのメールを送ってから、涙で滲むディスプレイの電話番号を発信した。 [newpage] 「ふぅ…」 携帯の履歴、全部消した。 メールも通話も、全部彼の名前で埋まっていた。 消去に時間がかかったけど、スッキリした。 毎日決まった時間にかかってくる電話。 一日100通は超えるメール。 決まって最後に聞かれるのは『僕のこと、好き?』。 『俺も好きです』。 そう返しても不安になるのか、すぐに電話がかかってきて、直接言うことになる。 お揃いの鞄や洋服、ケータイまで 俺は彼の所有物の一つ。 「女々し…」 でも、アドレスは消さなかった。 「政宗、お待たせ! ごめんな、待たせた?」 「ん、今来たところだよ」 「そっか! ならよかった! じゃあ、行こっか! 」 差し出された手に、自分の手を重ねてから絡ませる。 「どこ行きたい?」 「どこでもいいよ。 お前と一緒なら」 「何言ってんだよ! 相変わらずズッパーンと可愛いな! 」 「からかうなよ、ばか…」 携帯の電源は切っておく。 この時間が終わって、電源を入れれば再び彼の名前で俺の携帯は埋まっているだろう。 すぐに返信なんかしてあげない、反省してくださいね。 「政宗、オレのこと好き?」 貴方が俺を束縛してるんじゃないってこと、気づいたら駄目ですからね。 「うん、好きだよ」 俺が貴方を束縛してるんですから。

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胸がギュッと切なくなる歌を教えてください

ばかな男でごめんな誰よりも輝いていた女 歌詞

「もう、ついてこないでください!!! 」 「ちょ、ちょっと待ってよ!! 政宗君っ!!! 」 僕の呼び掛けに答えてくれないまま、足をはやめる政宗君。 僕から逃げるように、時々振り返る彼の表情は恋人に向けるような顔じゃないことは、誰が見ても一目瞭然。 ……僕、いま避けられてる…?? 謝りながら政宗君の足にすがりつく。 「ごめん、ごめん、ごめんってば!!! 待って、待ってよ!!! 」 「……」 「謝るから、ねっ!? 僕が悪かったよ、だから、お願い!!! 捨てないでっ!!!! 」 「……っ…、あんた、女ですか…?」 「え…?」 「女々しいんですよ、家康さん!!!! もうついてこないでくださいっ!! 」 「あ、政宗君っ!!!!!! 」 僕の手を離れていく彼が遠ざかる。 涙で滲んだ景色の中、一度だけ政宗君が振り返った気がした。 幸村の家 正しくは彼の保護者の家だけど で泣きながら彼に全てを話した。 政宗君のことを思い出せば思い出すほど辛くなってくる。 なんでフラれたのかも分かんないし、政宗君が僕を嫌いになる理由も要素も見つからない。 だから余計納得いかないし、悲しくなるんだ。 「なんで…政宗く…ん…」 「………ちょっと、ねぇ、なんでフラれたか分かんないってどうゆうことなの?政宗クンに何かしたんじゃないの?」 「そんな、こと、してないっ…うっ…」 「政宗クンは理由もなしに人をフるようなヒトじゃないよ。 家康クンに何か問題アリなんじゃないの?」 「…僕は…政宗君が傷つくようなことなんてしてないし…。 いつだって彼を一番に考えて…。 それに政宗君も僕のこと好きだっていつも言ってくれてたし…」 「……ねぇ、なんとなく予想できたんだけど…今日政宗クンとどうゆう会話したか教えてくれない?」 「え…?あ、うん…」 幸村にそう言われて僕はさっきまでのことを話し始めた。 [newpage] 「すみません家康さん、待ちました?」 「ううん全然、僕も今来たところだよ。 」 ほんとは一時間前から来てたけど。 口には出さなくても、政宗君にはバレてるみたいだった。 僕が約束の一時間前には待ち合わせ場所にいることを知っている政宗君は申し訳なさそうにしていた。 そうゆう政宗君も約束の時間の数十分前には来てくれてるから優しいな、って思う。 「じゃあ行こうか」 今日は僕の大学も休みで会社に用事もなかったので学校終わりの政宗君にデートのお誘いをしてみた。 すぐに政宗君から返信がきて、二人で遅めのランチに行くことになった。 制服姿の政宗君は見慣れてるとはいえ、やっぱり可愛いな、なんて。 行きつけのイタリアンカフェで食事を済ませてから近くの公園を歩いていた。 「あ、そうだ。 これ、政宗君にプレゼント」 「え?」 「僕とおそろいなんだけどペアリング、あげる! 」 「あ…え、と…ありがとうございます。 でも、高価なものじゃないですか?」 「そうでもないから、気にしないで! ほら、つけてみてよ」 「あ、はい…」 控え目にシルバーリングを指に通す政宗君。 一際細くて綺麗な薬指に、それはぴったりとはまった。 うん、サイズもばっちりだ。 僕とおそろい、小さく言って自分の左手のリングを彼に見せる。 政宗君は恥ずかしそうに俯いてしまった。 そんなところも可愛いんだから、なんて言ったらまた困らせちゃうかな? これで政宗君とおそろいで身に付けているものは何個目だろう。 時計、鞄、靴、洋服に携帯。 それから… [newpage] 「ちょっとストップ。 」 「へ?」 「……待って、ちょっと一旦停止ボタン」 幸村に言われ思考をいったん目の前で物凄い険しい顔を披露している彼にむける。 今からが重要なところなんだけど、顔で不満を表すと幸村は呆れた、と一言呟いた。 「え?」 「当たり前じゃん。 政宗君が別れたかったの」 「はぁっ!? 今の話聞いてどこをどう解釈すればそうなるんだよ! 」 「全部。 」 「え…?」 ソファから立ち上がった幸村に凄い剣幕で見下ろされる。 とゆうか見下されてる……!!?? 「あぁもう真面目に聞いたボクがバカだった。 」 「え、え…?」 「家康クン、政宗クンと付き合ってどれくらい経ったワケ?」 「えと……一週間…。 昨日で…」 「一週間でしょ。 たった、ねぇ、7日間しか経ってないのわかってる?そんな恋人にペアのリングとか、重いに決まってんじゃん」 「え…」 「一週間って言ったらお互いのこと話したり、一緒にいてもっとお互いを理解しようって思う時期でしょ。 政宗クンだって付き合って一週間でそんなプレゼント押し付けられても困るに決まってんじゃんか」 「そ…それは…」 「だいたい待ち合わせの一時間前に来るってナニ?気持ち悪いんだけど。 待ち合わせしてる意味ないじゃんそれ。 」 「そ、それは、政宗君に早く会いたくて…」 「いやだからそれが重いって言ってんの」 「……」 「なんでもおそろいって…女子じゃないんだからさぁ…。 小学生だよ。 とゆうかどうせ政宗クンの許可なく勝手に買い揃えて無理矢理押し付けたんでしょ?」 「…そ、そんなこと、」 「ない、って言えるの?」 泣きそうだ。 とゆうかもう泣いてるけど。 幸村の攻撃は終わらない。 「洋服、カバン、それにケータイ?重いとか超えてきもいよ、それ」 「ま、政宗君は喜んでくれてたもん! 」 「それは気ぃつかってたんでしょ。 政宗クン優しいし。 てかさ、政宗クンにとっては初めての彼氏で、しかも年上。 その彼氏が乙女度マックスで女々しくて、尚且つ重いとか…。 悪夢じゃんか」 「……」 「よく一週間ももったよ、政宗クン。 ボクなら3日、耐えられるかどうか、だな。 」 幸村はそう言い放って、もう一度ソファに寝転んだ。 僕はというと、あまりのショックで固まることしかできなかった。 「家康クン、乙。 」 「…そ…そんな…」 「政宗クンはこんな女々しい人好みじゃないんだよ。 とゆうか今時捨てないでって泣きながらすがりつく男、あり得ないから」 最後の一撃で完全にHPはなくなった。 笑いながら言う幸村に怒りも感じない、ただ悲しくて死にそうだ。 政宗君…僕、そんなに重かったの…? そんなに女々しかったの…? [newpage] ガチャ 「ただいま」 「あ、ナオちゃーん、おかえりなさぁい。 今日は仕事はぁ?」 「あぁ、私はもう終わったが上杉さんはお屋形様に呼ばれて少し会社に残るそうだ。 …家康、大丈夫…か…?」 「……」 「ほっときなよナオちゃん。 いま自分と闘ってるの家康クンは?」 「え?」 心配そうな目を向ける直江さん。 ありがたいけど、今はそれどころじゃない。 「でも丁度よかった。 政宗君から預かりものがあって、届けに行こうかと思っ…」 「政宗君からっ!!!??? 」 「え、あ、あぁ…」 距離を置かれて若干傷ついたけど、そんなことより政宗君からの預かりものって… 「さっき会社の近くで彼と会って、少し話をしてから、これを家康に渡してほしいと言われて。 会社に出入りするときにでも渡してくれと預かってきたんだが」 「ナニソレ。 」 「………これは……」 直江さんから渡されたのは、彼と僕の名前が刻まれた、シルバーリング。 「………。 」 「やっぱり…政宗クン嫌だったんだ… 笑 」 「?とりあえず、ちゃんと渡しとくな。 さてと…夕飯でも作るか」 「やったぁ。 ボクさ、ハンバーグがいいなぁ」 「……」 「昨日のカレーが残ってるから今日もカレーだ」 「……」 「えー、今日はハンバーグな気分だったのにぃ…」 「……」 「ワガママ言うな、支度するから、幸村も手伝ってくれ」 「……」 「はぁい」 パタパタとスリッパの音を立てながらキッチンへ消える二人。 取り残された僕と、鈍く光る手のひらの上の リング。 「ま…政宗く…ん…」 僕のことからかってたの?こんなに好きなのに、あんなに好きだって言ってたのに… 僕はもう要らないの…? 君と手を繋いで歩きたかっただけなのに 最後に見た人混みの中で君だけが輝いてた 「家康クン、ドントマインド」 「カレー食べてくか?」 愛情ってゆうか、ただ君が欲しいだけ。 犬みたいだ、僕の心…アホみたい…でもね、それでもいいんだ。 騙されたって構わないんだよ、君と居れるなら。 「政宗君…もう一回だけ…。 」 リングを握り締める。 「愛されたい…。 きっと見過ごしたんだね、僕。 君のシグナル…」 気まぐれでもいいよ 君といれるなら 「……っ…」 女々しくて女々しくて 光を浴びて 女々しくて女々しくて 恋の歌歌って 女々しくて女々しくて いざ辿り着いたこの世界はもう 女々しくて 女々しくて 女々しくて 辛いよ…!!!!! 「政宗くーんっ!!!!!!! 」 とりあえずごめんなさいのメールを送ってから、涙で滲むディスプレイの電話番号を発信した。 [newpage] 「ふぅ…」 携帯の履歴、全部消した。 メールも通話も、全部彼の名前で埋まっていた。 消去に時間がかかったけど、スッキリした。 毎日決まった時間にかかってくる電話。 一日100通は超えるメール。 決まって最後に聞かれるのは『僕のこと、好き?』。 『俺も好きです』。 そう返しても不安になるのか、すぐに電話がかかってきて、直接言うことになる。 お揃いの鞄や洋服、ケータイまで 俺は彼の所有物の一つ。 「女々し…」 でも、アドレスは消さなかった。 「政宗、お待たせ! ごめんな、待たせた?」 「ん、今来たところだよ」 「そっか! ならよかった! じゃあ、行こっか! 」 差し出された手に、自分の手を重ねてから絡ませる。 「どこ行きたい?」 「どこでもいいよ。 お前と一緒なら」 「何言ってんだよ! 相変わらずズッパーンと可愛いな! 」 「からかうなよ、ばか…」 携帯の電源は切っておく。 この時間が終わって、電源を入れれば再び彼の名前で俺の携帯は埋まっているだろう。 すぐに返信なんかしてあげない、反省してくださいね。 「政宗、オレのこと好き?」 貴方が俺を束縛してるんじゃないってこと、気づいたら駄目ですからね。 「うん、好きだよ」 俺が貴方を束縛してるんですから。

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心に焼き付く歌詞のフレーズ2006

ばかな男でごめんな誰よりも輝いていた女 歌詞

フジテレビ系の同名テレビドラマ(26回)で人気をはくしたことがきっかけになたのだ。 その当時は山田監督は、 脚本を書くにとどまっていたが、しだいに物語が進むにつれてこの主人公たちをなんとか映画化できないものかと、 密かに自分の中では思っていたような気がする。 そうでないと4月初めのあのOPでの水元公園の桜撮影という早業はできない。 そしてその構想の最後の後押しをしたのが、テレビ版の最終回で寅次郎が奄美大島でハブに噛まれて死んだことに なってしまい、その直後から視聴者からのテレビドラマ続編での復活の要望が相次いだことだった。 これで『復活』の外的な大儀名分ができたわけだ。 そういう内面的な動機と外面的な動機が相まって山田監督が今度は自分自身が映画を作って 寅次郎を復活させようとしたと推測される。 しかし、当時テレビドラマの続編を映画で作ることを 松竹経営側嫌がり、反対をした。 その時のすったもんだを山田監督は『男はつらいよ.寅さん読本』の中でこう書かれている。 「 テレビの最終回に寅さんを殺してしまうというような、そんなドラマの作り方は間違っていたのかも しれない。 そういう気持ちが、僕に、もう一回映画の中で寅さんを復活しようと思わせた動機でした。 スクリーンで元気な寅さんをみれば、きっと皆さんも納得してくれる。 そういう気持ちでこの企画を会社に 持っていったのです。 しかし、会社はなかなか納得しませんでした。 『テレビでやったものをまた映画でやって お客さんがくるのか』というのが会社の言い分だったのです。 でも僕は『そうじゃない。 テレビであんなに大勢の 視聴者が寅さんの死を悔やんでくれたのですから、きっと映画になっても観に来てくれる』散々論争を 繰り返しました。 『もしこの映画に失敗したら、僕は責任を取って会社を辞める。 』と大見得を切りましたし、 「この映画化に反対するあなた方は、この映画がヒットしたら、責任を取って辞表を出せますか!」という 啖呵まで切りましたから。 結局最後には、『そこまで言うならやってみなさい』程度のことで、またそういう 雰囲気の中でこの映画はクランクインしたのです。 」 但し、役者側の予定の調整が合わずおばちゃん役の杉山とく子さんが出れなくなり、三崎千恵子さんに 変わったり、松竹映画ゆえさくら役が、慣れ親しんだテレビ版のさくらの長山藍子さんではなく倍賞千恵子さんに なったり、配役が、テレビ版と同じではなかったことはテレビ版に慣れ親しんだ人にとっては戸惑いがあったかも しれない。 まあいずれにしても、映画制作にかかる時間などをリアルに考えると、上にも書いたとおり、 テレビドラマシリーズの後半あたりには山田監督はすでにこの主人公たちに愛着を感じ、 『映画化』を密かに狙っていたのは明白である…とも言えよう。 で、反対を押し切ったり、役者が変わったりで作ったこの「映画版男はつらいよ」は、しばらくのお蔵入りのあと 1969年8月に封切られた。 そして、この映画版第1作がなんと大いに当たったのである。 そして思いもよらないシリーズ化への道を猛烈な スピードで進んでいく。 上記のように、この第1作は、人気を博したテレビ版の下地があることもあって、最初にしてすでに相当の 傑作であり、ほぼ完成されていた。 映画として未熟な場面はほとんど無い。 長い歴史の第1歩であり、 常にこの作品が羅針盤でもあった。 それゆえ、この第1作の物語、構成、登場人物の関係が、このあとの作品全てに反映され、生かされていく。 この後の全ての作品はこの記念すべき第1作のバリエーションだといっても過言ではないほど、この第1作は 非常に完成度が高い。 私のベストの中でも間違いなくかなり上位に入る名作だ。 最高のオープニング テンポのよい曲と同時に松竹富士山が現れ、その直後のオープニングで、なんとモノクロの映像が流れる。 そして寅次郎を演ずる渥美清さんのナレーションが始まるのである。 48作品の中でもっとも叙情的で、 もっとも心が温かくなる最高のスタートだ。 このとき流れるBGMがなんとも美しい。 そして次々とモノクロで紹介される柴又の日常風景。 寅次郎はこの町で生まれ、そして今、正にこの町へ帰ろうとしている。 この映像は日本人のふるさとを 代表するような安らぎを感じるものだった。 山田洋次監督ならではの温かみのある、奇をてらうことのない 優しい助走だ。 凝縮された物語 ー 6つのエピソード ー 山田監督は、上にも書いた通り、松竹経営陣の反対を押し切って、この映画制作にこぎつけた。 それゆえ、もうこの作品1本で全て自分の思いを出し切ろうとしたのだと思う。 だから、この第1作には 普通の 映画3本分くらいの内容が凝縮されてしまっている。 まずは、『寅次郎の柴又への20年ぶりの帰郷とさくらとの再会』である。 これはとりもなおさず、すべての人々との 再会であり、全ての風景との再会に他ならない。 とにかく猛烈になにもかもが懐かしいのである。 そして叙情感 たっぷりの兄妹の再会が序盤のメインだ。 倍賞さんがとにもかくにもひたすら美しい…。 そのあと間髪入れずに『さくらの見合い』と話は進んでいく。 これは大いに笑わせ、大いに悲しませる、 起伏の激しい、ダイナミックな展開だ。 特に見合いが失敗に終わったあとのとらやでの大喧嘩は 48作中もっとも激しいものであり、その時のお互いの啖呵も冴えに冴えている。 こんな感動的な喧嘩のシーンは 48作中この第1作を置いて他はない。 もうそれはブッチギリだ。 それは、とりもなおさず登場人物が実に躍動的で、 輝いているということでもある。 さくらも寅次郎もおいちゃんも殴りあい、掴み合う。 それぞれの表情がとても素敵で、 スッタッフもキャストも高揚していたことが手にとるように分かる。 誰もがみんな目が生きている。 そして3番目の物語。 寅次郎は反省し旅へ。 『旅に出る寅次郎とマドンナとの出会い』である。 ここにこの長いシリーズの特徴であるロードムービーの萌芽が見られる。 そして遂に、旅先でマドンナに出会う のである。 このマドンナがこともあろうに御前様のお嬢さんである冬子さんだ。 寅次郎のことを「寅ちゃん」と 呼ぶほどの昔からよく知っている幼馴染なのだ。 面白おかしく旅をし、テンポよく、ギャグも散りばめられて 華やいだ気分にしてくれる。 そして、御前様たちと一緒に、寅も一緒に柴又へ戻ってくる。 帰ってきてすぐに、4番目の物語。 この作品の大きなメインである、『さくらと博の恋愛』だ。 寅は当初反対するが、やがて博を手伝うことになり、それがまた裏目になって、すったもんだの挙句、 博は柴又を出て行く。 事情を知ったさくらは追いかけに追いかけて柴又駅で博に追いつくのだ。 とらやにもどったさくらは、すでに博との結婚を決めていた。 さくらは目を輝かせながら寅に報告する。 「お兄ちゃん、私、博さんと結婚する…。 決めちゃったの。 いいでしょ、お兄ちゃん、いいでしょ…。 」 驚きながらも、喜び頷く寅次郎。 そしてまた同時に寂しげな表情を隠せない寅次郎でもあった。 このさくらと寅次郎のやりとりは、この長いシリーズの原点であり、もっとも二人が輝いたシーンでもあった。 すべての物語はこの夜のさくらの決意から始まったのだ。 あの時のキラキラしたさくらの目の力がこの シリーズの長編を予言していたかのようだった。 しかし、なんという緩急だろう。 なんというテンポだろう。 そしてなんとみんな若々しく輝いているのだろう…。 そして、そのまま、物語は5番目へなだれ込む。 『さくらと博の結婚式』である。 これも凄まじいテンポで話は進み、ギャグもポンポンと盛り込まれていく。 そしてここでも見事な緩急の妙が使われる。 博の両親の登場である。 あの時の志村喬さんの想いを込めたスピーチは、この物語に、品格をあたえ、 博の背後にある複雑な家庭環境を予測させ、そして今、それが雪解けを迎えようとしているのだと 私たちに知らしめてくれるのである。 また、下世話ではあるが、さくらの、角隠しやウエディングドレス姿が見れるのもなんだか嬉しい。 さくらは48作中ほとんど地味な格好しかさせてもらえず、僅かに寅次郎の夢の中で、華やかに登場はするが、 それとて、一瞬のこと。 そういう意味では、この第1作の結婚式のさくらは実に綺麗で華やいでいて、地味なさくらの 中では、貴重な映像であるといえよう。 普通はこれで終わりである。 もう十分密度は濃い。 しかし、この第1作はこのあと、もうひとつのメインに突入する。 すなわち6番目の物語、『寅次郎の恋』である。 これは、冬子とオートレースにでかけ、焼き鳥屋で飲んだ後、題経寺で冬子を送り届けるところで恋の 最高潮を迎える。 あの夜の寅次郎のなんとも嬉しそうな顔。 夜の柴又参道を「喧嘩辰」を口ずさみながら、踊っていく 寅次郎は至福だった。 あの夜の渥美さんの爽やかな、しかし内に秘めた高揚を隠し切れない演技は絶品で、 このシリーズの中でも名シーンとして語り継がれていくだろう。 しかし、その直後の、どん底に突き落とされるような手痛い失恋、と追い討ちをかけるようなとらや一同との 辛い駆け引き。 そして上野駅でラーメンをすすりながら号泣する寅。 物凄い落差である。 この第1作の寅次郎は、まだまだとても愚かで、目がギラギラしていて、行動が直接的である。 物凄く生々しいのだ。 そして、なによりこの第1作の寅次郎は実にいとおしい。 私の心のふるさとだといっていいくらいに彼から 溢れ出るもの全てに郷愁を感じる。 この密度が異様に濃い第1作は、実は駄目押しで、7番目の物語も手短に触れているのだ。 それは最後の最後に満男が生まれたことである。 第1作ですでに満男が誕生したと言うことは、 もうこの作品だけで第48作まで繋がっていくのだ。 そしてこの第1作が凄いのは、これだけ詰め込んでも、テンポが実にいいということだ。 喜劇ならではの 軽快な展開がよどみなく続き、あれよあれよの91分だ。 いかに脚本がこなれていたかが窺い知れるできばえだ。 この大成功の裏には、あの大人気をはくしたテレビ版「男はつらいよ」の存在があり、それらの小さな物語の集積が この映画版第1作をしっかり後押ししたことは忘れてはならないことだと思う。 ともあれ、この「男はつらいよ」という作品は産声を上げたその第1作にしてすでに完成度の高いものだったと 言ってよいだろう。 この第1作という豊かな水源に当たったスタッフとキャストたちはこのあと48本もの作品を 作り上げていくのである。 それにしても、なんと豊かな水源なんだろうか。 この水の埋蔵量は空前絶後である。 ところで・・・・ テレビドラマで舞台が 柴又 になったのは即決ではなかった。 浅草、浦安、川崎大師、西新井大師など舞台になる場所の候補がいろいろあったが、 どうもしっくり来なかったということ。 なにより「寅の故郷は川の原風景」が必要だったのだ。 そんな時、山田監督は、助監督時代に、金町在住の作家早乙女勝元さんの案内で、 柴又を訪ねたことを思い出した。 早乙女さんは、そのとき葛飾の風情や昔からの様子を、山田監督に伝えている。 その印象が山田監督にはあり、「あの柴又と江戸川を見たい」となり、 東京というにはちょっと田舎で、戦禍に遭遇していない古くからの参道や帝釈天があり、 美しい江戸川と矢切の渡し、その河川敷や土手がある柴又に決定したのだ。 最初の松竹の富士山マークの時からすでに 曲が始まり本編へそのまま流れていく。 まず出てくるのは江戸川の桜、土手、帝釈天参道…。 全てモノクロ映像。 「 寅次郎の心の風景」 というべき演出だ。 テレビ版を彷彿させる懐かしい映像ともいえる。 スクリーン全体を涼しげな風が吹いている。 人々の表情が実にみんな美しい。 タイトルが出るまでのシーンの中では48作中私が最も好きな演出である。 この記念すべき第1作にふさわしい爽やかな映像だ。 この短い時間の中でキャストとスタッフを 全て紹介してしまう方法を使っている。 これもこの第1作だけの特徴だ。 これ以降、寅次郎のことを便宜上『寅』と呼びます。 ご了承ください。 桜が咲いております。 (この桜を撮影したのは当時まだ撮影助手だった長沼六郎さん。 何に使うか、どの映画に使うか知らせられずに とりあえず水元の桜を撮っておくようにと、 上司に言われて撮ったそうだ。 と、いうことは、彼は最後の第48作を 撮っているので、なんと最初と最後を撮ったことになるのだ。 ) 懐かしい葛飾の桜が 今年も咲いております。 思い起こせば20年前 つまらねえことで おやじと大喧嘩、 頭を血の出るほど ぶん殴られてそのままプイっと 家(うち)をおん出て、 もう一生帰らねえ覚悟で おりましたものの、 花の咲く頃になると決まって 思い出すのは、故郷のこと、 ガキの時分ハナタレ仲間を 相手に暴れ回った水元公園や 江戸川の土手や帝釈様の境内の ことでございました。 風の便りにふた親も秀才の 兄貴も死んじまって、 今、たった一人の妹だけが 生きてることは知っておりましたが、 どうしても帰る気になれず、 今日の今日までこうしてこうして ごぶさたに打ち過ぎてしまいました。 今、江戸川の土手に立って 生まれ故郷を眺めておりますと、 何やらこの胸の奥がぽっぽと 火照ってくるような気がいたします。 そうです。 私の生まれ故郷と 申しますのは葛飾の柴又でございます。 全文は以下の通り 「桜が咲いております。 懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております。 思い起こせば20年前つまらねえことで おやじと大喧嘩、頭を血の出るほどぶん殴られてそのままプイっと家(うち)をおん出て、もう一生帰らねえ覚 悟でおりましたものの、花の咲く頃になると決まって思い出すのは、故郷のこと、ガキの時分ハナタレ仲間を 相手に暴れ回った水元公園や江戸川の土手や帝釈様の境内のことでございました。 風の便りにふた親も秀才の兄貴も死んじまって、今、たった一人の妹だけが生きてることは知っておりました が、どうしても帰る気になれず、今日の今日までこうしてこうしてごぶさたに打ち過ぎてしまいました。 今、江戸川の土手に立って生まれ故郷を眺めておりますと、何やらこの胸の奥がぽっぽと火照ってくるような 気がいたします。 そうです。 私の生まれ故郷と申しますのは葛飾の柴又でございます。 」 現在の水元公園 同じ位置からの桜。 メインタイトル 「男はつらいよ」 背景はなく 真っ青な色。 単純だがそれゆえインパクトは相当強い。 「男」は赤色、 「つらいよ」は黄色。 後の作品では洗練されて「男」だけが赤くなる。 「わたくし、生まれも育ちも 葛飾柴又です。 帝釈天で産湯をつかい、 姓は車、名は寅次郎、 人呼んでフーテンの寅と発します。 」 この仁義の名文句はその後 第32作 以外繰り返し使われることになる。 土手に寅次郎が座り江戸川の対岸を見ている。 なんと ワイシャツにネクタイ、靴 という 極めて珍しい服装である。 帽子はいつものものを被っている。 背広もこのオープニングは 柄や色がこの後のものと若干違う。 まだ寅次郎の服装が定着しきっていない過渡期 であること が観てとれる。 というか、この時点ではこれ1本で終ろうとしているので これでもいいわけだ。 ちなみに、この背広はテレビ版でよく使われていたもの。 テレビ版から知っている観客たちに違和感を感じさせない心使いを感じる。 そのあと 「矢切の渡し」を渡るところをみると、 千葉の方から柴又のほうへ渡っているようである。 ( 大人30人。 小人20円 ) 2003年現在渡るだけなら 100円程度。 ぐるりと遠くを回ると500円以上するそうだ。 矢切の地名の由来は、平和に暮らしていた この辺りの人々が度重なる戦争の苦しみを味わい、 戦いで使われた弓矢を呪い 「矢切り」「矢切れ」「矢喰い」を 悲願 して矢切の地名となった。 そのままとらやへ直行したければ京成電鉄で 「柴又駅」で降りれば早い筈であるが、 あえて江戸川を渡る ことによってこの二十年ぶりの 寅次郎の柴又への帰還を感動的なものにしている。 この方法はその後もしばしば採用されることになる。 もちろん旅に出るときは逆に急ぐように「柴又駅」の方へ行くことが 圧倒的に多いのだが。 その際「第6作純情篇」に代表されるような プラットホームでのさくらとの別れの名場面が 数多く生まれることにもなっていくが、それは作品ごとに追々書いていく。 川を渡りきった寅次郎がゴルフの邪魔をしたりして、 すでにこの作品がコメディであることを直印象付けている。 このパータンはその後もいろいろ手を変え品を変えて いろいろな江戸川土手でのミニコントが繰り広げられる のである。 靴がアップになる。 (なんと、雪駄でなく白黒の靴!) このゴルフ靴あたりも、着ている背広同様、これらはテレビ版で使っていた もの。 テレビ版を踏まえて懐かしき寅次郎が復活したのだということを アピールしているのかもしれない。 白黒靴 「 男はつらいよ 」というタイトルはテレビドラマ制作を決めるときに 当初「愚兄賢妹」と名づけられていた。 しかし、どうも「愚兄賢妹」では堅苦しいと考えたプロディユーサーの小林俊一さんは、 北島三郎さんの演歌「意地のすじがね」(作詞星野哲郎、作曲島津伸男)のなかの 「つらいもんだぜ男とは」からアイデアをもらったらしい。 「泣いてたまるか」の山田洋次脚本の「男はつらい」と合わせて「男はつらいよ」となっていったそうだ。 ところでバックに流れる歌は 作詞家星野哲郎さんと 作曲家山本直純さんの名曲「男はつらいよ」であるが、第1作の出だし ではは まださくらが結婚していないので、 「俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ 、分かっちゃいるんだ妹よ、いつかおまえが 気に入るような偉い兄貴になりたくて…」 となっている。 これ以降はすでにさくらは結婚してしまっているので「どーせおいら はヤクザな兄貴、分かっちゃいるんだ妹よ…」となっていく。 (個々の本編完全版でお読みください) ちなみに、『男はつらいよ』の主題歌はテレビドラマの時にすでに作られて 使われている。 曲よりまず詩が先に作られたのだ。 で、今回の新作テレビドラマ『男はつらいよ』は、 渥美さんの魅力を最大限に発揮する決定版だから 主題歌も決定版にしたい。 とスタッフさんたちが思われて、 プロデューサー兼監督の小林俊一さんが星野さんに決めたようだ。 小林俊一さんはまずいきなり電話で星野さんに頼んだのだ。 星野さんに頼む決め手となったのは、 渥美さんが北島三郎さんの歌を口づさむ事が多かったこと、 その北島さんの歌を作詞していたのが星野さんだったことからだったようだ。 それと、タイトルを『愚兄賢妹』から『男はつらいよ』に決めた際に参考にした、 あの 演歌『意地のすじがね』 を作詞したのが星野さんだったことからもきていまる。 で、電話で 「あらすじを送るから、 それを読んで物語がどのように展開しても良いように書いてください」 というものだった。 そして星野さんは、小林さんから送られたあらすじから得た主人公のイメージを 「丈夫な長持ちをする人」 と捉えたようだ。 だからこのような詞になっているのだ。 かえってあらすじでよかったとその対談で語られている。 具体的に書かなかったおかげでイメージが偏らなくて済んだということだ。 なお、イントロ部分で「わたくし、生まれも育ちも…」と、 仁義をきる台詞が出てくるが、 あれは星野さんとは関係なく、 現場で渥美さんや小林さんたちとで作り上げたそうだ(^^;) あとで星野さんに事後承諾したところ快諾してくださったとか。 山本直純さんは、このシリーズのほとんどの曲を担当し、 『リリーのテーマ』『歌子のテーマ』『千代のテーマ」をはじめとして 数々の名曲を紡ぎだしていった。 彼の名曲がこの作品群に 何ともいえない品格を与えていることは間違いない。 (あのメインテーマのイントロ出だしの音符だけはお弟子さんの 玉木宏樹 さんが作られている) 渥美さんが亡くなられた時の玉木さんの書いた文章によるとこうである。 私と-寅さん(渥美清)-との意外な裏話 「男はつらいよ」のテーマソングがTVで現在流れているが、 私としては 非常に複雑な思いである。 何を隠そう、あの歌のイントロ及び、バック、つまりあの 歌の編曲は私がやったものなのである。 もちろん、タイトルに私の名前が載っている わけではない。 私の師匠、山本直純氏の作曲、編曲になっているわけで、 つまりあれ は、私が直純氏のアシスタント時代の数多い仕事のひとつであり、 音楽だけに限らず 、誰かのもとで修業するのがあたりまえの時代では当然のことで、 私自身が師匠に 権利を云々するつもりは一切無いので誤解の無いように。 しかし、複雑な思いがする というのは、実は、あの番組が、 あのようなお化けに変化するとは誰も想像だにして いなかったことにあるのだ。 中略 シリーズ的なテレビド ラマの一つとしてフジテレビ「男はつらいよ」が企画され、 あのテーマソングが作られたのであ るが、師匠をはじめ、だれ一人として特別な意識をもって臨んだのではなかったから 、 テーマソングをAB2曲作って録音するというときも、いつものように、30人くらい のオーケストラで2時間拘束という段取りだった。 あのころの直純氏は絶好調そのも ので、2時間のスタジオワークは必ず30分は遅れ て始まるのが当たり前だったが、 特 にあの時は悲惨なものだった。 たしか2時から4時 までの2時間の録音予定なのに、師 匠は、30分たっても現れない。 当時は、青山のAVACOスタジオが直純氏の仕事の本拠 地みたいなもので、 2階に陣取 ってイライラしていた我々の前に師匠が現れたのは、 1時間もたった3時のことで、 当 然作曲はそれから始めるわけである。 同じ詞で(そ れが、あの俺がいるからお嫁にゆ けぬ、である)2曲書いて、 30人用のオケに編曲す るわけだが、直純氏が2曲のメロデ ィを書き終わったのは、3時15分で、 スケッチを ポイと私に渡した師匠は、1階に飛び 降りていき、すぐさま下から「玉木さんまだか ー」と大声で怒鳴り、 仕事が遅いのは 、無能な弟子のせいだといわんばかり。 当た らずと言えども遠からずとはいえ、 あま りの身勝手さにこちらもカッカしながら、 投げ付けられた歌譜に適当なコードを付け (今から考えるとすごくコードの付けに くいメロディだった) イントロと間奏を付け 、殴り書きのオケ譜のスコアを15分で 書き上げ、今度は私が下へ駈け降り、 今度は2 階の写譜屋に向かって「まだかー」と 怒鳴るという、直純工房としては日常的なパタ ーン (しかしあの日は特にひどい方 だった)の結果できあがったのが、あの歌なので ある。 いま思いだしても、よくあ んなせっぱつまった短時間にあんなにのんびりとし たイントロをよく書けた物であ る。 そして、やっとギリギリの時間にオケも録り終えほっとする時間もあらばこそ、 人使いのあらい師匠に私は仮録音で歌を入れろと命令されたのだった 、 フジTVのドラ マ制作部に、私の歌声が飛び交うことになる。 一回目のドラマの打ち 合わせも終り 、制作部に顔を出すと、何人かで私の歌ったテープを聴いている場面に も遭遇したが、 ある人の「曲はどちらでもいいけど、この歌ってるやつは誰だ!へた くそだな あ」と言う発言には随分傷ついたものである。 そんな経過で、渥美清さんにあの歌をレッスンつけたのも私だった。 15も年下の生 意気な若造にもあの人は「そうですか」と丁寧に応対し、 何度も「これでどうでしょ うか」と問い掛けてくる、律義な人だった。 そんな縁もあって、私は「男はつらいよ」の映画にも出演している。 第2作、マドンナの佐 藤オリエがチェロ奏者で、 私は、彼女と一緒にアンサンブルをしている第一ヴァイオ リンで、何分間か確かに出演している。 このあいだビデオを買って見てみると、 今の 太って禿げた醜い姿からは想像出来ないほど ガリガリにやせた神経質な青年がヴ ァイオリンをひいていた。 渥美清さんとは、TBSラジオの「やもめのガンさん」という一人芝居の番組に、 音 楽 も私のヴァイオリンだけという取り合わせで1年間ほどコンビを組んだこともあった。 ということでる。 玉木さんと渥美さんは上記のようにご縁があったのである。 さて本編に戻る。 歌のあとすぐ帝釈天の庚申の日にちなんだ祭りが映る。 帝釈天 ( 経栄山題経寺 きょうえいざんだいきょうじ は、開創は今から三百年程前、 寛永年間であって、ここには昔から日蓮聖人の親刻になる 帝釈天の板本尊 が あると伝えられていたが、一時所在不明となっていた。 しかし今から二百年前の本堂修理の際、 板本尊が発見された。 安永八年の春、 庚申の日 であったという。 この本尊、庚申の日に出現したというので「庚申」を縁日と定めた。 当時の代の日敬上人は自ら この板本尊を背に負い、飢饉、疫病になった江戸の人達に拝ませて、不思議なご利益をさずけたという。 とまあ、そういういわれのあるありがたいお寺さんだ。 その上寅さん人気も手伝って四季を通じて参拝者が 絶えない。 現在においても「庚申待」の民間信仰と結びついて、宵庚申の参詣が盛んになり茶屋の草だんご等 は今に至っている。 とらやもこのような背景の中で参道に店を出している、ということだ。 山田組と親しく、ロケ時の本拠地にもなっている 「高木屋」がしょっぱなから映る。 このあとどの作品でも高木屋は必ずスクリーンに登場する。 (この当時「とらや」と大きく看板の出している店はまだない。 初期の頃の作品で、軒下当たりのロケ場所を貸していた柴又屋が 後に本当に大きく「とらや」という看板を出し始めて問題となるのだが そのこと『柴又屋騒動』はまた後日第40作の時に…) この映画本編序盤は 庚申の日の祭りからはじまる。 題経寺 庚申の縁日 1969年(昭和44年)4月15日 寅友としていつもお世話になっている寅福さんの 資料を丹念に調べての詳細な考察によると、 映画公開日とその直前のしばらくのお蔵入りを考えると、 ロケ撮影ができたのは4月はじめから6月中旬頃までだろうということ。 その中に庚申の日は二つだけ。 それは4月15日と6月14日だ。 物語では 桜のころ に懐かしくなって寅が舞い戻って来ているので、 物語の中で寅が柴又に戻ったのは、 1969年(昭和44年)4月15日の庚申の日だ。 (実際脚本 決定稿)でも「春の風に吹かれながら土手を歩いている」と、 書かれているので設定は4月だ.。 題経寺の記録によると この4月15日更新の日も含めてこの頃に山田組のロケが行われたとなっている。 一方 寅福さんは、もちろん撮影自体は本当の庚申の日は無理で、 混雑を避け、後日にあえてやっているとおっしゃる。 納得である。 ちなみに5月20日がクランクインだった、という資料もある 【小林信彦 『おかしな男渥美清』】) ロケの日は雨。 寅福さんは境内撮影時に小雨が映っていたことを見つけられている。 題経寺には 人生劇場 青春立志の碑 がある。 作家尾崎士郎が息子に対して遺した言葉だと言われている。 遺す言葉 死生命ありだ。 くよくよすることは一つもない。 お前も父の血をうけついでいるのだから、心は弱く、涙にもろいかも知れぬが、 人生に対する抵抗力だけは持っているだろう。 あとは、千変万化だ。 運命の神様はときどき妙な、いたずらをする。 しかし、そこで、くじけるな。 くじけたら最後だ。 堂々とゆけ。 よしんば、中道にして倒れたところで、いいではないか。 永生は人間にゆるされてはいない。 父は地獄へゆくか極楽へゆくか知らぬが、見ろよ、高い山から谷底見れば瓜やなすびの花ざかりだ。 父は爛々たる目を輝かして、大地の底から、お前の前途を見まもっていてやるぞ。 尾崎士郎 尾崎士郎は『人生劇場』に江戸川べりが描かれ、 川甚をモデルとした川魚料理屋も登場する。 同僚たちとは水元公園であやめを眺め、 江戸川でボートを練習した後や、 帝釈天参詣の後に江戸川べりの川甚で乾杯したらしい。 『人生劇場』は1933 昭和8 年から都新聞に連載され、 20年以上も執筆し続けた大長編で、当時の大ベストセラー。 『川甚』のホームページでは 尾崎士郎「人生劇場」では主要舞台として登場しており、 主人公の青成瓢吉がお袖と出会う「柳水亭」とは川甚のことだそうだ。 川甚はいろんな書き物に登場する。 大町 桂月 「東京遊行記」より 十二時に近し。 午食せむとて川甚に投ず。 鯉、鰻来て膳にのる。 これを肴に酒を呑む。 幸田 露伴 「付焼刃」より 汀の芦萩は未枯れ果てゝいるが堤の雑草など猶、地を飾っている。 水に臨んでいる「川甚」の座敷は……。 田山 花袋 「東京の郊外」より 藍のような水に白帆がいくつとなく通っていくそこには、「川甚」という 川魚料理店がある。 谷崎 潤一郎 「羹」より 巾広い江戸川の水が帯のように悠々と流れて薄や芦や生茂った汀に川甚と記した白地の旗がぱたぱた鳴って翻っている。 尾崎 士郎 「人生劇場」より 道が二つに分れて左手の坂道が川魚料理「柳水亭」(これは後の川甚)の門へ続く曲り角まで来ると吹岡は立ちどまった。 林 芙美子 「晩菊」より 晩夏でむし暑い日の江戸川べりの川甚の薄暗い部屋の景色が浮んでくる。 こっとんこっとん水揚げをしている自動ポンプの音が耳についていた。 松本 清張 「風の視線」より 車はいまだにひなびているこの土地ではちょっと珍らしいしゃれた玄関の前庭にはいった「川甚」という料亭だった。 手に唾をつけて、 寅「 いいから、貸してみろい!おら!」 寅「 さあ!じいちゃんもばあちゃんも 調子合わせて叩いてくれよー!! ここは柴又題経寺とくりゃい! 」 纏を回し始める寅 ちょい、ちょい、ちょいやさっさ、 ちょいやさっさ!とくりゃ! ちょい、ちょい、ちょいや さっさ、 ちょいやさっさ! と威勢がいい。 実は行列の最後になんととらやのおばちゃんがいる! この時点で寅に気づかず。 行進している。 小雨降る題経寺 寅、題経寺の二天門をくぐり、境内へ入っていく。 源吉(源ちゃん )登場!ここではニアミス。 二天門のちょうちんに、川千家、川甚、亀家、などの大棚の名前が並んでいる。 纏の棒を 指先でバランスを取ったりしてなかなかのものである。 おばちゃんもすぐ近くまで来ているがまだ寅に気づかない。 ちょい、ちょい、ちょいやさっさ、 ちょいやさっさ!とくりゃ! ちょい、ちょい、ちょいや さっさ、 ちょいやさっさ! 寅「 ちょちょい、ちょいと!!」 近所の人a「 誰だい?あの飛び入りは? 」大部屋の 高木信夫 さん 近所の人b「 見たことのないツラだなあ… 」 この高木信夫さんは 後にタコ社長の娘、あけみの仲人をする。 時々向かいの江戸家さんのご主人もこなす(^^;) この近所の人役で 谷よしのさんはやくも登場! 八百満(近所の八百屋さん)のおかみさんもいっしょに出ていた。 寅のことを「 土地の者かしら?」 八百満のおかみ「 誰だろう?」 谷よしのさん「 土地のものかしら?」 記念すべき谷よしさんの 初セリフ。 大部屋の重鎮 左から大塚君代、谷よしの、後藤泰子 アクロバテックな芸で近所の人々を魅了している。 御前様初登場! 御前様「 ほー、なかなか見事な… 」 と言いつつ、どこかでみた顔だと… 寅、御前様に気づいて、「はっ」とする。 源ちゃんを押しのけて、 寅駆け寄り、 寅「 御前様!御前様でしょ!おひさしゅうござんす。 あっしですよ! 寅ですよ! 車平造 の倅寅でござんす!」 寅、御前様の足元まで駆け寄って、 寅「 ほれ、あのー、庭先に入り込んじゃ トンボ取して御前様に怒鳴られた不良の寅でござんす。 」 御前様「 あー、覚えとる覚えとる」 寅「 ほんとですか覚えてますかありがとうございます」 後にいろいろな場面で寅と深い縁を持っていく御前様も この時は「あー、覚えとる…」程度の縁だったんだね。 車つね(おばちゃん) ようやく ここで寅次郎だと気づいて、 駆け寄って来る。 おばちゃん 「 寅ちゃん!」 おばちゃん走ってきて、 おばちゃん「 寅ちゃんじゃないかい!」 寅「 よー!おばちゃん、生きてたかい!、 おじちゃんはどうしたおじちゃんは?」 おばちゃん「 生きてるよ、ぴんぴんしてるよ!」 とおばちゃん泣く。 寅「 おばちゃあん!!」 と抱きついて喜び合う二人。 おばちゃんはこのとき「寅ちゃん」と叫んでいる。 おばちゃんはこのあと第8作あたりまで 「寅ちゃん」と呼んだり「寅さん」と呼んだり、 呼び方が安定しない。 10作目を過ぎたあたりからは「寅ちゃん」に絞られた。 そういえば博でさえ、初期のころには時々 「兄さん」と呼ばずに 「寅さん」と呼んでいる シーンが数箇所あった。 源ちゃん は初登場からすでにいきなりころばされてかわいそう…。 このあたりの源ちゃんはまだ 東京弁 を使っていて あの独特の大阪弁 まるだしのキャラはない。 テレビ版では弟役をしていたけれど、映画では 全くの他人で、職業も寺に雇われているのか、とらやに雇われているのか はっきりしない状態が続く。 寅と一緒に京都あたりまで長旅をしたりもする。 第5作「望郷篇」あたりからは、かなり 地の大阪弁 も出てきて、キャラが 立ってくる。 この第1作では源ちゃんは寅次郎ともそんなに仲は良くない。 第2作では、いきなり京都までバイをする寅に付き合ったりして 急速に仲良くなっていく。 松竹最後の大部屋女優と言われ、 演技のうまさでは定評のある 谷よしの さん も、 この場面で近所のおばさん役で出演。 このあと男はつらいよの ほとんどの作品で 旅館の仲居さん役や 花売り 、近所の おばさん役 などで出てきてはセリフを少しもらっていた。 第9作ではちょっとした長ゼリフもこなした。 このあたりの場面、本来、20年ぶりの寅の帰郷なので、もっと含みを 持たせて、じっくり盛り上げたいところではあろうが、シリーズ化を もくろんでいなかったため、沢山の物語を入れざるを得なかった。 それゆえ、話はいきなりとらやへ飛ぶ。 夜の柴又参道 とらや 茶の間 このあと夜のとらやで車竜造(おいちゃん)、車つね(おばちゃん)に バカ丁寧に 仁義を切る 寅次郎の姿がある。 近所の人たち店の中で、野次馬をしている。 ちなみにテレビ版からそのままおいちゃん役を受け継いだ 森川信さんは第8作まで出演。 私はご両人とも 天才 だと思っている。 物語に戻って… とらやの茶の間 この第1作ではなんと店から直接茶の間に 行けない構造になっている。 いったん台所に回って、横から入るのだ。 おいちゃんおばちゃん頭を畳につけている。 寅「 おいちゃん、おばちゃん、ただいま帰ってまいりました。 さ、お手を上げなすって。 それじゃ、挨拶になりません。 さ、さ、 お上げなすって」 おいちゃん、おばちゃん頭を上げる。 寅「 十年一昔の勘定でいきゃあちょうど二昔。 父母も 亡き兄も さぞかしご迷惑を お掛けしたことでございましょう。 」 この長い長いシリーズで唯一とらやで 長男さん のことを寅が 発言したシーンがこの時。 これ以降、寅もさくらも、とらやの誰もが 長男さんのことはまるでいなかったかのように口に出していない。 おいちゃん、おばちゃん恐縮している。 近所の人たちもぞろぞろ店の中まで 入ってきて見ている。 ここに改めて厚く今までの ご無沙汰のお詫びとお礼を申し申し上げる次第でございます。 」 おいちゃん「 へ、へいへい、どうも」 おいちゃんおばちゃん共々また深々とお辞儀。 寅「 なお、たったひとり残りました愚かなる妹が無事に成長 しましたのも、ただただひとえに、 お二人の御訓育の賜物と誠に兄としては お礼の言葉もございません。 おいちゃん、ならびに、おばちゃん。 本当にありがとうございました。 」 と、寅深々とお辞儀。 おいちゃんおばちゃん、またまたまた深々とお辞儀。 (^^;) と続いていく。 見物に来ていた近所の人たちに対しても、 寅、土間で聞いている近所の人々に向かって。 寅「 これはご近所の御一統様、 長らくごぶさたいたしました。 以後お見知り置かれまして、 よろしく引き立っておたの申します。 」と続いていく。 谷よしのさんたち、深々とお辞儀(^^;) 店員の女の子もお辞儀 まあ、この頃の寅次郎はとにかく『仁義を切る』のが好き。 まだしっかり若かったんだねー!! このときとらやには みつ編をした若い女の子が店員として働いている。 ほとんどセリフは貰っていない。 この作品の後半部分で1セリフ「おかえりなさい」だけがある。 この女店員さんは第2作から役者さんが変わり、 その後もその人は第5作あたりまで毎作出ていた。 寅「 さ、カタッ苦しい挨拶はこのへんでお仕舞いにして、 さ、楽にして、おばちゃんも楽にしてさ、さ、さあさあさあ!」 おばちゃん、泣きながら おばちゃん「 ほんとうに、立派になってお帰りになって…」 寅、ニコニコ おばちゃん「 父ちゃんや母ちゃんが見たらどんなにかね…」 おいちゃん「 まあ、いいやな。 さ、何もねえけど一杯いこうじゃねえか」 と、ビールの栓を抜く。 寅「 あいよ」 おいちゃん、「 これはどうも失礼。 町内の方、どうぞ、上がってください。 」 おばちゃん「 一杯やっていただいて」 寅「 何にもないですけどね、さあさ、どうぞどうぞ」 おばちゃん「 どうぞ上がってくださいよ、」 寅「 ところで、 ナニ はまだかい? 」 おばちゃん「 さくらちゃんかい?今日は残業なんだよ」 寅「 へえ、残業なんかやってんの?近所の、紡績の女工でもやってんのか」 と、みんなで、さくらの勤め先である ( オリエンタル電気のキーパンチャー )の話題を始める。 おいちゃん「 とんでもねえ、さくらは キーパンチャー 、だぜ、おい」 寅、分かんなくて 「 キーパン? なるほどねえ…???」 なんとなく頷く。 (^^;) おいちゃん「 ほら、オリエンタル電気って会社知ってるだろう?」 寅 「 ほう 」 おいちゃん 「 あそこの電子計算機係なんだよ 」 寅は女の人が働いていると言えばすぐ「紡績工場の女工」と思う癖がある。 第11作「忘れな草」でも夜汽車の窓から 見える明かりの話で寅はやっぱり「紡績工場」出していた。 寅「 電子 やってんの。 そりゃたいしたもんだよ! 今の世はなんたって電子 だからねえ 」 ってよく分からないこと言っている。 (^^;) 寅「 お!忘れた忘れた、ね!こりゃね土産ってほどのことじゃねえけどね。 と、自分のお得意芸である バイのことに振り、 「電子応用のヘルスバンド」を おいちゃんやおばちゃんに土産がわりにあげるために トランクを開ける。 紫の腹巻や黒の靴下が きちんとたたまれて! 入っているのがわかる。 寅次郎はこうみえても 整理整頓が上手なところもあるのだ。 全作を通して寅次郎はずぼらだが清潔好きな感じではあった。 結構きちんとしているのだ。 それにしてもこのトランクちょっと小さめ! 寅「 おばちゃん、ちょっとこれはめてみてくれねえか、え。 「電子応用のヘルスバンド」 ってやつだ。 ね、こりゃ電子の力でもってね、体中の毒素と言う毒素が 全部追い出されて 新陳代謝がすーっとよくなちゃうんだ。 こちらさんがもし金だったら十万や 二十万でォ買い求めれるシナモンじゃない。 断っとくけど、これはただし ガセネタ じゃないよ。 論より証拠、はめてみりゃ わかる!つまり、 電子のつぶつぶ みたいなものが、 手首の血管からすーっと体内に入って 五臓六腑とかけめぐるんだ。 さ、ご近所の方、こっちに入ってずっと見てやってくださいよ」 その時、待っていた 櫻(さくら) が帰ってくる。 まだ結婚していないので 車 姓 である。 第2作以降は当たり前だが 諏訪櫻である。 だからこのときはまだ当然 戸籍は 車櫻(くるま さくら)である。 漢字で書くとかたい ので普段は ひらがな( 車 さくら ) を使っていることがこの後のお見合いの席での会話で判明!」 物語に戻って 寅、さくらに気づく。 みんなも、さくらに気づく。 おばちゃん「 さくらちゃん、お帰り」 寅「 さくら…」 さくら、戸惑いながら さくら「 ただいま…」 寅、立ち上がって 寅「 さくら…」 お膳をまたいで 上がり口まで来て 寅「 へえ〜…」 もっと近づいて 寅 「 おまえ、ほんとにさくらかい?」 土間にドン!と、降りて 寅「 ほらほらほら俺だよ、この顔に見覚えねえのかい?」 さくら 「 あの…」 寅 「 さくら!」 と両手を差し出す。 さくら、逃げて、恐がる。 さくら「 ねえ、この人誰なの? 」 って言ってまだ分からない。 おばちゃん「 やだよ、まだわかんないのかい 」 おいちゃん「 よく見ろよ! 」 寅「 いいんだ、いいんだ、無理はねえ。 五つや六つのちっちゃいガキの頃にほっぽりだして それっきりだ、フッ、親はなくても子は育つっていうが、 でかくなりやがった 」 別にもともと寅がさくらを育ててたわけじゃないんだが(^^;) さくら 「 あ…! 」 寅、さっとさくらの方を振り返る! さくら「 お兄…ちゃん? 」 第1作のテーマ曲が美しく流れる。 寅「 そーよ!お兄ちゃんよ! 」 さくら 「 生きてたの… 」 喜ぶさくら 寅「 んん!!」 さくら「 お兄ちゃん!!」 一同しんみり 寅 「 苦労かけたなぁ…。 ご苦労さん… 」 と 二十年ぶり の再会を喜ぶ。 とにかく倍賞さん若い!!そして綺麗!! この第1作の倍賞さんと第48作の倍賞さんを見比べると 「歳月」というものを実感できて、しみじみしてしまう。 寅「 ションベンしてくらぁ…」 やっぱりコメディだ!抜け目のない演出。 頷くさくら(^^;) 庭に出て行く寅 おいちゃん「 おいおい、便所こっちだよ」 寅「 いいんだいいんだ」 立ちションだな…(^^;) おばちゃん「 よかったね」と泣いている。 山田監督は絶対感動的な場面のあとに オチ をもってくるのだ。 これぞ喜劇の醍醐味。 (^^;) 裏庭で立ちションしながら「 人生の並木道」を歌う。 普通もう少し二人で再会の感動とともに下にいるはずなんだけどなあ、 20年ぶりに会ってまだ5分も経っていないのに、 もう2階に上がってしまうなんて… 2階のさくらの部屋 さくらの部屋(後に寅がいつも使う部屋)の構造がこの時はちょっと 違う。 庭側に廊下が見当たらない。 これは初期の不具合だ さくらが2階に上がっている間、ちょっと 向こうの窓から 諏訪博 が見える。 博初登場 の場面である。 もともとは、テレビ版では博は博士と書き、町医者だった。 しかし、山田監督は前年の1968年に上映会で公開された独立プロ制作の 『ドレイ工場』 での前田吟さんの工員役を見て、博の職業の決定と 彼を起用することを改めて確認されたらしい。 それほどまでにも前田吟さんは工員が似合っている。 もし映画版も博の職業が医者だったら、このシリーズはここまで多くの人々に 共感を与えるような味わい深いものにはなりえなかったともいえよう。 自分たちが まだ小さい頃の父母兄弟で撮った額に入った 白黒記念写真 を見る。 マニア必見 これが最初で最後の 少年期のさくらや寅の姿だ。 父親 の横で賢そうに写っているのがその後まもなく 亡くなってしまった 長男の顔。 もちろんさくらの お母さん も写っている。 この父親は 女道楽 が凄くて親戚一同を困らせてたそうだ。 寅も酒飲んだときに芸者「きく」に生ませた子である。 きくはまだ赤ちゃんだった 寅をとらやに置いて行方をくらましてしまう。 寅の生い立ちには哀しい物語がある。 このことは第2作でしっかり 出てくる。 ちなみに、フジテレビのドラマテレビ版『男はつらいよ』でも、 第1話の冒頭で、これに似た家族写真が映り、 具体的なさくらの家族の様子がさくらによって語られるのだ。 つまりお父さんがまだ存命だった頃から、生活が荒れて お父さんは家族の面倒をあまり見なくなったのかもしれない。 テレビ版の中で使われた家族写真 このあと作品には出てこないが深夜まで おいちゃんと寅は飲み明かしたらしい。 翌日は二日酔いで苦しむ羽目になる。 序盤はここまで。 このあとさくらのお見合いからはじまって博との 結婚まで、と御前様の娘の冬子とのからみの2本立ての 本題に入っていく。 なにしろこの第1作は中身がぎっしり詰まっているのだ。 息つく暇もない! まずは さくらの見合い。 京成電鉄の踏み切りの音 早朝、柴又参道 さくら、2階の窓から座布団を叩いて、埃を取っている。 下でおばちゃんの声 おばちゃん「 さくらちゃん!」 さくら、身を乗り出して さくら「 はい」 おばちゃん「 ちょっと来てちょうだい」 さくら「 はい」 博が工場の寮の窓から見ている。 何かあるたびに さくらを気にしている博。 そしてなんとこの第1作は 朝日印刷でな く、なんと 共栄印刷KK になっている。 ( 工場の壁に描かれた大きな文字) この共栄印刷KKは第4作まで続き第5作から 突然「 朝日印刷 」になっている。 この朝日印刷はその後も 「 株式会社 」 になったり 「 有限会社 」 になったりいろいろ揺れ動く。 工場の創業は「拝啓車寅次郎様」のタコ社長の話に よると昭和21年夫婦で始めたらしい。 とらや 縁側 さくら「 いいわ、私ひとりで行くから 」 おばちゃん「 とんでもない!ダメだよ、そんなことできるわけないじゃないか。 むこうさんは、ご両親から妹さんまでみえるんだよ」 寅、庭で浴衣のまま、話を耳ダンボにして聴いている。 セキセイインコを飼っているんだね。 さくら「 しかたないじゃない。 いまさらおいちゃんが 二日酔いだからって、日延べしてもらうわけにも いかないでしょう?」 おばちゃん「 でもさあ、一人でなんか行ったら、 この話、だめになっちまうよ お」 さくら「 いいわよ。 どうせ無理やり 部長さんが押し付けた話だもん」 おばちゃん「 まあた、そんなこと言ってエエ。 今までにこんな言い話があったかい?」 さくら「 じゃあ、どうすればいいのよ」 おばちゃん「 どうすればいいって、困ったねえ、 ほんとにバカだったらありゃしないわ! 夕べあれほど私がほどほどにしなって言ったのにい!」 寅「 よよよ、おばちゃんよ、いったいどうしたんだい?」 と縁側に腰を下ろす。 おばちゃん「 いえね、今日はさくらちゃんの お見合い の日なんですよ〜」 寅「 へえ!!〜、さくらが見合いかあ」 寅「 で、これのこと欲しいって野郎は、どこの誰なんだ?」 おいちゃん、布団から出てきて おいちゃん「 ん、あのな…」 寅「 ん」 おいちゃん「 あの、さくらの会社のな…」 おばちゃん「 うるさいね!お前さん、黙っといで! なんだい、出来損ないの酔っ払い!!」 おいちゃん「 そうおめえ、ガンガン怒鳴るなよ、 頭に響いてしょうがない…」 おばちゃん「 なに言ってんだよ!」 寅「 まあ、いいからおばちゃん、喧嘩はいいからさ、 いってえそれからどうなってんだよ」 おばちゃん「 とってもいい話なんだよお〜、」 寅「 ほお」 おばちゃん「 オリエンタル電気のね、下請け会社の社長さんがね、 さくらちゃんのことを見初めて、自分の倅の嫁にぜひって、 部長さんを通じて言ってきてくださったんだよ」 ある意味凄い玉の輿 寅、頷いている。 おばちゃん「 そいでね、今日は、おいちゃんが付き添いで 見合いに行くはずが、ゆんべ飲みすぎちゃってこの有様だろう、 さくらちゃんはさくらちゃんで一人で行くなんて言い出すし、」 さくら「 だって私は最初から乗り気じゃない、って言ってるでしょう」 寅「 さくら、それじゃおまえなにかい、 お見合いってのは フウケン 主義だと、 こう言うのかい?」 封建だろ(^^;) さくら「 …え??」 (^^;) 寅「 そりゃあ、ちょっと考え違いじゃないかなあ」 おいちゃん「 そ、そうなんだよ、いや、オレたちも 今、それ言ってたんだよ」 おいちゃん「 なあ、寅さん、おめえ、オレの代わりに 行ってくれねえかな…」 さくら「 …」 寅、はっとして 寅「 オレがぁ〜?」 おばちゃん「 ほんと、そうしてくれると助かるんだけどねえ」 おいちゃん「 実を言うとなホテルなんだよ。 」 ホテルにビビルおいちゃん。 おいちゃん「 ホテルなんてそんな立派なところ、 オレ、苦手だろ…。 かえってさくらに恥かかせちゃ 悪いもの。 そりゃあ、おめえ、寅さんが一番いいよ。 第一、実の兄貴なんだからな。 頼むよ〜〜」 と、またヘナヘナと布団に倒れこむ。 さくらの結婚式も、なんとおいちゃん出席してないので 本番に弱いタイプかもしれない(^^;) 寅「 …」 さくら「 お兄ちゃん、忙しいんじゃない?」 寅「 …んん…ま、忙しいってたって、 今、歯磨いてるだけなんだけどね…」 まだ昨日20年ぶりに帰ってきたばかりで、寅がどれだけ 危険な人物かを把握できていないとらやの人たちは、 無謀にも寅にさくらの付き添いを頼むのだった。 ということで、付き添いを引き受けた寅は さくらと一緒に、ホテルへ向かう。 タクシーの中 ホテル ホテルニューオータニ ) に向かうタクシーの中。 見合い相手は『鎌倉さん』。 見合いの席で スープを音を立てて皿を持ちながらすする寅。 見合い相手の家族、皆、露骨にいやがっている。 寅も無作法だが、いやがる人々も表面的なことに こだわる鼻持ちならない人たち、という感じの演出。 さくら、止める 寅「 なんだ?」 部長「 しかし、車君、お兄さんが帰ってみえて嬉しかっただろ?」 さくら「 はい」 部長「 20年ぶりとはねえ」 相手の父親「 あのー、今お仕事の方は…?」 寅、パンの穴から顔を覗かせて遊んでいる。 」 相手の父親「 どういう御種類のセールスを?」 寅「 えー、主に… 本 ですね…」 さ くら、なぜか驚いて寅を見る。 この時点ではさくらは昨日20年ぶりで、寅に再会したばかりで、 寅がどのような仕事をし、なにを売っているかまでは詳しくは 会話していないはず。 相手の父親 「 出版関係の? 」 寅「 ええ、出版といいますか、まあ、法律とか、統計とか…」 さくら、また驚く。 父親「 ほう、それはそれは」 意味ねえ納得(^^;) 寅 「 その他、 英語、催眠術、 灸点方、夢判断、 メンタルテスト、諸病看護方、 染み抜き方、 心中物、事件物、 と、 まあいろいろなんでもやってますけど…」 なんのこっちゃ(^^;) 寅「 なんてこたあないんですよ」 ビールを飲み干して、ふっと息を吹き、 寅「 どうぞ、お近づきのしるしに 」と、グラスを差し出す。 寅「 さ、どうぞ、やってください 」 寅、みんな堅気なんだからさ…(^^;) さくら、どうしていいのやら困って笑うしかない… 時間が過ぎて… 部長が話題を振り撒いている。 一同「 ハハハ!」 部長「 毎年、3月人事異動の時期が近づくと 各課の間でさくらさんの争奪戦が始まります 」 一同「ハハハ」 部長「 それをね、人事部ではストーブリーグっていいましてね 」 一同「ハハハ」 部長「 さくらの花が咲く頃にその辞令が下りる。 というわけです 」 寅、必死で肉を切っている。 さくら、心配そう… 見合いの相手 広川太一郎)に レタスというか…付け合せの野菜を 入れている器のようなもの を飛ばし、 おでこに当ててしまう。 ( これは渥美さん何度もやり直ししたんだろうなあ) 凄い命中率! だ。 このように付け合せの野菜を入れるパイ生地のようなレタスのような…器を寅は飛ばした。 さくら、唖然 父親 「だが 、 珍しいお名前ですな「さくら」さん、というのは…お父さんのご趣味ですか」 と話をそらす(^^;) 1969年当時は珍しい名前だったんだねえ。 今じゃ、2004年で日本で一番多くつけられてる 名前になっちゃったよ(^^) さくら「 は、はい。 でも、戸籍では漢字なんです」 部長「 あ、そうそう、漢字だったね」 父親「 桜の花のさくら…」 さくら「 はい」 寅「 ええ、 車 櫻 なんて書きますとね、 誰も名前なんて思わないんですよ。 『 ほう、 くるま桜 なんてのがあるのかい? なんてね」 部長「 なるほど、ハハハハ」 寅「 へへ…、いやこの「さくら」って字がね、 面白ございましてね。 えー、」 嫌〜な予感…(__;) 寅「 尸(しかばね)に水と書いて 尿 ! つまりしょんべんだ。 尸(しかばね)に米と書いて 屎 (ふん) ! つまりくそですね。 寅「 尸(しかばね)にヒを2つ書いて つまり、 屁 なんですよね。 いやーキツイです。 この状況…(^^;) ちなみに渥美さんは第1作、第2作あたりではでいろんなアドリブを試みたようだ。 しかし山田監督は渥美さんがあまりにもアドリブを連発するので心底困ったらしい。 第3作。 第4作を自身が担当しなかったのも、「家族」などのほかの映画制作に 没頭していただけでなく、ひょっとして、そういう不和もあったためかもしれない。 しかしその後、渥美さんも、自分の出た映画を観て山田監督の感覚を理解し、 無駄な動きが少なくなり、第5作あたりからは息もぴったりな関係になったようだ。 さくら、止める。 寅を睨んでいる。 寅「ヘヘ…へ…へ……」 見合い相手のお母さん寅を睨んでいる。 見合い相手もだめだコリャと いう顔で下を向いている。 寅、気まずくなって、ビール飲み干し 「 おう、酒! 」とおかわりの催促。 さくら、もうこのへんで、寅連れて帰っても いいと思うよ。 もう無理だよ…。 時間が経って 寅、ベロンベロンに酔っ払っている。 このあと寅の出生の悲しみに 寅自らが触れ、憤る場面は物悲しい。 寅、セロリをかじりながら 寅「 ねえ、不思議でしょ?」 と、相手に向かって尋ねる。 寅「 こんな美人の妹に、ぶっ壊れたツラの兄貴が いるってことは不思議でしょ?お兄さん」 見合い相手「 いえ、…そんなことは」 部長「 そんなことはありませんよ」 寅「 いやー、それもそのはずよ、 これとオレとではね 「 種違いなんだよ」 いやー違う!ハハ、 「 腹違いなんだよ」 一同唖然…。 さくら「 お兄ちゃん、酔っちゃったの?」 と止める。 最悪のムード 寅「 うるせえな」 部長「 おおお、お兄さん、 そういう話は、また別の機会にね」 部長さん、もう何を言っても言わなくても一緒だって(ーー) 寅「 いや、そんなことないよ、こういうことは、 はっきりさせとかなきゃさくら可哀想だからね」 ある意味、それは正しい。 あとで、 そのことで問題が起こるより、 ここで起した方がいいかもしれない。 寅「 あたしの親父ってのはね、大変な 女道楽 、 私のお袋ってのは 芸者 なんですよ、 えー、その親父が言うにはね 親父がへべれけの時私を作ったんだとさ…」 さくら、下を向いている。 給仕がメインディシュを下げようとすると 寅「 食うんだよ! 」と払いのける。 寅 「 親父はね、あたしのことをぶん殴る時いつも言ってたね。 『おまえはへべれけの時つくった子供だから生まれつき バカだ』とよ!あんちゃん悔しかったなあ!…酔っ払って つくったんだもんなぁ…オレのこと…。 」 さくら「 お兄ちゃん… 」 寅「 真面目にやってもらいたかったよ オレは!本当に! 」 これは 寅の心の傷であり、 癒されることのない 寂しい生い立ちなのである。 第2作、第7作でもこのことが大きく浮き彫りになっていく。 見合い相手の母親、 我慢できなくて立ち上がり帰ろうとする。 母親「 私、失礼致します 」 寅 「 あは、かあちゃんどちらへ、あ! お便所! あー、いってらっしゃいいってらっしゃい。 出物腫れ物 ところ嫌わず ってね。 我慢しちゃいけねえや。 爆発しちゃうからな!」 寅、立ち上がって 寅「 あ!そうだそうだ!よおし、 オレも行こ、オレも行くぞ、オレも行こ。 ちなみに知床慕情では 「 こないだなどは糞をする前にケツを拭いてしまって、 まあ、親戚中で大笑い。 ハハハハハハ…、ウォッホン! 」 と、なっていた。 寅「 母ちゃん!?そっち行ったの〜?ねえ、ねえ?」 さくら、呆然として、ガックリ…イスに座る。 寅、遠くで「よお?」 さくら、泣きそうになって、下を向いている。 これでお見合いはぶち壊し。 しかしまあ、そのおかげで博とさくらはその後結婚し、 満男が誕生するのだからこれでよかったとも言える。 所詮、住む世界も、価値観も違う相手とはそうは 長続きしなかったと思う。 夜の京成電鉄の踏み切り とらや 寅が、「人生の並木道」を酔っ払いながら 歌って帰ってくる。 寅「 おら、おいちゃん、おばちゃんただいま!!」 さくらが肩を貸している。 寅「 んん〜!!上手く行ったよォー!」 寅、なだれ込むように、上がり口に座り 寅 「ヘヘ、ハハハ、よう、おいちゃん!よう、 安心しろよ、なあ!大成功だよ! オレがついてったんだから、 上手くいったよな!?」 さくら、疲れた表情で頷く。 寅「 済んだよ、うん。 フハハハ、よーし、よしよしよし、 ちょっと行ってくらァ、うん」 と庭のほうへ おいちゃん「 ほんとかい?上手くいったのかい?見合い?」 さくら「 さあ、だめなんじゃない…」 と、半泣き(TT おばちゃん、呆然 おばちゃん、 老眼鏡のメガネ かけてる。 これは珍しいシーン。 さくら、泣きながら階段を上がっていく。 寅、庭で立ちションベンしながら、 「 人生の並木道 」を、また歌っている。 寅を行かせたことを 後悔するおいちゃんたち。 タコ社長「 誰だー!俺んちの塀に ションベンひっかけるやつは!!」 ( 初登場タコ社長!まずはちょっとだけの出演 ) 寅「 なんだい!この親父!チキショウ!てめえとここそなんでえ! 朝から晩までガタガタガタガタうるせえ音させやがってよ!えー! オレんちにはな、まだ嫁入り前の娘がいるんだ! 知らねえのかよ!おい、ちょっと来いよ!おまえちょっと来いってんだよ。 朝から晩まで仕事してりゃいいってもんじゃないよおまえ! お天道さんが沈んだらねー早めに寝てもらいてえな、貧しいねえー!君らは」 さくらは自分の部屋に戻って、机に向かって泣いてしまう。 悲しんでいるさくらを向かいの工場の寮の部屋から 博が見て心配している。 何度も言うが、 一応カーテン閉めろよな、さくら(^^;) 翌朝 柴又駅 翌朝、さくら、柴又駅から通勤している。 満員電車で通勤している姿が映る。 昨日のことがあったので元気がない。 テキヤの親分の家。 部屋の中で その筋のおあ兄さん達にバイを始めるに 当たっての仁義を切る寅(寅ってほんと仁義切るの好きだ) ( 月寄りの廻り面通 ) 「仁義」を博徒内では、「チカヅキ」(近づきの仁義)、 テキヤ仲間では「メンツー」(面通)とか「アイツキ」と言う。 子供たちが窓から覗いている。 母親、すぐにそこから離れさせる。 寅 「 わたくし、生まれも育ちも東京葛飾柴又です。 姓は車、名は寅次郎、 人呼んでフーテンの寅と発します。 皆様ともどもネオン、ジャング ズ)高鳴る大東京に 仮の住居まかりあります。 不思議な縁持ちましてたったひとりの妹のために 粉骨砕身、バイに励もうと思っております。 西に行きましても東に行きましても、とかく土地土地の おあにいさん、おあねえさんに御厄介かけがちなる 若造でござんす。 以後見苦しき面体お見知りおかれまして、 恐惶(向後)万端引き立って、よろしくお頼み申します。 」 ジャンズとはジャズのこと。 丸の内 オリエンタル電気 他の女子社員に混じってキーパンチャー室で計算機を打っているさくら。 女子社員、さくらを呼びに来る。 この同僚さん、確か後に さくらの結婚式に出席してる人だと思う。 さくら、部長室をノック コンコン 部長、暗い顔で 「ハイ、どうぞ」 さくら「 失礼します」 さくら「 昨日は、大変ご迷惑をおかけいたしました 」 と、深々と謝罪のお辞儀。 部長「 あ、いやいや、さあ、座んなさい」 さくら「 はい」 部長「 いやあ、大変だったろ、あれから」 さくら「 あ、はい」 部長「 うん…、実は、今まで 鎌倉さん が見えててね、 あんたに会えないが、くれぐれもよろしくって、」 さくら、頷く。 部長「 それでね、つまり、結論から言うと…」 さくら「 分かっています。 お断りに見えたんですね」 部長「 うん…」 部長「 君にはすまないが…、いえ、いいんです」 さくら「 いいんです。 あたりまえなんですから」 部長「 そう…悪かったねえ…」 さくら「 あ、いいえ」 部長「 …」 さくら「 …」 あのさくらが速攻で断られたなんて悲しい(TT) このあと寅はバイをしている 舎弟の 登と再会する。 この登も最初の作品群では第10作くらいまでちょくちょく顔を 見せて寅とは絶妙のコンビだったが、そのうちに源ちゃんの キャラが目立ってくるに従い、役がかぶるので登場しなくなったのかも。 第33作で久しぶりに岩手の盛岡で登場。 その時はすっかり堅気になって 言葉も変わってしまって 今川焼屋(食堂)をしていた。 ちょっと昔の覇気がなかったのが残念。 寅、つまようじを口にくわえ、 紙で作った傘を指先でクルクル回しながら、 鼻歌で「喧嘩辰」を歌って歩いていく。 沿道でロケを見ている人たちが映る。 (おおらかな時代だったんだねえ) 巣鴨とげぬき地蔵 登 本のバイをしている 全くやる気ないバイ 登「 雑誌ですよ〜、雑誌、大安売り、大バーゲン たくさんありますよ。 あ〜〜」 やる気ねえ〜〜(^^;) 寅、登の本を足で蹴って 寅「 タコ」 登、驚いて寅を見る。 ね!かどは一流デパート赤木屋さん黒木屋さん 白木屋さんで紅白粉付けたおねえちゃんから下さい、 ちょうだいでいただきますと500や600はくだらない 品物ですが、今日はそれだけ下さいとは言いません! なぜかと言いますと、神田は六法堂という書店が わずか30万円の税金で、泣きの涙で 投げ出したシナモンです!!バシッ!! 400、300、!200!どうだ!バシッ!! 100両だ!どうだ!! これでも買わない?ちきしょう、 ……もうこうなったら浅野内匠頭じゃないけれど 腹切ったつもりだ!どうだい、こう負けて、こう負けて、 おばやん、これ持ってけ、ダメ? 帰れババア、よし!こうなったら、オレは死んだつもりだよ! チキショウ!火つけちゃうぞ!おい!おじさん持ってけ!! 」 夜 とらや 寅ちょっと、酔っている。 登を一緒に連れてきている。 寅「 今帰ったよ!」 さくら、おいちゃん、おばちゃん、落ち込んでいる。 店と茶の間の間に壁!テレビがこの位置! 第1作だけの特別バージョンの茶の間(^^) 寅「 妹いるか!?」 さくらたち、びっくりして、店の方を見る。 寅「 あ、いたいたいた、おい、てめえ、いいから 遠慮しないで入れ、こっちへよ!」 寅「 ここ、オレんちだから、な、妹紹介するからよ!」 台所まで来て 寅「 早くこっち来いてんだ、この野郎」 寅「 ヘヘへ、おい、おい、これ見ろ、え? 綺麗だろ、な、 丸の内 でもって BG やってんだい、 本来だったらおめえなんかと話できないしろもんだよ、 おまえ、ほんとだよ」 BGって、今のOLのことか。 昔はビジネスガールって呼んだんだろうね。 さくらたち、ブスッと下を向いている。 おいちゃん、寅を睨んでいる。 寅「 あ、おいちゃん、これね、オレの舎弟で、登っていうんだよ。 うん、お見かけどおりバカなやつだけどさ、身寄り頼りのない 可哀想なヤツなんだ。 これからずっと、オレんちで持って 一緒にアレするから面倒見てやってくれよ。 な、おう、 おい、登、おい、こっちこい 、 」 さくらたち、寅を睨んでいる。 寅「 おまえ、腹すいたろ、食え食え、 食べろ食べろ、ハハハ! 」 一同、睨んだまま 寅「 なんだい?どうしたい、 不景気なツラして、どうしたい? 」 おいちゃん、お膳を「ガン」と叩いて おいちゃん「 よ、よ、よくも平気でいられるな! 謝ったらどうなんだ、謝ったら!」 寅「 ...」 寅「 何、おいちゃんカーカー頭に来てんだよお」 おいちゃん「 さくらはな、断られたんだよ、縁談を!」 さくら「 ...」 寅「 ...、 あ、そお、へえ…、断られたのさくら」 さくら、頷く。 寅「 ヘヘヘ!そりゃかえって好都合だよ!冗談じゃねえよ! あんな青二才よ!さくらぐらいの女ならね後から後から男が 押しかけてきちゃうからな、ほんとだよ。 おいちゃん「 よさねえか!バカ!」 おばちゃん「 ちょっと私に言わせておくれ! いいかい寅さん! 断られたのは、あんたのせいなんだよ!」 寅「 !...」 おばちゃん「 こんないい縁談、めったにありゃしないんだよ、 そう言っちゃ何だけどね、両親もいなけりゃ、 財産もないさくらちゃんだよ、 いくら本人次第と言ったって、縁談となりゃ、 今まで人に言えないいろいろ辛いことがあったんだよ」 寅「 なんだよ、はっきり スッ と言ってくれよ」 寅「 つまりオレみたいな、ヤクザな兄貴がいるからさ、 これが嫁に行けないって、こういうわけか!?」 さくら「 もうやめて、もういいのよ...。 私、諦めてるんだから」 寅「 おう、そうだよ。 人間諦めが肝心だよ。 だいたい見合いについてってくれって言ったのは、 自分たちじゃないか、それをなんだ今時、 グダグダグダグダ、グチっぽいババアだねえ、」 それは一理あるな。 寅の気質をあの時点では さくらもおいちゃんたちも見抜けていなかったんだよね。 おいちゃん「 ババアとは何だ!ババアとは!」 寅「 おや?ジジイ怒ったねェ」 さくら「 お兄ちゃんなんて言い方よ、散々世話に なったおいちゃんたちにそんな言い方 ってないでしょ、謝んなさい!」 この場合、寅は両親が存命中に早々と家出したので、おいちゃんたちに 世話になったのは妹のさくら。 寅はさほど世話になっていないかも。 もっともこのあとず〜っと世話になりっぱなしになるのだが(^^;) おいちゃん「 そうだ、謝れ」 寅「 こんにゃろ、妹のクセにてめえ生意気だぞ!!」 さくら「 お兄ちゃんこそなによ! 兄貴面していい気になって、 昨日から今日にかけて私が お兄ちゃんのためにどんな辛い思い してるかわかんないの!!??」 寅「 うるせえ!!」 寅、思いっきりさくらの頬をたたく。 バシッ!! さくら「 イタッ!!」 と頬を押さえて倒れ、寅を睨む。 このあとの作品でもしばしば寅はさくらを 押し倒したり、コツいたりするが こんなに激しくなぐったのはこの第1作だけだと思う。 強烈だった! さくらも負けないで 「お兄ちゃんなんかどっか行っちゃいなさいよ!」 この頃の山田監督の演出は、生々しくてエネルギッシュだ! 倍賞さんの視線も強い。 おいちゃん「 てめえ、よくもさくらに手をかけやがったな!!」 さくら、寅を掴んで さくら「 お兄ちゃんなんかどっか行ちゃいなさいよ!」 おいちゃん「 オレはもう我慢できねえ!!」 止めようとした登、寅に跳ね除けられる。 おいちゃん「 貴様、よくも!このやろめ!!」 と、寅の頭を叩く! バシッ! 寅「 アイタァー!!」 寅「 よし!やってやろうじゃねえか!!」 おいちゃん「 表に出ろ表に!」 さくら「 ちょっとお兄ちゃん!やめなさいよ!」 おばちゃん「 およしよ!」 と、おいちゃんにしがみついてとめるおばちゃん 共栄印刷の2階から何かあったなと下を見る博 とらや 裏庭 おいちゃんたち庭に出て おいちゃん「 よおし!おもしれえ!殴ってもらおうじゃねえか!」 寅「 よおし!本気でやってやらあ!」 と、おいちゃんを押す。 おいちゃん「 やったな!」 おばちゃん、おいちゃんに しがみついて止めている。 寅「 離せ!離せ!くそ!離せよ!登!」 博 「 暴力はよせ!」 寅「 なに!?、あれ?てめえ職工じゃねえか! 」 さくら「 博さん!」 と止めようとする。 おいちゃん「 ええい!止めるな、止めるな!」 おいちゃん「 博さん、かまわねえ!」 おいちゃん、さくらたちを振りほどく さくら「 きゃあー」と吹っ飛ぶ。 おいちゃん「 オレが許すぜ!え!かまわねえから 痛めつけてやってくれ!」 寅「 このやろう!チキショウ!よおし! やってくれえ!チキショウ!もうこうなったら!」 寅「 オレがいったい何したってんだい!! 殴れるモンだったら 殴ってみろい、チキショウ」 おいちゃん「 よおおし、殴ってやる、キサマのようなやつは!」 拳骨でガシッ!!と頭を殴る。 寅「 アイテ!アター!!」 さくら「 !! 」 おばちゃん「 あんた!いい加減にしなよ!」 おいちゃん「 どうだ...こたえたか」 寅「 離せ!職工!」 このへんはすごいドタバタ劇 後期の作品群では絶対お目に かかれない立ち回りだ。 みんな若いんだね。 動きの流れが溌剌としている。 おいちゃん 「 これは俺が 殴ったんじゃないぞ! 俺のゲンコじゃねえんだ!こりゃあ! こりゃ死んだてめえの 親父のゲンコだぞ! 」 上手いねえ森川さん! おいちゃんに対して寅も意地で返す! 「 笑わせやがら! 親父のゲンコはもっと痛かったィ!!」 凄い啖呵の応酬! おいちゃん「 てめえ、言いいやがったな!コンチクショウ!!」 とまた殴るが、博に当たってしまう。 (^^;) さくら「 おいちゃん、やめてえ!!」 おいちゃん、何度も何度も座り込んでいる寅を殴る。 寅「 アイタ!アイタ!チキショウ!!」 寅、居直って 寅「 おーし!やれってんだ!このやろう!」 おいちゃん「 てめえがな、てめえが 家をおん出た時、オヤジはどれだけ心配したか、えー、 おとついてめえの面見たときはな、ああ、親父が生きて たらどんなに喜ぶかと…、 でもかえって、死んだほうがよかったィ! このざま見るくらいならな、死んだほうがましだったと、 親父は今ごろ草葉の陰で、草葉の陰で… 」 おいちゃん「 さくら...薬をくれ、薬...、はあああ」 さくら「 おいちゃん!どうかしたの?」 おばちゃん「 あんた、しっかりしておくれ、大丈夫かい?」 おばやんとさくらに抱えられて、ヨタヨタと歩いて座敷に 連れられて行く 寅、座って、おいちゃんのほうを見て、ちょっと気にしている。 登、寅を 冷ややか に見ている。 寅「 なに見てやがんだ、このやろ、ケッ!」 と登をはたく。 登「 アタ〜 」 寅、おいちゃんのことを気にかけている。 優しく音楽「 さくらのテーマ 」が流れる。 さくら、戻ってきて、寅の横にしゃがむ。 寅「 おいちゃん...大丈夫かい?」 さくら「 うん」 博、登を抱き起こす。 寅、博の、腰のタオルをひっぱって 寅「 かせ」 と、タオルで顔を拭く。 タオルのオイルが顔について真っ黒になる。 さくら「 フフフ!」 と笑う。 寅「 ??フフフ」 とわけがわからず苦笑い。 さくら、笑い続ける。 寅「 バッキャロ...フフフ」と笑い続ける 寅「 なんだよおまえ...フフ」 ようやく、タオルの汚れが 顔についたことに気づいて 「...」困った顔 このあたりはそれぞれのセリフが生き生きと 躍動感に満ちていて観ていて気持ちがいい。 「この雑巾(紙)で顔拭いて真っ黒」はその後の作品でも時々採用される。 博は本当はそうとう喧嘩が強い。 そのことは第3作「フーテンの寅」で 寅にストレートパンチと背負い投げを 食らわせて見事に証明された。 寅の旅立ち 朝の帝釈天参道 とらや2階 おばちゃん下から声 おばちゃん「 さくらちゃん!」 さくら「 はーい」 おばちゃん「 もう遅いよ〜」 さくら「 はい」 と、襖を開けると 置手紙 が落ちる。 おばちゃん「 なにやってんのよ、会社遅れちゃうじゃない」 と2階に上がってくる。 さくら、手紙を読んで さくら「 お兄ちゃんが出ていちゃったの」 唖然… 登も聞いている。 おばちゃん「 え?」 と置手紙を渡され読む。 『 妹よ。 夕べは悪いことした。 俺は出てゆく、たびの空。 お前のしあわせ いのってる。 俺の弟、登のことはよろしくたのむよ、 さようなら 愚かな兄の寅次郎 』 第11作「忘れな草」で 愚か と言う字をさくらに聞いていた寅だが、 この第1作ではちゃんと漢字で書いている。 20年ぶりにようやく帰ってきて数日で旅立ったんだから、 さくらも追いかけるのに必死になるよな…。 この時のとらやの2階の登と寅の寝ていた部屋が階段を 上がって右にあった事から、とらやの2階はどうなっているんだと、 後々まで分からなくなる。 第4作でも春子先生がこの部屋に下宿。 階段を上がって左の寅の部屋とは別の部屋。 しかし第4作を最後に 2度とこの階段を上がって右の部屋が映ることは無かった。 帝釈天参道 さくら参道に飛び出し、走っていく。 さくら、題経寺を探し、源ちゃんの掃除している バケツをこかして走っていく まず、真っ先に柴又駅の方に探しに行くだろう普通は… 江戸川土手を走って探し回る。 登も一緒に探す。 普通、柴又駅探すよ。 (^^;) 登「 あっ、いた!」 遠くに矢切の渡しに乗る寅の姿。 そんなモンに乗るか普通??柴又駅に行くだろう? 遠く背中の方からさくらの声 さくら「 お兄ちゃーん」 寅、思わず振り返る。 遠く土手に2人が見える。 登「 兄貴〜!待ってくれ〜!」 さくら「 お兄ちゃーん」 寅「 かまわねえ、どんどん行ってくれえ!」 登「 兄貴〜、置いてけぼりはひでえよ〜!!」 さくら「 お兄ちゃん、行かないでよ〜!」 寅、千葉側にたどり着き、走っていく、 寅「 おう、船頭さんよ!どんなに言われたって 元に戻るんじゃないぜ、 おめえらには分かるめえが、 これが渡世人のつれえところよ」 そんなこと言ったって船頭さん分からんって(^^;) さくら「 どうして、行っちゃうのよ〜!お兄ちゃん!」 登「 俺も連れてってくれよ〜!おーい!」 さっさと京成柴又駅からいったほうが早いのだが、 やはりオープニング同様、 雰囲気 を重視する寅ならでは の旅立ち方だ。 こういう演出も寅ならでは。 こういう行動からしていかにも渡世人だなあって思う。 さくらにとっては、寅が一度出て行ったら もう二度と帰ってこないのではという心配がある。 ついこの前20年ぶりで帰ってきたばかりなのだ。 まださくらには、このあと永遠に繰り返される 寅の旅たちへの免疫はない。 それから1ヵ月… 脚本(決定稿)では『五月』となっている。 とらや 登はとらやで働いている。 とらやへの手紙見て、 登「 ダンナ、速達ですよ」 おいちゃん「 速達??誰だ、誰からだい?」 登「 とらや、ご一統様、奈良にて坪内…冬子…」 おいちゃん「 坪内冬子?」 おばちゃん「 御前様のお嬢さんだよ」 おいちゃん「 あ、お嬢さんか」 おいちゃん「 お、登、おまえ、読んでくれ」 登「 え〜…、前略皆様、お元気ですか。 奈良滞在も3ヶ月近くなりますが、ようやく健康も回復し、 迎えに来た父と共に帰郷をすることとなりました。 」 東京よりも奈良にいたら治る病気ってなんだろう? 入院していたって言う意味だろうか? 空気のいい田舎がいいって意味か? 御前様の実家があるのだろうか? 奈良の斑鳩の風景 法起寺 三重塔 病気療養していた御前様のお嬢さん (坪内冬子)と ばったりお寺で会うことになる。 唐招提寺金堂・鼓楼(舎利殿)・礼堂(らいどう)・宝蔵 私のサイトをいつも見てくださっているロケ地めぐりの達人「さすらいのサラリーマン」さんが この作品には、法隆寺だと思われているお寺の中に実は「 唐招提寺 」が入っている と、メールで知らせてくださったのだ。 みなさんご存知のとおり、このお寺は 聖武天皇の招きに応じ、苦難の末、日本にやってきた唐僧鑑真和上によって建立された。 鑑真は、ここを「唐律招堤」と称し、戒院として教学の場を営むことになり、 やがて鑑真を支持する人々から居室や宿舎を贈られ、 倉庫、食堂、講義用の講堂、本尊を安置する仮金堂などが建てられ、 鑑真の没後、金堂や東塔が建立されたらしい。 平安時代初頭に伽藍全体が完成し、そのころ「唐律招堤」から「唐招提寺」となったという。 礼堂の向こうに宝蔵が見える。 冬子「 ところが今日、父を案内しての見物の途中、 珍しい人に偶然会い、びっくりしました。 」 法隆寺 西門 冬子『 今思い出すと、なんだか可笑しくなってしまいます』 奈良で御前様が冬子さんの写真を撮る時に現れる 後ろ足を酷く怪我した野良犬 がいるが、 あれは偶然なんだろうか?… 前々から気になっている犬だ。 逃げないで御前様と冬子さんのそばで、 ビッコをひいていた。 御前様「 おい、ちょっとそこに立て」 スナップ写真を撮る御前様 東大寺三月堂近く 修学旅行生がたくさん歩いている。 東大寺二月堂 マイクで案内(だみ声) 「「御覧下さい、この大伽藍は…」 二月堂の長いすに座っている。 東大寺二月堂は江戸幕府によって1669年に再建され、正面7間(23メートル)、 奥行き10間(27メートル)の大きさ。 お水取りのクライマックスで、大きなたいまつを持った信者らが 駆け抜ける舞台が正面と両脇に付けられている。 古代から続く伝統行事と密接に 結び付いたたぐいまれな建築として文化史的な意義がある、とされた。 御前様「 疲れないか?」 冬子「 いいえ」 御前様「 んー、騒々しくていかんな、このへんは」 冬子「 フフ…」 近くで外国人の新婚さんカップルが、風景を眺めている。 外国人「 はい、トラさん!はい、トラさん! 」 寅「 はいよ、」 とスタスタ歩いてくる。 外国人「Its biautiful 、just biautiful!」と遠景を指差す。 寅「 ビューテフル、結構! 結構ケだらけ猫灰だらけ、穴の周りは クソだらけってね!え、ビューティフルは いいけどよ!こっちはもうくたびれちまったよ、」 外国人「 ヘイ、トラさん、」 寅「 2,3日ろくなもん食っちゃいないんだもんね。 ステーキ食ってる おめえたちとつき合わされちゃかなわないや全く」 と、御前様の横に座る。 寅「 ね、おじさん」 寅、御前様に気づいて 寅「 あ!」と立ち上がり、 寅「 御前様!」 御前様、じっと寅を見ている。 寅「 こりゃ、どうもどうも!いや、どうもお久しぶりでございました。 あの節はどうもお世話様になりまして、ヘヘ…、」 ( このような 無理やりの偶然は 全48作全部のあらゆるところでおこることになる) 寅「 また、なんです、こんなところへ?民情視察ですか」 御前様「 おまえ、こんなところで何してる。 みんなが心配してるって言うのに」 寅「 いえね、あのお…、京都で持ってバイやってまして、 なんだかこいつら夫婦と仲良くなっちまいましてね、 もう、あっちフラフラ、こっち…」 寅、隣の冬子を見て、 寅「 あ…、どうも御前様、なかなかスミに 置けませんね。 こんな綺麗な方と お楽しみを…、それじゃ、わたくし…」 と、立ち去りかける。 御前様「 バカ!娘だ」 寅「 へえ???」 とカバンを落としかける。 冬子、下を向いてちょっと笑う。 御前様「 ほら、忘れたのか?おまえが 出目金 と あだ名をつけてよくいじめとった冬子だ。 」 寅「 はああ!出目金!」 御前様「 おまえ、覚えとるだろ?」 冬子 「 ええ 」 と立ち上がり、 にっこり微笑んで 冬子 「 覚えてるわ。 寅ちゃんでしょ。 ちっとも変わらない、おんなじ顔 」 寅、なんともいえない、懐かしくいとおしい顔で 冬子を見つめる。 そして頷く。 冬子「 フフフ」 東大寺 大仏殿 冬子のナレーション 冬子『寅ちゃんは連れの外人をほっぽらかして、1日、 私たちに付き合ってくださいました。 向こうに東大寺 中門が見える。 寅「 お嬢さ〜〜ん!」 と大仏殿から走ってくる。 寅、ピンクのビニール鹿を冬子の首に乗せてからかう。 寅「 ハイ、おんぶおんぶ!」 冬子「 いやあ、やめて」 寅「 おんぶして、おんぶして、おんぶして! おんぶして!ヘイヘイヘイ…」 とビニール鹿を持ちながら走って追いかける。 寅っておこちゃま??(^^;) 寅、「 お嬢さん!」 寅、ビニール鹿、の頭動かして 寅「 こんちは、こんちは」 寅「 お嬢さん、こんちはこんちは」 冬子「 寅ちゃんたら、フフフ!」 寅「 おせんべえちょうだい!おせんべえちょうだい!」 後には全ての女優さんが熱望したと言われる「男はつらいよ」の マドンナ役もこの第1作は テ キヤのマドンナ役 ということでどの女優さんも尻込みしてなかなか 出演を引き受けてくれなかったそうである。 光本幸子さん 新派)は快諾してくださり、 結果的にはこの作品はヒットしたので彼女にとっても大いに プラスになったと思われる。 光本さんは第7作、第46作でも 出演し、マドンナとしてはリリーについで多くスクリーンに映った。 ただ、この冬子さん、悪気は無いし上品なのだが、 寅の心をちょっと分からない人だった。 それともうすうす分かてても、自分も寂しいので つい甘えたのだろうか…。 マドンナがこのように寅のことを幼馴染だとか、 友人だとしか思えないところが、初期の作品の特徴。 第6作あたりまではもう完全に相手にされていない。 特に第3作当たりは悲惨(TT) しかし、これはこれで、あたりまえだし、寅の悲哀が効果的に 出ていてなるほどこれでいいとも思う。 思いっきりがいいのだ。 この東大寺大仏殿の場面からなぜか 「 ピンクのビニール鹿 」 が 出てくるのだがこれも気になってしょうがない。 そのごずっとあの大きな鹿を寅も冬子も捨てる気配がない。 アレが気に入っていたとしか思えない。 記念撮影 蓬莱橋 浮身堂 奈良公園・鷺池に浮かぶ檜皮葺き ひわだぶき 、 八角堂形式 六角形 のお堂。 現在の浮見堂は、 平成3年から平成6年にかけて3年間の修復工事によって、 その美しさを今によみがえらせた。 寅「 さあ写しますよ、はい、にっこり笑って」 寅「 ハイ、ハイ」 御前様、帽子を取って 寅「 ねえ、御前様、にっこりわらってくださいよ。 まだ、御前様笑ったとこ、一枚も撮っちゃいねえんだから」 冬子「 そうよ、お父様、笑う筋肉がどうかしちゃってるのよ。 笑ってごらんなさい」 御前様「 うるさいなあ、写す瞬間に笑うから、はやく撮れ!」 寅「 ほんとですか、ハイ、ハイ、じゃあ笑って!ハイ笑って」 御前様「 ブァ ッ ッ タァァー〜〜〜〜!!!」 冬子「 ????」 ブ… ァッタアアアア〜〜〜〜〜!! 寅「 ハイ???なんですか?」 御前様 「 なんでもいいから早く撮れ 」 冬子「 ククク、フフフ…」 御前様「 バッタアア〜〜〜〜〜!」 冬子「 フフフフフ!アハハハ!!!」と笑いまくる。 バ… ッタアアァ〜〜〜 受けまくる冬子 寅「 お嬢さん、どうしたんですか?え?」 冬子「 チーズよ!」 寅「 え?」 冬子「 ねえ、チーズの間違いでしょう、ハハハ!」 寅「 はあ、チーズがどうかしたんですか?」と笑っている。 御前様「 つべこべ言わずにはやく撮れ」 寅「 ハイハイ、ハイ、ハ〜イ笑ってえ」 御前様「 バッ ッ …タアアアァ…」 懲りないねえ(^^;) 冬子「 フハハハハハ!!イヤ、イヤ! イヤイヤ!ハハハハハ!」 と笑いが止まらない。 これは歴史的名シーンである。 御前様の記念撮影ギャグ「3連発バター」 ちなみに御前様のあの 「バター3連発」の場面は 3回目の弱気な「バ ッ タ.ァァァー…」 が最大の狙い! この3回目が最高! またピンクのビニール鹿 しっかりど真ん中 に置かれていた。 あんなもの普通は小さな子供のおもちゃなんだけどなぜか 最後は 題経寺の冬子の部屋にまで 持ってきてしまっていた! なぜだ?なぜそんなに気に入るのか? たぶん当時は大人もああいうものを面白おかしく 持っていたのかもしれない。 さくらの結婚式の場面でも寅がこの「バター」ギャグを 性懲りもなく飛ばす! その後も第9作「柴又慕情」 など、 あまりにもしょっちゅう出てくるおなじみギャグだ。 あの 歌子ちゃんなんかも越前海岸で みんなといっしょに「バター」って言っていた。 奈良ホテル 奈良で冬子たちが泊まるホテルは 奈良ホテル! さすが御前様。 あそこはなかなか渋い伝統の重みを感じられるホテルだ。 正面はしっとりと落ち着きのある中にも豪華な趣がある 桃山御殿風 タクシーが着く。 ボーイ「おかえりなさいませ」 3人が降りて。 寅「 へ、どうも、ご親切に…ありがとござんした」 冬子に例のピンクのビニール鹿を渡して 冬子に向かって 寅「 さくらのやつをよろしくお願いいたします」 冬子「 そう?…残念だわ.。。 」 寅「 へえ…、それじゃ、ごめんなすって」 寅「 へえ」 御前様「 うん」 寅、ふと振り向くと 冬子が見ている。 冬子「 ねえ、寅ちゃん、私たち明日の9時までここにいますから、 気が変わったらお電話ちょうだいね」 寅、嬉しさを隠して、 寅「 へい」 寅「 それじゃ、どうもありがとうございました」 とお辞儀をして出て行く。 冬子のナレーション 『というわけで寅ちゃんとお別れして、私たちは 明日の朝、紀州に行き、あさってひょっとしたら このハガキより先に帰るかもしれません』 創業90余年の歴史と伝統を誇る奈良ホテルは、若草山、東大寺大仏殿、 興福寺五重の塔などが一望でき、約一万坪の大庭園は、 文化財指定の旧大乗院庭園に連なっている。 瓦屋根の本館は桃山御殿風総桧造り。 和と洋を調和させた内装は、宮殿の香りをただよわす。 さくら「 それでは、お会いする日を楽しみに。 」 読んでいる。 おいちゃん「 はあ…、奈良あたりでなにやって やがったのかねあいつは〜」 おばちゃん「 大島紬かなんか売り歩いてんじゃないのかい、 きっとそうだよ、 贋モン のさ」 おいちゃん「 バカだね、ほんとにバカだねあいつは あ 〜」 決め付けてる(^^;) おいちゃん「 ここへ帰ってきて店でも手伝えばいいのに。 なあ、なあさくら」 4 8作中唯一、ここで さくらが草団子を食べている場面が映る。 さくら「 でも、お兄ちゃんには真面目な暮らしは無理なのかも 知れないわね…」 さすがさくら見切っているね(^^) さくら「 自分でも分かってんのよ、きっと…」 さくら団子食べた!これまた珍しいカット! おいちゃん、タバコをふかしながら おいちゃん「 ふー…」と大きくため息 ここからは『さくらの恋』も同時進行 博。 店先に来る。 博「 ごめんください」 さくら、博を見て、表情が華やぎ さくら「 はい」 博「 あのー、団子を200円ください」 ちょっと嬉しそうな顔して さくら、「 はい」 博、おいちゃんたちにお辞儀。 清掃車の音楽 おいちゃんたち、微笑ましく見ている。 さくら「 私持っていってあげるわ」 博「 あ、そうですか…、どうも」 おいちゃん「 博さん、裏からお帰りよ、 なにも遠回りしていくこたあ、ねえやな。 」 博「 そうですか、すいません 」 お辞儀をして、裏へ抜けていく。 博、庭に出る時焦って、こけそうになり、 庭にいる工員とぶつかる。 人生の達人だ。 そして、さくらはどうしてお見合いをしてしまったんだろう。 博に対しての気持ちを自分でも分かっていないのか? おばちゃん、人生の達人だねえ! おいちゃん「 そーっとかあ、寅がいたら すぐ壊れるとこだなあ」 もう完全に、短い間に寅のことを完全に 把握したおいちゃんでした。 (^^;) と、庭のほうを見る。 おいちゃん、店先を見て、驚く。 おいちゃん「 お!」 冬子立って、微笑んでいる。 おいちゃん「 おじょうさん〜、」 冬子「 ただいま」 冬子「 しばらくでした」 おいちゃん「 どうもどうも」 おばちゃん「 お帰りなさいまし」 冬子、おばちゃんの顔見て喜ぶ。 おばちゃん「 まあまあすっかりお元気そうになって」 冬子「 フフ」 おばちゃん「 今、噂していたとこなんですよ」 おばちゃん「 さあ、どうぞどうぞ」 と、イスに座らせる。 おいちゃん「 今日、お葉書きいただきましてね」 冬子「 あ、そう!」 冬子「 まあ、おじさんもおばさんもお変わりなく」 おいちゃん「 ありがとうございます」 おいちゃん「 あの、御前様は?」 冬子「 疲れてるから失礼します。 よろしくって」 おいちゃん「 そうでございますか、わざわざ、おい、お茶もってこいよ」 おいちゃん「 お疲れになったでしょう、へえー、で、なんですか、 むこうで、寅のヤツにお会いになったそうで」 冬子「 もう、ほんとに偶然、」 おいちゃん「 そうですかあ、一月前にスッと家を出たっきりね、 それっきり音沙汰がねえんですよ、気にはしてたんですけどね、 で、えー、なんですあのバカ野郎元気でやってましたか?」 とマッチでタバコに火を点ける。 スススと寅が土産物持ってやってくる。 おいちゃんたち「 ……!」 寅「 お嬢さん!どうも、あの、御前様と荷物は 無事送り届けときやした。 御前様、やっぱり、寄る年波ですねえ、 背中が痛てえ、だとか、足が ガタガタするって、面倒くせえのなんのって、ヘヘヘ」 おいちゃん、おばちゃんポケーっと寅を見ている。 寅「 あ!おいちゃん、おばちゃん元気かい? あ!そうかそりゃあよかった!」 おいちゃんたちなんにも言ってませんで(^^;) 寅「 お嬢さんからあらまし、話は聞いたんだろけどね、 そういうわけで、2,3日ここでご厄介になるからね、 おいちゃん開いた口がふさがらなくて マッチの火ずーっと着けたまま…。 ヘヘヘ」 庭から、ギター演奏『 スイカの名産地 』が聞こえてくる。 雰囲気があっていい。 木にもたれかかっている博 もなかなかだ。 みんなと楽しそうにしているシーンに出くわす。 この歌は結婚式の披露宴でも工員たちが 下手糞に歌う。 第4作でも歌われる。 寅「 おう、おめえたちのことが気がかり だったからさ、なんとなくお嬢さんの後をお供してな」 さくら「 やっぱり一緒にきちゃったの!?」 寅「 うん」 さくら「 そう!冬子さんは?」 寅「 いるよ」 さくら「 お店に!?」 寅「 うん」 さくら「 まあ〜冬子さん」 工員A「 おかえりなさいっ!」 工員B「 よかったですねえ」 工員C「 さくらさん心配してましたよ」 寅「 …!!さくらさん???気安いぞこの野郎!! なんだ人の家にずうずうしく入りやがってよお! 断っておくけどな!ウチのさくら引っ掛けよう ったってそうは問屋がおろさねえぞ! あいつは大学出のサラリーマンと結婚させるんだい 手前らみたいなナッパ服職工には高嶺の花だい! 分かったか!わかったらこのへんウロウロウロウロ するなよ!嫁入り前の娘がいるんだから、帰れよッ!!! 」 博「 !…!!!! 」 寅「 ナ二見てんだてめえは」 店から冬子の声 冬子「 寅ちゃーん」 寅「 はいッ」 冬子「 私帰ります」 寅「 あ、お帰りですか」 登、とらやに帰ってきて 登「 兄貴!」 寅「 帰りますか?てめえ生きてたか」 それじゃ登が可哀想(TT 寅「 お嬢さん、土産ですよ!」 と、寅、飛び出していく。 と、おいちゃんたちへのお土産を持っていってしまう寅 おいちゃん「 おいっ!それはそれは、おいっ! バカだねえ本当にバカだよ、ありゃあ」 帝釈天参道 寅「 おい、えびす屋しっかり稼げよ、フフッ、 よっどうしたい?相変わらずバカか?へへっ 」 共栄印刷の2階(後の朝日印刷) 工員たちがくすぶって怒っている。 工員「 チクショウ!!なんだよあんなヤクザ!」 と言って金属バットを振る。 上のヤツにあたる。 工員「 痛えなア!」 工員「 チクショー!」 窓に映画女優 Sarita Montiel (サリタ・モンティール)の ポスターが貼ってある。 えらいことになっちゃったア〜!!!!」 社長「 おい、みんな、喧嘩やめな!喧嘩しちゃいかんよ! みんな!喧嘩するな!喧嘩しちゃいかんよッ! ウワァ〜!だれか助けてくれッ」 と言いながら、ネットにかかってしまう。 博「 …兄さん!それじゃ聴きますが、」 寅「 なんだい」 博「 あんた女の人にほれたことがありますか」 寅「 …?」 博「 どうなんですか?一度もありませんか? ええっ?兄さんも男なら、一度ぐらいは心の そこから女の人を愛したことがあるはずだ! あるでしょう!」 寅「 …??…!!あれえェ?この野郎! てめえさくらに惚れてやがんな? 寅「 このやろう、女とか、愛だとか、 ハチの頭 だとか アリのキンタマ だとか ゴタク並べやがって…おいッ!てめえようするにさくらのこと 女房にもらいてえんだろ! 」 博「 いやあ、何もそこまでは」 寅「 じゃあ、てめえ惚れてねえって言うのか?」 博「 いやあ、ほれてます」 寅「 じゃあどうなんだよ!ええっ? はっきりしろよっ!お前」 博「 ですからその親兄弟も居ないも同然だし、 大学も出ていないから…」 寅「 …ペン!おい、こら、青年、お前大学は出ないと 嫁はもらえないってのか?ああ、 そうかい手前はそういう主義か」 おいおい、昨日からさっきまで 寅が工員たちに言ってたことだよヾ - -; 博「 ですから僕は兄さんにですね」 寅「 おい、 兄さん兄さんて 気安いよ このやろう。 まあいいよ、え? 勝手にやったらいいんだい民主主義の世の中だ 交際だろうと キッス だろうと ペッチング だろうと お好きなようにしなさいよ」 寅にしては、なかなか大胆な発言だ。 こういうダイレクトな性的表現を寅がしたのは 跡にも先にもこの時のみ。 博「 …はい」 寅「 はいってやるのお前?ほーたいしたもんだよ! その面で女口説けんのか?言っとくがな、 さくらはそうとう気の強い 女だぞ!お前自信あんのか?」 博「 いいえ、ありません」 寅「 『いいえ、アリマセン』…すっぱらかったら イイってもんじゃねえや、 ったくなさけない野郎だなァ〜オレが ちょっと教えてやろうか、え?」 いいえ、アリマセン 博「 お願いします兄さん」 寅「 兄さんはまだ早いッて言ってる…バカヤロウ!」 テーブルの足が折れて ステン!とこける。 博、笑う。 寅「 笑うこったねえだろう」 飲み屋 寅「 要するに女をつかむのは目だよ!ね?それだって 最初からじーっと見てたらダメだよのっけから 色キチがいだと思われちゃうから だからね…何ていうのかなこう…ちらっと流すんだよねっ?」 店員「 ワンビーヤ」 寅「 すっと流すんだよそうすっとこうやってってる おんなのほっぺたにも電波がビビビビビ…っとかんじるんだよ そうすっと女もフッと見るじゃない。 見られたなーと 思おもったら?目をスッとふせるんだよ。 変態だよそれじゃヾ ーー ォィ ジィ〜〜〜〜〜〜 寅「 言ったろ」 博「 なにをです?」 寅「 なにをですってバカヤロウ! アイラブユー だよっ!」 客一同「 アハハハ・・・」 向こうに座っている男は、 後に付き人になる篠原靖治さんそっくりだ。 彼はなんと、さくらたちの結婚式の控え室にもいたので 彼らの友人か親族なのかもしれない。 水元公園 舟遊びをしている寅と冬子。 博に言った言葉を自分でも試してみる寅。 寅、冬子に例の目線電波をパチパチ飛ばしまくり。 寅「 ハハハ!着いてやんの、あははは」 冬子「 ははは」 寅「 どうも突っかかってるような気がした、 ちょっと回しやす。 」 冬子「 ああ、や寅ちゃん」 寅「 あーっとお嬢さん動いちゃいけない」 冬子「 あーっ」 寅「 アハハハ」 冬子「 いやははは」 源 ちゃん、彼らの姿を木陰からそっと見て蒼ざめている。 寅が自分の憧れる冬子と仲良くしていることで、気持ちが 不安定になってしまっている。 この源ちゃんのナイーブでシリアスなキャラは第1作のみ。 第2作からは徐々に後の源ちゃんに近づき、第5作からは ほぼ、キャラが一定になる。 このような源ちゃんの表情はこの作品のみ オリエンタル電機に出向く寅 本社の窓から見える (サントリー純生の看板) 今度は寅の背広がグレー。 結構いろいろ持ってるんだなと思う。 なんでもねえなんでもねえ」 なんでもあるよ。 勝手に決め付けてるよ。 博が可哀想だ。 これはやばい。 さくら、せっかく博の名前がハッキリ出たんだから、もう少ししっかり 寅に食い下がれよ。 それとも自分の中でもまだ気持ちが確定して いないのかな??「博どう思う?」って意味なんだから、 もし好きだと自覚してるんだったら、もう少し敏感に反応しても いいかなって思う。 まあ、結局博が隣に住んでいるのに見合いして しまうくらいの 微妙な意識 だったんだろうね。 ハッキリした自覚があれば お見合いはしなかったはず。 もしあの時おいちゃんがお見合いに出席して お見合いが上手くいってしまったらさくらはどうしたんだろう。 それでも紆余曲折の後に博と結婚したとは思うが、とにかく女心は 微妙かな…、とも思う。 さくら「 あ」 寅「 あ、そうだここの便所ってやつはよ、 西洋式か、こう上げ蓋の」 さくら「 は、そうよ、どうして?」 寅「 いや、なんでもねえなんでもねえ、 社長には会わないでいくけどよろしくな、 うん、ねえちゃん、邪魔したぜ」 寅って西洋式トイレできないんだよね。 彼は後にさくらの結婚式にも出席!しかし待合室にいただけで、 後の披露宴にはいなかった…。 アリャあきらめな 脈ねえから」 どこからそういう結果になるのか?? 博「 ちゃんと言ってくれたんでしょうなねえ」 言ってない言ってない ヾ(^^;) 寅「 当たり前よお前、口下手のお前じゃ とても言えないくらい上手くいったつもりだけどね」 寅はなぜそんな嘘をつく??どうせ無理だろうという 固定観念が強いんだろうね。 短絡的というか…。 博「 そうですか…」 博、騙されるな! 寅「 しょぼくれた面すんなよおい、 えー?お、一杯のみに行こうよ」 博「 寅次郎さん」 寅次郎さんって言った…(^^;) 寅「 ほらきた!お前すぐ改まるから いやなんだい、なんだよ〜」 寅「 あんた、女の人に惚れたことが…」 寅「 分かる分かる、おめえの気持ちはよく分かる。 寅「 …おい、おい!」 とらや おいちゃん「 そお、アハハハ」と歓談している。 このあたりで5月のカレンダーが見える。 これらの騒動は5月に起こっていることがこれによってわかる。 博、さくらの前に走ってやってくる。 シリアスな顔で立つ。 さくら「 …どうしたの博さん? 思いつめた真剣な目 博「 僕の部屋からさくらさんの部屋の窓が見えるんだ。 朝…、目を覚まして見ているとね、 あなたがカーテンを開けてあくびをしたり、 布団を片付けたり…。 日曜日なんか楽しそうに歌を歌ったり。 冬の夜、本を読みながら泣いてたり、 …あの…工場に来てから 3年間、毎朝あなたに会えるのが楽しみで、 考えてみれば それだけが楽しみでこの3年間を…。 さくら「 …… 」 さくら「 …… 」 この時の前田吟さんの表情はいい。 第8作「恋歌」の母親の葬式の時も渾身の名演技だった。 「 僕は出て行きますけど、 さくらさん幸せになってください」 さくら「 … !! 」 博「 さよなら 」 博、走っていく。 寅、やって来て 寅「 おお、博よ、なんだい? 」 寅「 一体なんかあったのかい? 博のヤツ何か言ったの?」 さくら「 お兄ちゃん、なんか工場であったの?」 博「 別になんてこたありゃしねえよ、 あいつなんて言ってたんだ?」 おばちゃん「 出て行くっていっちまったよ」 寅「 え?」 さくら「 ちょとお兄ちゃん」 社長「 おいっ!寅さんお前うちの博に 何をしたんだい?えっ?」 寅「 だこのヤロウゆでだこみたいな面しやがって」 社長「 冗談じゃないよ!あいつはね、 やぶからぼうに工場やめるっつうんだよ!」 おいちゃん「 ええ?」 社長「 そうなんですよ」 社長「 あいつがいないとね、うちの工場お手上げなんだよ」 寅「 いいじゃないかいいじゃないか、 それもいいだろう、えー いい若けえもんがお前あんなこぎたねえところで あくせく働くこたねえよよく決心したと 寅が言ってたとそう伝えてくれ」 この発言は集中力のないダレた発言だ。 ちょっと前に20年ぶりの帰郷した時の あの律儀さと優しさはどこへ行ってしまったんだ? いきなり性格破綻が露出しすぎ(^^;) 社長「 なんだと!?」 さくら「 お兄ちゃん!」 寅「 ううん?」 さくら「 「はっきり言って」 寅「 うん?」 さくら「 なにやったの?なにを言ったの博さんに」 寅「 なんてこと言いやしないよ、たださくらのことは あきらめろって言ったんだよ、嫌いなんだろだって」 さくら「 ん!?」 寅「 あ?」 さくら「 じゃあ…今日会社に来たの…」 寅「 そうだよ、そうだってお前返事つれなかったじゃねえか」 それ以前に、まともに質問してないぞ寅(^^;) さくら「 そぉんな… 」 さくら、あまりにもずさんな寅の態度に頭真っ白。 そしてこの瞬間、はっきりと博のことを 自分は好きなのだと自覚が芽生えたのだろう。 博がさくらに告白したあと工場を出て行くこのシーンは、 脚本第1稿によると、 出て行こうとする博にすがってタコ社長が 「 小倉梅太郎 、 一生のお願いだ」と泣きつくそうだ。 第6作でのあの発言「堤梅太郎、一生のお願いだ」の前に 小倉姓があったことになる。 もうすでに電車は来ていた。 柴又駅 プラットホーム さくら「 博さん!! 」 第1作のテーマ曲が大きく流れ始める。 さくらの声に振り向く博 さくら、改札を鎖を取って開け、走って来る 呆然とさくらを見つめる博 (入口、出口の看板下に アートコーヒー の宣伝) さくら、 改札の鎖を勝手にはずして ホームに駆け上がるが 改札の駅員は見てみぬふり (偉いぞ!駅員さん!) 運命の「押上 3261番列車」 博の目の前に立って博を見つめるさくら。 走ってきたので息がまだ荒い。 信じられない顔でさくらを見つめる博 さくらは、何も言わず、微笑んで博を見つめる。 この表情から、大きな歴史の幕が開けられたのだ。 全てはさくらのこの微笑みから始まった。 この長いシリーズの中で最もさくらの重要かつ 鮮やかな表情がこのシーンこの表情である。 倍賞千恵子さん一世一代の歴史的な微笑みだ。 さくらは自分が博を好きだったことを 正にこの時確信したのだ。 博の早とちりにちょっとすねる表情のさくら。 この微妙な表情にさくらのメッセージが込められてもいる。 『バカね…』というニュアンス ピーッ!! と笛が鳴りドアが閉まる合図 驚き、あせるさくら 困りながら、博と自分が電車に乗る事を一瞬で選択 さくら「 ねぇ」 博「 う…」 さくらは止める間も無いので ふたりで思わず電車に乗る。 なぜここで二人は電車に乗ってしまったのだろう。 あきらかにさくらが乗る事を勧めている。 おそらく、博が電車に乗ろうとしていた意思をとりあえず 尊重したのかもしれない。 それだけお互いの気持ちを 確かめる間もない、ということなのだろう。 つまりあの電車に二人が乗った時点では、さくらは 博の告白に応える態度を明確にとっていない。 おそらく、あの電車の中で、そのことを初めて伝えたのかもしれない。 ともあれ、さくらの優しさと果敢さが光る躍動的な場面である。 乗らなくてもいい電車につい思わず乗ってしまった さくらと博に理屈では割り切れない 青春の輝きと反射神経を垣間見た。 この場面は映画史上に残る名シーンだ…。 もし、…もしこの時さくらが博に追いつけなかったら さくらは一生後悔し、兄の寅を恨むことになったかも しれない。 そうなるともちろん満男も生まれなかったし、 泉ちゃんとの結婚もなかった。 そう思うとなんだか感無量になるのだ。 さくらの足は結構速いと見た。 乗車したことは発車後の映像で確認できる。 電車の最後部の窓からさくらと博が電車の中で 話し合っているのが見える。 ちなみに、この電車はホームに入ってきた時は片開き、 博がさくらに気づいた時は両開き、 最後にドアが開いた時はまたまた片開き、 と自由自在にドアが変わっていた((((^^;) このシリーズでは実によくあるマジック。 第18作、第25作、第38作等の当該箇所参照 一方とらやでは 口喧嘩 寅「 おばちゃん、だけどね俺はさくらのためを 思って言ったんだからな!」 おばちゃん「 だったら余計なことしなけりゃいいんだよ!」 寅「 あれ?余計なこととはなんだい!」 おばちゃん「 そうだよ!あんたが余計なこと言わなきゃね、 あの二人はちゃんと上手くいってんだい!」 寅「 バカヤロウ!笑わせんない!なにに言ってやんだい、 女の手ひとつ握れねえようなデクの坊に 何上手いこと出来るんだい!」 社長「 博のどこがデクの坊なんだよあいつはね、 俺の工場の主任技師なんだよ!あいつがいなきゃね これから俺の工場はどうなるかわからないんだよ」 寅「 ハハー潰れりゃちょうど日当たりがよくなっていいや」 社長「 もういっぺん言ってみろ!」 寅「 いっぺんでわかんねえのか!潰れたら日当たりが よくなっていいって言ってんだよ、この湯でダコ!」 社長「 ッツ!この野郎手前なんかにな、 中小企業の経営者の苦労がわかって たまるかってっつうんだよ!」 このあと何度繰り返されるか分からないこの タコ社長の発言はこの時始まった。 登「 兄貴!」 寅「 うるせえなあ!この野郎!」 おばちゃん「 出てっておくれ!」 寅「 出てゆけ?」 おばちゃんが出て行けと言うのがこの第1作。 今後はおいちゃんが「出て行ってくれ!」とまず言う。 おいちゃん「 そうだそれが一番だ!もともとがおめえが 帰ってこなかったらこんなことにはならなかったんだ」 寅「 言ったな!?」 登「 兄貴!」 寅「 そうか!お、お、俺に出てけって言うのかよ! おいちゃんの口からそれが出ちゃおしまいだよ! よーしどうせ俺は邪魔者なんだい 俺は一生この家に帰ってこねえからな!」 登「 兄貴」 寅「 うるうせえ!」 と、登を押し倒す。 登「 ぎゃ」 寅「 おいちゃんにそれ言われるとは思わなかったよっ!」 そこへさくらが高揚した顔で戻って来る。 さくら「 ただいま」 寅の前に座り、寅を見つめる。 お兄ちゃん、 私博さんと結婚する。 寅、少し驚いて、はっとする、 決めちゃったの。 工員「 社長!博さんが帰ってきました!」 社長 「 ホントか!おい!」 と、社長工場に吹っ飛んでいく。 いいでしょう、 ねえ、お兄ちゃんいいでしょう。 静かにうなずく寅 でもふっと…、 兄としての寂しさも感じ、 熱いものがこみ上げてくる寅 そして、背中を向けてしまうのだった。 おばちゃん、おいちゃんの方を見て喜ぶ さくら「 いろいろありがとう」 うなずく寅 さくら、おばちゃんの方を向く。 おばちゃん「 おめでとう 」 とさくらに言う。 寅、また頷く(^^;) おばちゃん泣いてしまう。 倍賞さんは48作中このシーンが最も きらきら輝いていて美しい。 そしてあの時の渥美さんも このシリーズで最も美しい目をしていた。 48作中でも名場面ベスト3に入るくらい好きなシーンだ。 店のほうで店員さんもその様子を見ている。 それにしてもさくらは、博の告白からたった1時間で結婚を決めてしまった。 それくらい博を好きなのであればしつこいようだがなぜ見合いなんか したのだろう。 女心は分からないと言うが本当に摩訶不思議だ。 さくらと博があの京成電車の中と帰り道で何を話したか…。 実はこれは第1作の最大のメイン! この幻のシーンの話題は第1作の核心部分であり、 奥の奥(^^) 山田監督はそれをあえて描かないことによって 見事に映画にテンポを与えた。 二人は人気のない夜の参道を歩く。 柴又参道 夜 さくら足を止めて さくら「私、今決めたわ」 博「え?」 さくら「私、博さんのお嫁さんになる」 博「…」 さくら「いいでしょ?」 博「あ…」 さくら「ね」 博「…」 ちなみに、さくらが寅に「お兄ちゃんいいでしょう?」と言ったあの場面。 寅は戸惑いながらもさくらを見つめ、頷くのだが、 あのシーン山田監督は渥美さんの演技が 気に入らなくて、何度も何度も撮り直しをしたらしい。 それでようやくOKを出したのだが、 やはり山田監督にして見れば本当はそれも納得がいかなかったらしい。 編集で何とかしようとしたのだが、やはりこれではダメだと決意し、 それで思い切って、あらためてスタッフキャストにお願いし、 なんと二十日後に!もう一度茶の間と仏間のセットを作り直し、 あのさくらのセリフと寅の戸惑いと内なる喜びの表情を撮り直したそうだ。 さくらが「いいでしょう?ね、お兄ちゃんいいでしょう?」のあとに 極力余計な表情の芝居をしないで、戸惑いながらも2秒間さくらを見てほしいと ひたすら演出し続けた山田監督の感覚がようやく実ったのだった。 ここが正念場だったのだ。 さくらの結婚式 柴又 川甚 そしてタコ社長 夫妻を仲人に、 川甚(川魚料理で有名な料亭)で結婚式を開くことになる。 ちなみになぜか おいちゃんは欠席。 これは、森川さんの都合が悪くなってからその部分だけ急遽変更し、設定上だけ出席した事に しているのかもしれない。 こういう不自然さは、今回の事に限らず、初期の作品の随所に見られる。 このころ の制作はこういう穴のような部分がどうしょうもなく存在したのだ。 よく言うとおおらかだった とも言えなくもない。 タコ社長バイクで川甚に突進してくる(^^;) 社長「 ひええええ…」 社長の奥さん「 あんたどうしてたんだよ, バカだねえみんな待ってるんだよッ!」 出ました 水木涼子さん !タコ社長の奥さん役としては 第1作、第2作、第6作、第13作(夢で寅の仲人)、第33作、 で登場。 ドタバタ 社長「 わかってんだよ」 奥さん「 なにしてるんだよ!」 社長「 わかってる!」 関係者の工員たち「 ヒーハー」 来賓の待合室。 社長「 はーはーあー、どうもしゅいません」 おばちゃん「 どこ行ってたんだよ!」 社長「 しかし、いや、今日がね手形の期限なのね、 ころっと忘れちゃって、いや申し訳ない」 おばちゃん「 みんな大騒ぎして探してたんですよ!はかま!」 おばちゃんと奥さん後ろと前ではかまをテキパキはかせる。 この時の三崎さんと水木さんの動きが実に上手い。 それと同時にいきり立って入ってくる寅。 その後ろからニコニコ笑って挨拶し始める博。 なかなかの人間模様である。 仲居「 あのー媒酌人様お見えでしょうか」 社長「 はい、はいっ!!、来ました」 寅「 おいっ!!手前どこに雲隠れしてやったんだ全く! てめえどこまで世話やかせやがんだい! てめえなにかこの式めちゃめちゃにしようってのか!」 司会者「 始まりますよ!始まりますよ!!!」 博、それとは別にニコニコ笑って冬子さんに挨拶。 寅「 ばか!てめえ何やってんだこんなところで博!」 と、パコっと頭を扇子で叩く。 寅「 早く行こう早く!」 仲居「 ああ!ちょっとその前に」 寅「 なんだいなんだい」 仲居「 あのー媒酌人様より、 ご両家ご親族様をご紹介くださいませ」 社長「 はい!?」 寅「 よよよ、ちょっと待ってくれ姐さん、ご両家ご親族?」 仲居「 はい」 寅「 そりゃあなにかの間違いじゃねえか、 この野郎のオヤジってのはね北海道の 山奥で百姓やってるんだよ。 これがチャンチャンバラバラの大喧嘩やらして、 そのオヤジとはぷっつり縁切らしてこっち やってきたんだから、今更そのオヤジがこんなところに ノコノコ出てくるわけねえよなっ!そりゃなにかの 間違いだよ、うんいこういこう」 冬子「 寅ちゃん」 寅「 え?」 冬子「 とにかく一度お目にかかった上で」 社長「 あ、そうですね、へえ」 寅「 そうか」 仲居「 ではどうぞ」 カーテンを開ける。 寅「 おい、姐さん、ちょいちょいちょいちょい人間違いだよ、 どうもだんな、とんだところをお見せしちゃって、へっ」 博「 お父さん…」 父親「 博の父親でございます」 母親「 母親でございます」 結婚式の前に博の父親と母親が来ていることを 博も含めみんな初めて知る。 誰も知らないなんてありあないぞ、そんなこと(^^;) だいたい誰が案内のハガキ出したんだよ。 ( たぶん日本中で読める人はほとんどいない…) インド古代哲学研究 第8作)なんだけれどもなぜか 農学部 !? 神主「 こたび諏訪…一郎三男博、 車平造長女櫻 妹背の契りを… 」 神主さんも社長も、司会者も普通は読み方わかんない場合 絶対に事前に本人に聞くよ。 こういうギャグは、ちょっと無理があるなあ…(^^;) でもそれも面白いんだよなあ〜。 結婚式後の記念写真 寅「 よよよ」 社長「 うん?」 寅「 いやいやながら来てるって面だな、あの面は、 チキショウ!何が大学の先生だ」 社長「 インチキ じゃねえか?」 寅「 そうだ」 最初で最後の倍賞さんの花嫁姿 さくらの会社のあの部長さんも出席。 写真屋「いいですかあ」 写真屋寅の顔をカクンと直す。 写真屋「はい、写しますよ」 にこやかに〜 写真屋「 ハイ!」 寅「 バタ〜〜〜!」 またもや出ましたバター、とほほ… さくら、博、社長、おばちゃん、は笑う。 御前様たちは不思議がる。 御前様と冬子さんは奈良で体験済みの はずなのになあ…。 このあたりも無理がある。 披露宴の前 博、納得がいかなくてぐずる。 博「 俺がグレテ高校退校した時、もう一生お前の 顔なんか見たくない、 オレが死んだと思って一人で生きていけ、 ってそう言ったんだ。 オヤジはそういうヤツなんだ。 今更オヤジ面して欲しくなんかないさ」 さくら「 だって、とにかく、わざわざ 北海道からみえたんでしょう?」 博「 息子の結婚に出ないのは 世間体が悪いからだけさ」 博のこの発言から考えて、一応は案内の ハガキだけは出したようだ。 しかし誰が出したんだ?? さくら「 そんなこと言ったって…ねえ、お兄ちゃん」 社長「 あの〜、そろそろ、始まるんですがね、寅さん、え」 社長、それは寅じゃなくて、博に言わないと。 博がゴネてるんだからね。 寅「 よし、わかった。 おめえのオヤジがよ、礼儀知らずだってことは オレははなから分かってたんでい!まあ、いいや。 今度はオレに任せとけ!ちゃんと締めくくりつけてやる。 」 ドアが開いて、披露宴開始 ウエディングの音楽 司会者「 えー、みなさん、どうぞ、どうぞ」 寅「 おい、泣きっ面すんな、はやくいけよ」 と、博の羽織を調えてやる寅。 寅「 ちゃんと胸張っていけ!ホラ、」 と会場に押し出す。 司会者「 皆さん拍手で…」 寅「 どうも、お待たせしやした」 新郎新婦紹介 社長「 え〜新郎おー、博君は、あー、諏訪あーィイ…一郎ォの 三男としてえー北海道石狩郡ンー尻ィイー」 社長、前もって博に読み方聞いておけよな…。 お父さんの郷里は岡山の高梁市なんだけど、 博は北海道なんだね。 第8作では小樽の小学校に 通っていたのでお父さんの大学は小樽にあるのかもしれない。 寅「 チッ!」 社長「 お、真にどうも不行き届きな仲人で 申し訳ありません、え…博君はあー」 寅「 何ブツブツ下らねえ事言ってやんだいタコ! チッ…ばかっ」 社長「 三年前私どもの工場に参りまして、えー 困難な中小企業の一翼をになって 祖国日本のおー、経済復興のォ、…」 おおげさ(^^;) 寅、チラチラと博の両親を見て嫌がっている。 工員のスピーチ 工員「 あのぉ、博さんとさくらさんが喧嘩をして…、 あ、すいません、間違えました」 工員たち「 しっかりやれ!オラオラ」 工員「 仲良くなられたのは、博さんと さくらさんのお兄様が物凄い喧嘩して、」 寅「 バカヤロウ!オレそんなことするかい、 何言ってやがんだい!」 さくら、博を見る。 博、父親のことを思い、ブスッとして下を向いている。 1回目のお色直しをしたさくらでした(^^) 工員「 いや…、最初に、あの…、 おまえたちナッパ服みたいな職工に さくらを嫁にやれるかあ!なんて…」 寅「 何言ってんだバカヤロウ!!ヘヘへ!」 司会者「 マママ、ママ」 工員「 そう言うこと言ってたよ〜」 工員「 ひどいこといいましたよ」 工員「 …そうだよ!君らが貧しいよ…なんて」 この直後じっと黙って聞いている博の両親が映るが、 この映像時に背後で流れている 寅たちの会話が全くその直前と同じでダブっている。 繰り返されている。 編集時に同じ部分を使ったと考えられる。 当時はそのようなことも許される時代だったのだろうか。 御前様スピーチ 御前様「 えー、兄さんの寅次郎君と違って、さくらさんは 子供の頃から実におとなしい、心の優しい 子供だった。 兄さんの寅次郎君が父親に叱られて 外で泣いていると、自分もそばにいって、 しくしく泣いている。 そんな優しい子だった。 それにひきかえ寅次郎君のほうはと言いますと、」 一同「 ハハハ」 寅、苦笑いしながら、 寅「 バカやろ!何笑ってやがんだい!」 司会者をセンスで叩く。 スイカの名産地、すてきなとーころよー、 きれいなあのこの晴れすがた、スイカの名産地、』 みんな 「アンコール!」 4人とも深々と2度お礼。 博の両親、黙ったまま、じっと下を向いている。 〜などの サビのパターンだけが『スイカの名産地』と同じメロディ。 後の部分は『スイカの名産地』とは違うメロディ。 And on that farm he had some CHICKS, E I E I O. With a chick, chick, here and a chick, chick, there. Here a chick, there a chick, everywhere a chick chick. Old MacDonald had a farm, E I E I O. Old MacDonald had a farm, E I E I O. And on that farm he had a COW, E I E I O. With a moo, moo, here and a moo, moo, there. Here a moo, there a moo, everywhere a moo, moo. A chick, chick, here and a chick, chick, there. Here a chick, there a chick, everywhere a chick chick. Old MacDonald had a farm, E I E I O. Old MacDonald had a farm, E I E I O. And on that farm he had a PIG, E I E I O. An oink, oink, here and an oink, oink, there. Here an oink, there an oink, everywhere an oink, oink. A moo, moo, here and a moo, moo, there, Here a moo, there a moo, everywhere a moo, moo. A chick, chick, here and a chick, chick, there. Here a chick, there a chick, everywhere a chick chick. Old MacDonald had a farm, E I E I O. 以下ものすご〜く長いです((^^;)で、略します。 とにかく上の歌詞を見て分かりますように 老いたマクドナルド爺さんの農場にいろんな家畜がいて、 ひよこや牛、豚、馬、ガチョウ、アヒル… いっぱい延々と出てきて鳴き声を出していくという マザーグースならではのなかなか面白い歌ですね。 歌い方によっては牛が一番になったり、ひよこが1番になったり…。 で、まったく『スイカの名産地』の歌詞とは関係ない(^^;) 高田三九三さんはどういう意図からこの歌を『スイカの名産地』に 変えられたのか(^^;) ネットで調べたら 千葉県印旛郡富里町立浩養小学校で昔植えられていたスイカを 見て高田三九三さんが、インスピレーションをもらったそうだ。 あの歌のスイカの名産地は『千葉県印旛郡』だったんだ…。 外の廊下 寅、司会者を、外の廊下に呼びつけて 寅「 てめえがグズだからこのヤロ、 いつまでモタモタモタモタしてるんじゃねえかよ!。 あのオヤジのツラ見てみろよ。 このヤロ、貧乏人の結婚式はこんなもんかって 面白がっているツラだよ。 あんなジジイに しゃべらせてみろい、厭味の一つも言いかねないぞ!」 寅「 絶対しゃべらせんな!あんな奴に!」(センスを広げて扇ぐ) 司会者「 そうもいきませんよ、新郎のお父さんですから…」 寅「 じゃあ、オレにしゃべらせろよおめえ!え、オレがパーッと いっぱつぶちまかしてな。 あのジジイの鼻あかしてやるよ!」 司会者「 …」 寅「 なんだい、てめえそれでも不承知か!?」 司会者「 いえいえいえ、じゃあ。 お父さんのあとでお願いします」 寅「 後ってことは最後だな、よーし上等だよ! 忘れんな!忘れたらてめえぶっとばすぞ!!このやろう!」 と、ツバキを司会者にかける。 披露宴会場 このあたりで、さくら、 いつのまにかウエディングドレスに お色直ししている。 司会者「 えー、ほんとうに和やかな披露宴でございました。 では最後に、新郎新婦のご両親より一言ずつ、ご挨拶を お願いいたします。 まず、諏訪博さんのお父さん、 諏訪…、諏訪 ウン一郎 さんより、どうぞ」 人の名前は結構読み方が難しい。 プロの司会者は 普通事前に確かめるよ読み方。 どう考えたって不自然。 ゆっくりと、ふたり前に立つ 一同拍手 父親頭を下げる。 さくら、博の両親を見る 博もキツイ目を向ける。 父親、なかなか話を始めない。 寅、いらだつ ようやく話を始める。 父親「 本来なら新郎の親としてのお礼の 言葉を申さねばならんところでございますが、 わたしども、そのような資格のない親でございます。 博、父親を見る。 しかし、こんな親でも、何と言いますか、 親の気持ちには変わりが ないのでございまして、 実は今日私は8年ぶりに倅の顔を…、 みなさんの温かい友情と さくらさんの優しい愛情に包まれた 倅の顔を見ながら、親として私は いたたまれないような恥かしさを…。 いったい私は親として倅に何をしてやれたのだろうか。 なんという私は無力な親だったか…。 隣におります、私の家内も 同じだったと思います。 この8年間は…私ども2人にとって長い長い冬でした。 … そして、今ようやく、みなさまのお陰で春を迎えられます。 みなさん、ありがとうございました。 さくらさん…、博をよろしくお願いいたします」 さくら、顔をあげ、 父親を見、 そして博を見る。 下を向いて涙を流している博。 さくらさんのお兄さん、 二人のことをよろしくお願いいたします。 ふたり、下がろうとする。 寅「 待ってくれぃ!」 立ち上がる瞬間に袖が破れ、それも 構わず、両親に駆け寄る寅。 寅「 おとっさん!」と手を握り。 寅「 おっかさんよ!」と手を握る。 二人の手を取って 寅「 どうもありがとう!」 寅「 博の奴もきっと、喜んでますよ! うん…、」 父親の肩を叩いて、もう一度 寅「 どうもありがとう!」 寅、さくらのほうを見て 寅「 さくら!」 と、駆け寄る寅 さくらのそばまで行って、しゃがみ、 寅「 さくら…、よかったな! うう…うううう」 と、テーブルクロスをハンカチ代わりに泣く寅。 寅「 な!」 さくら、涙を流しながら、頷く。 テーマ曲、大きく流れていく。 寅「 ううう。。。。 」 終始咽び泣く博、さくらも泣く。 出席者の冬子が拍手。 みんな拍手。 寅お礼を皆にする。 寅、みんなの方にそれぞれ 頭を下げながら 「ありがとうございます、 ありがとうございます」 と言い続けている。 司会者とも握手。 それにしても、おいちゃんは今日はどうしたことだろう。 結婚式を欠席するなんて、不自然極まりない。 見合いの前日同様、めでたいめでたい、そして寂しい…って 酒を飲みすぎてまたまた激しい二日酔い。 おばちゃんに散々怒鳴られて、結婚式の同時刻は とらやの布団の中でうずくまって寝ていたのかも。 実際脚本第2稿では、おいちゃんは、見合いの時同様、 二日酔いで出席できないということになっていた!のだ。 これは第2稿の寅のセリフに出てくる。 ただし、本編ではこのセリフは不採用。 そして…博の両親はなぜ急に、博と和解する気になったのだろうか。 そしてなぜあのような懺悔の言葉を吐いたのだろうか。 そのあたりの説明はちょっと不十分だったような気もする。 その不足分を志村喬さんの存在感でカバーしていたので ギリギリセーフというところか。 ちなみにこの博の父親の感動的な挨拶は、 4年後に、同じく山田監督の演出によるテレビドラマ「 はるかなるわが町 」の ラスト近くで、小樽の大学教授である主人公の鳴海冬吉が その娘の春子の結婚式で挨拶をするシーンでもう一度一部が使われる。 鳴海冬吉はこう挨拶するのだ。 「本来ならば、親としてのお礼の言葉を申し上げなければならないのですが、 …とても親といえる資格のない父であります…」 諏訪ひょう一郎は鳴海冬吉に繋がっていくのだ。 そういえば博の幼少期、父親は小樽の大学に勤めていたっけ。 (第8作「恋歌」参照) 数日後 柴又参道 登が配達を終えて帰ってくる。 結婚式も無事終り、ちょっと 放心状態 の寅。 ( 水鉄砲で遊ぶ)ぴゅー。 ぴゅー。 (氷、アイスクリームの 白いひものれん ) (ラムネが机に置いてある) 登「 団子、お寺へ届けて来ました 」 おばちゃん「 ごくろうさん、お嬢さんいたかい?」 登「 え、さくらさんがいなくなってお寂しいでしょうね、 と、そう言ってました」 おばちゃん「 優しい方だね」 登「 兄貴は?」 おばちゃん「 ん、そこらへんにいるだろ?」 登「 兄貴〜、お嬢さんがね、 寅ちゃんも寂しいでしょうねえ、って言ってました」 寅「 冗談言っちゃいけねえよ、 あんなはねっかえりいないほうが かえって、サバサバして気持ちがいいや」 登「 そうですか」 鳥の世話をしているフリの寅 登「 よかったら遊びにいらっしゃい なんて言ってましたけどね」 寅「 ……」 金魚ーえ、金魚ー、 おいちゃん、タバコをふかしている。 寅、奥から咳払い 寅「 ん、んほ、んん…」 その格好じゃチンピラヤクザだよ(^^;) サングラスかけている バレてるって (^^;) のれんをくぐって 寅「 ンン!」 寅「 おいちゃんよ、」 おいちゃん「 おう」 寅「 ちょっと行ってくらァ」 おいちゃん「 おう、いっといで」 寅「 いや、なにね、たいした用事じゃないんだよ」 おいちゃん「 うん」 寅「 うん、時計がちょっと 具合悪いから修理してくらあ」 おいちゃん「 ああ、そう」 寅「 行ってくらあ」 おいちゃん「 お、あ、行っておいでよ」 寅もそこまで偽装しないと行けないのかね。 あの時はロークという喫茶店に行く行かないで大騒ぎ。 今作品は とらやに大きな ペプシの宣伝 が取り付けてある (第9作もペプシ)普通は 雪印が多く、 時々 森永。 キリン、時々無印(スポンサー無し)もある。 団子やかき氷などの 値段はまだ この第1作ではスクリーンに登場しない。 寅「 なんだありゃ」 冬子「 ねえ、寅ちゃん」 寅「 え?」 冬子「 憂さ晴らしにこれから どこかいきましょうか」 寅「 へっ!!!! ねっ行きましょう」 なぜ冬子さんがストレスを?? 実は、第1作の第2稿台本までは、なんと、 冬子さんはこの直前に御前様と大喧嘩して 頬を殴られているのだ! なぜ殴られたかは台本には書かれていないが、 おそらくこの後の展開から考えて 冬子さんは重いマリッジブルーに落ち込んでいたと推測される。 雷 ゴロゴロゴロ… 源ちゃん、その様子を見て、この二人の 釣り合いの取れなさが理解できず、唖然…。 源ちゃん服を広げて二人を見つめる。 この時の源ちゃんも水元公園同様ちょっとシリアス。 第5作以降あたりの源ちゃんと全く別人のように キャラ設定が違う。 この第1作の源ちゃんの目は どちらかというとどこにでもいる普通の青年だった。

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