本好きの下剋上 二次創作 漫画。 本好きの下剋上 第二部1巻を無料で読む方法は?zip・rar・漫画村にはない?

【最新刊】【マンガ】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 「本がないなら作ればいい! 7」

本好きの下剋上 二次創作 漫画

フェルディナンドは有言実行。 出来ない事は言わないし、勝てない勝負はそもそも仕掛けない。 神々という例外もあるから基本的には。 だけど。 そんな訳で、『季節に一度か二度』とされる、下町の家族の元へ行ける二回目のチャンスは、一度目から季節が変わる事なくわたしの元へと訪れたのだ。 「ローゼマイン、急で悪いのだが、今回、私は同行を控えておきたい。 そして下町での衣服の扱いについて、エーファとトゥーリ、二人にもう一度よくよく相談をしてきて貰えないだろうか?できればあちらの君の部屋に置く方向で調整して欲しい」 「……えっ?フェルディナンド様っ?!」 とても真面目な顔で懇願してきたフェルディナンドに、わたしはひどく困惑した。 なぜならば、わたしたちはもう図書館の隠し部屋の中にいて、なんならわたしは平民のマインとして着替えも終わっているのだ。 「まさか、それほどにディーノとなる事が嫌なのですかっ!?」 「ディーノ?」 「わたくしが付けたフェルディナンド様の下町での偽名です!」 「そ、そうなのか。 ……ああ、いや、君と下町に行く事が問題なのではないのだ。 そこは勘違いをしないで欲しい。 私は君の家族を好ましく思っているのだから」 「わたくしだけの……ではありません!わたくしの婚約者であるフェルディナンド様にとっても家族にあたるのですよっ」 「ああ、そうだな、私の言い方が悪かった。 だからそのように感情を高ぶらせるものではない」 ハンカチを取り出して目元を拭ってくれたフェルディナンドが、お土産に持って行こうとしていたお菓子とお酒の入った籠と、なぜか私の貴族服を平民服がかかっていたハンガーに掛け替えて持ってくる。 「ローゼマイン。 君一人に大荷物を持たせる事になるのは心苦しいが、私は君が戻るまでここにいる。 だから、君は五の鐘が鳴ったらマインの部屋でエーファとトゥーリに着替えを手伝ってもらい、六の鐘には転移陣に乗って戻ってくるのだ。 よいな?」 「本当にフェルディナンド様はご一緒してくださらないのですか?」 「……ローゼマイン、こればかりはどうか聞き入れて欲しい。 急ぎ対策を練らねばなくなった事ができたのだ」 「フェルディナンド様……」 フェルディナンドがそこまで言う以上、本当に緊急的に思い至った事があったのだろう。 わたしは渋々頷くと、両手いっぱいに荷物を抱え、当初の喜びの半分のテンションで転移陣に乗り込んだのだ。 ……二回目にしてフェルディナンド様が一緒じゃないなんて、しょんぼりへにょんだよ。 「お帰りなさい、マイン」 「マイン、お帰りーっ、ってあれ?フェルディナンド様は一緒じゃないの?」 「……母さん、トゥーリぃぃっ」 優しい笑顔で出迎えてくれた下町の家族は、わたしの後ろにフェルディナンドがいない事を不思議がってくれて、ちゃんとわたしたちを受け入れてくれている家族にわたしは半泣きで抱きついて言い募った。 「急にやらないといけない事が入ったから、君だけで行ってきなさいって……うううっ」 「そうなの?やっぱりフェルディナンド様はお忙しいんだね」 「でも、転移陣のある隠し部屋には一緒に来てたんだよっ、今日はとっておきのお酒だって持ってきてたんだから一緒に来るつもりだったはずなのにぃーっ」 「うわっ。 フレーベルタークの五十年物っ!こんなの世の中に本当にあるもんなのか……さすがフェルディナンド様だな……」 籠の中を確認した母さんの隣でベンノさんが驚愕の声を上げている。 「フェルディナンド様の事だから、マインだけはどうにか行かせてやろうって気を遣った結果なんじゃないか?」 「ルッツ……」 みんなよっぽどの事があったんだろうと言いながらフェルディナンドを養護する。 でも、わたしには本当に分からないのだ。 なんの情報も入って来ないはずの隠し部屋で、フェルディナンドの予定をひっくり返すほどのおおごとだなんて一体なにが起こるというのだろう。 「……っと、そうそう、フェルディナンド様から伝言があってね」 「伝言?」 人からの頼まれ事はうっかり忘れてしまう前に済ませてしまうに限る。 父さんをはじめ、みんなが瞬いてわたしに注目した。 「母さんとトゥーリには五の鐘が鳴ったら転移陣のあるわたしの部屋で着替えを手伝って貰って、六の鐘には帰って来なさいって言われてるんだけど、今回は服の扱いについて二人にもう少し詳しく相談しておきなさい。 できたらこっちのマインの部屋に服を置いておいてもらえるように……だって」 そこでトゥーリがなにかに気付いたのだろう。 「あっ!?」と声を上げた。 「ねっ、ねぇ、マイン?」 「んー?」 「今回の着替えって、どうやったの……?」 「どうって、フェルディナンド様に後ろの紐を解いて貰って、あとはわたしがガバーッと!」 「「「「「「あー……」」」」」」 「えっ!?なになに!?なにか問題あった!?」 分からないわたしだけを置いて、父さん、母さん、トゥーリ、ルッツ、ベンノさん、マルクさんがそれぞれ天井を仰いだり、額に手を当てたりと明らかになにかの問題に気付いている。 「な、なんだよ、みんなだけで分かった顔して」 「あっ、カミルも分かんないんだね!?良かった、わたしだけじゃなかった!」 カミルにぎゅうを仕掛けながらみんなばっかり分かりあっててズルいと言うと、呆れ顔のみんなにじとぉと見返された。 あれ?わたしが悪いの?? 「ねぇ、マイン」 「なあに、トゥーリ」 「お着替えをフェルディナンド様に手伝ってもらったって事は、他に側仕えの人はいないって事なんだよね?」 「そうだね、ここに来る事は二人だけの秘密だもん。 でも着替えを手伝ってもらったって言っても、コルセットの紐を解いて貰っただけだよ?」 「……だけ……かぁ……」 トゥーリがすっごい微妙な顔でわたしを見てる。 母さんも困った子を見る目でわたしを見てる。 えっ?えっ??なんで!!? 「なぁ、マイン」 「はい?どうかしましたか?ベンノさん」 「言いづらいんだが、お前が着替えをしている間、フェルディナンド様はどうしてたんだ?」 「んー、耳を赤くして壁を向いていたような気がします」 「……分かってやれよ、そこで」 「なにをですか!?」 ベンノさんまで分かっている。 むしろこれは呆れている顔だ。 解せぬ。 「惚れた女にコルセット解かされて、目の前で着替えをおっぱじめられるなんざ、どんな拷問だよ!!フェルディナンド様が可哀想すぎて言葉にならんわ!!!」 「ふへえぇっ!!!!?」 言われて初めて、わたしって結構非常識だったのかしらと冷や汗が出た。 「惚れた女って……いや、紐だけですよ?背中だけですよ?そんな大袈裟な」 「男の欲情甘くみるな阿呆。 お前の中身がどれだけ残念だろうと、お前の背中だけで男にとっちゃ十分すぎる凶器なんだよ。 フェルディナンド様に襲わせたいのか!?理性のこよりを鉄製に鍛える試練を与えてるんだぞ!?実は試練の女神の化身なのかお前は!!!」 「わたしグリュックリテートになりたい訳じゃ……」 「…………さすがにフェルディナンド様が気の毒すぎる」 「父さんまでっ!!!?」 まさか父さんまでがそんな風に言っちゃうなんて! 慌てるわたしをよそに、母さんがトゥーリと相談を始めた。 「トゥーリ、出来そう?」 「母さんと二人がかりならなんとか形にはなると思うけど、完璧かどうかは怪しいなぁ……」 「おそらく、フェルディナンド様はその辺の根回しを考えているんだろう。 マインはトゥーリに頑張ってもらうとして、次からフェルディナンド様のお着替えはどうする?そっちもトゥーリに出来るのか?」 「わたしもさすがに男性服の現場に入った事がないから」 出来るとは明言できないとトゥーリが顔を曇らせた。 「ちょっ、待って下さいベンノさん!!フェルディナンド様のお着替えをトゥーリにさせるなんてダメですよ!?トゥーリは女の子なんですよ!!」 「その女の子のお着替えを男のフェルディナンド様にやらせた自分の行いを反省してろ、この阿呆!」 「あうっ!」 ベンノさんのつっこみが痛い。 ……久しぶりだから気持ちいいけど。 あれ?わたしなんか変態っぽくない? 「アレキサンドリアに来ているギルベルタ商会の人員はドレスと髪飾りに特化した人材ですからね……」 マルクさんも難しい顔で考え込む。 「男性服は仮縫いでも側仕えの人が間に入るって聞くしなぁ……」 「じゃあマルクやルッツがフォローに入るか?」 「私も一人では不安ですね。 書類仕事ならいくらでもお任せ頂けますが……」 「俺も出張で不在になる可能性を考えると、どうでしょうか」 「不味いな……俺やギュンター、カミルじゃまず無理だろうし」 「…………ユストクスを巻き込みます、というかもう巻き込んでると思います」 フェルディナンド様が。 と、しょんぼり顔でわたしが言うと、ホッとした空気がみんなを包んだ。 「じゃああとは、お前の部屋の設備だな。 衝立と衣装掛けが二か所分ってとこか」 「ベンノさん、仮縫いの時と同じ設備を整えるべきだと思いますから、椅子と姿見もあった方が良いです」 「払いはマイン貯金からだな。 早急に揃えておこう、ルッツ」 「明日の朝一番でグーテンベルクに発注します」 すると、わたしたちの後ろから「それは大変結構」と声がしてわたしたちはバっと振り返った。 「フェルディナンド様っ!……とユストクス!?」 平民服に着替えたフェルディナンド様が、やはり君達は仕事が早いなと微笑んで立っていた。 「常々鍛えられていますから」 ベンノさんがニッと笑う。 「フェルディナンド様、マインが色々とやらかしたようで、申し訳ありません」 父さんが謝ると、フェルディナンドも神妙な顔つきになる。 「いや、私の計画の見通しも甘かったのだ。 私達が貴族である以上、其方らには余計な苦労を背負わせる。 私こそ申し訳ない」 すると、フェルディナンド様は伴ってきたユストクスをみんなに改めて紹介した。 「これは私に忠誠を誓った一の側近だ。 情報にも精通している。 少々癖は強いが、信用してくれて良い」 「ユストクスです。 よろしくお願い致します」 ユストクスがみんなと挨拶をしている中、フェルディナンドの元へスルスルスルっと近付いていった。 平民服の動きやすさは本当に凄い。 パニエがないから距離感もいつもより近づけるよ!感動するね。 「フェルディナンド様、追いかけてきて下さったんですね」 「ユストクスが思いのほかスムーズに釣れたのでな」 そんな風に言ってはいるが、わたしを心配してくれたから駆けつけてくれたのだろうなんて事、わたしにはちゃんとお見通しなのだ。 ああ、もう、幸せすぎて最高だ、この気持ちをわたしは何と言えばいいのだろう。 頬が緩み、まるで意識しないままに祝福が溢れる時と同じように。 わたしの中から自然と一つの言葉が生まれた。 「うふふん、フェルディナンド様、大好きですよ」 「なっ!!?」 こうしてわたしは、いや、わたしたちは、口元を覆って耳どころか、顔面を赤くするという貴族にあるまじき姿を披露してしまうフェルディナンド様という、幻の珍獣にも等しいような光景を目撃してしまったのであった。 *** 一の側近と言われて内診でひゃっほーいしているのはユストクス。

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本好きの下剋上【第一部】 / 漫画:鈴華 原作:香月美夜 キャラクター原案:椎名優 おすすめ漫画

本好きの下剋上 二次創作 漫画

概要 「本好き公式外CP」とは、小説『』の二次創作作品のうち、公式ではくっついていないキャラクターをカップリングしている、あるいは、公式カップリングではあるものの、設定が公式とは大幅に変更されている作品に、二次創作者自身が付けるための棲み分けタグである。 使用例 ・BLやGLのカップリングを主体とした作品。 ・原作に登場しないオリキャラを含むカップリングを主体とした作品。 使用方法 二次創作者の方へ ・公式に無いCPだからと言って、必ずしもつける必要はありません。 ・原作至上主義の読者の目に触れて、苦情を申し立てられたくない、と思う場合の自衛にお使いください。 ・原作タグ『』及び、 など、他のタグと併記可能です。 読者の方へ ・公式に沿わない二次創作を読みたくない場合は、『本好き公式外CP』のタグをあるいは、してください。 ・プロフィールあるいは、シリーズ1作目などで作者本人の要望がある場合を除いて、他者の作品にこのタグをつけないでください。 ・このタグをつけるよう、作者に強要しないでください。 ・このタグが付いている作品に関する「原作と違う、公式タグを外してください」「地雷です、見たくなかった」などの苦情は受け付けません。 経緯 原作のweb連載終了後、pixivに本好きの下剋上の二次創作が増える中で、BLやGL、パロディやクロスオーバー、逆行、オリキャラなど、原作と大幅に異なる展開の作品が出てきました。 その中でも、特に、主人公CPであるフェルディナンドとマインが酷い目に合う作品や、他のキャラクターとくっつく作品に対して、原作にこだわるファンが、作品の取り下げを執拗に要求したり、原作タグを外すように呼び掛けたりする行動を起こし、当該作品の作者の反発や撤退が相次ぎました。 腐向け、厳しめなどのタグをつけ、キャプションで注意をしていても「検索に引っかかるのが許せない」「地雷作品が多すぎてミュートでは避けきれない」という読み手の意見と、「原作タグを外しては、新規の人が探せない」「コメントやメッセージで叩かれるのが嫌だ」という二次創作者の意見の中で、一つの妥協案として生まれたのがこのタグです。 成長中のジャンルでもあり、試験的な運用になるかもしれません。 ですが、多くの二次創作者とその読み手が、快適に作品を楽しめる一助になればと思います。 関連イラスト 関連タグ この記事のカテゴリ 関連記事 親記事 pixivision• 2020-07-15 18:00:00• 2020-07-15 17:00:00• 2020-07-14 18:00:00• 2020-07-14 17:00:00• 2020-07-13 19:00:00 人気の記事• 更新された記事• 2020-07-16 10:44:10• 2020-07-16 10:43:40• 2020-07-16 10:40:56• 2020-07-16 10:39:11• 2020-07-16 10:38:25 新しく作成された記事• 2020-07-16 10:38:10• 2020-07-16 09:46:41• 2020-07-16 10:04:40• 2020-07-16 09:04:52• 2020-07-16 08:53:59•

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【最新刊】【マンガ】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部 「本がないなら作ればいい! 7」

本好きの下剋上 二次創作 漫画

本好きの下剋上という作品が個人的に熱いです。 どーも自分です。 本記事の題材である本好きの下剋上という作品は、もともとは「小説になろう」で連載されている小説です。 で、それを原作として、ニコニコ静画で漫画版が連載されているわけです。 ネット上の創作物に触れている人なら「小説になろう」発と聞くと「異世界転生」モノだろ? と脊髄反射で眉をひそめる人がいるかもしれない。 確かにこの作品は「異世界転生」モノだよ。 でも面白いよ! 昨今乱発される「異世界転生」モノの中でも設定と物語のテーマ、展開において独自の地位を築き着実に人気を得ている作品のひとつと自信を持って言える。 原作小説自体も中二感満載で読みやすさを勘違いしたような軽薄な文体で雑文と紙一重のようなラノベとは一線を画している。 口語体の文章だけどウザさ控えめ。 といっても自分は基本漫画で読みたいので漫画で進んでいるところまでしか原作全てを読んでいるわけではないのだが、読みやすい文章と言える。 なろう系特有のウザさ(主人公・展開・文章表現)をあまり感じないのが良い。 ともすれば、「小説家になろう」に限らず、昨今の「異世界転生」というフォーマットに則っている作品というと、 「どうせ俺tueeeだろw」 「出世早すぎw」 「桃鉄かよw」 「ハーレム乙」 などとこれまたテンプレ的な反応を返されてしまうことが良くある。 それは偏見なのだが、テンプレ展開のツギハギ作品が多いのもまた事実。 しょうがないとも言えるが、しかし「本好きの下剋上」に関してはロクに読まれずそんなレッテルを貼られてしまうとしたら悲劇だ。 読みもしないで脳内の未読リストに入れてしまう人はもったいないと思う。 原作小説の良さはまた別の機会に譲るとして、まずはあらすじから、次に小説版を原作とした漫画版の良さを書いていこうと思う。 本好きの下剋上のあらすじ 主人公で卒業を控えた女子大生の本須麗乃(もとすうらの)は本をこよなく愛し、様々な本を読むことに幸せを感じていた。 しかしある日、地震によって降り注いできた本に誤って押し潰されてしまい、命を失ってしまう。 死の間際にあっても願うことは「生まれ変わっても本を読めますように」。 気づくと麗乃は小さな女の子になっており、病気に苦しんでいた。 身体を横たえていたのは粗末なベッド。 周りに見えるのは殺風景な部屋。 母らしき女性が心配そうな顔で部屋に入ってきて、麗乃を「マイン」と呼ぶ。 その瞬間、マインとしての記憶が麗乃の脳に流れ込み、麗乃の記憶と融合し、「母さん」と呼び返す麗乃。 「麗乃」から「マイン」になってしまった瞬間だった。 死んでしまい、転生したという事実よりも、まずは本を求めたマインは部屋を見回しても、立ち上がって家中を探しても本はおろか字すら存在しないことに絶望する。 街に出ると商品には値札がついている。 字の存在は確認できた。 そしてマインは、買い物中の母を商店で待たせてもらっている最中、棚の中に厳重に飾られていた本を発見する。 本の存在に喜ぶマインだったが、本があまりに高価な為試し読みはおろか触れさせてすらもらえない。 自分で本を作ることを思い立ち、持てる知識を総動員して資源も技術も乏しい中世ヨーロッパのような世界において、本を一から製作することに挑むのだった。 自分が考える本好きの下剋上の良さ 極端な「俺つえー」的な展開の少なさ。 まずはこれだ。 一番に挙げるとすればこれ。 実は、冒頭でちょいちょい異世界転生を腐す発言をしてはいるものの、 自分は「異世界転生」モノ好きです。 比較的。 「俺つえー」な展開もやられまくる主人公よりはスカッとするし、どんどん強くなったり出世していったりするから。 創作の世界の中くらいは無双して、チヤホヤされて、でも驕ることなく余裕をもっているから大概の人からは好かれる、みたいな完璧な主人公が活躍する話を楽しみたい時もあるんだよ。 大人には。 でもそれも程度問題で、ご都合主義と言えるレベルになっていくると話は違ってくる。 あまりに過ぎるとバカにされている気分になるんだわ。 大概よほどのことがない限りは一度読み始めた作品は我慢強く読み切るんだけど、ムカついてもう続きは読まない作品はある。 その点、本好きの下剋上は本をたくさん読んで身に着いた知識の範囲内で無双する。 例えば転生した中世ヨーロッパにも似た世界では文明度も中世で、当然シャンプーなんてものはなく、現代の人間から見たら男女ともに髪は現代にくらべると不衛生と言えた。 しかしその世界でマインはアボカドに似た植物の実を潰して油を採取し、それと薬草や塩を組み合わせてシャンプーを作る。 見事髪がつやつやになったマインは、美容と言う分野においてその世界では優位に立つことになる。 たびたび他の人の目を惹きつけ、印象を残す。 そして、後にその簡易シャンプーに有用性、商売のチャンスを見出した商人との交渉で、マインは目的である本作りの為の交渉の材料として簡易シャンプーを使うことになる。 進退窮まったら スキルでボーン 魔法でバーン 最終的には 固有スキルor魔法でバババーン みたいな展開じゃなく、地に足を着けた知識から生じたアイデアによる優位点で「なるほど、そうなるよな」という平和的な展開で無双する。 バトル以外での無双展開、「俺つえー」展開の作品もあるが、本好きの下剋上はとりわけ現代知識の活かし方が自然だと感じた。 もちろん膨大な量の本から得た知識からくる無双だから「そんな事知ってるのかよ」と突っ込むこともあるかもしれない。 その点、マインは、きちんと知らないものは知らないので少なくとも勝ちっ放しの展開は無い。 分からなくてもめげることなく、現代では普通だった事でも今は分からないからこれから頑張って見出していこうという前向きな姿勢がマリンにあるのも良い。 その最たるものは本を作るために必須の「紙」の存在で、作り方も何となく材料も道具も知っているけど、肝心の製造工程に関しては曖昧で、マインは探りながら紙作りに挑んでいく。 本好きの下剋上において「俺つえー」展開がバランスを欠くとどうなるか。 マインが紙の作り方の詳細を知っていて、紙作りに取り掛かってから数日で紙が完成。 紙が貴重な世界で製品も製法も売りまくる……、と、とんとん拍子に桃鉄的に資産を増やしていくのも悪くはないが、やはり苦労するところは苦労してもらった上で成功してくれた方が好き。 ちなみにマインは体も極端に弱いので、目標に向かって電車道、とはいかず、一歩進んで二歩下がる、ジリジリと目標に近づいていく過程も好き。 マインがかわいい。 その理由は作画の鈴華先生の絵がかわいいからとか、マインが小さい子供だからというばかりではない。 子供の容姿ではあるが中身は22歳の女性がアイデアの実現に喜び、実現したい理想と現実とのギャップに泣く素直な感情表現には好感が持てる。 とにかく本を読むことが好きというかもはや軽く狂人の域に達している。 知識を蓄えることが目的ではなく読むこと自体を求めているという意味で真の本好きと言えるだろう。 そしてその姿勢がずっと一貫しているので傍から見ていて面白い。 このページでは漫画版の感想を書いているのだが、漫画版では原作にあった部分が削られていたりするのでマインに焦点をあてる本項では少しだけ原作に触れておく。 ある程度成長するまで、気分悪くなる恐れがあります。 と一言断りを入れている。 自分としてはマインが不潔だと判断した家族から触れられることすら嫌がることはそんなにおかしなことではないと思うんだけど、文句を言う人がいるということなのだろう。 そりゃ間違いなく家族だというマインとしての意識もあるけど、麗乃からしてみれば対面して間もない他人同然の人たちでもあるというのに。 人間的で、リアルな反応だと思うんだけど、それが漫画版では若干マイルドな表現になっていたり、あるいは全く削られてしまっていたりするのが惜しい気もする。 まぁとにかく基本的に善人ではあるけど聖人君子ではない、どこにでもいる人みたいな人物だと思う。 キャラ立ちしているのはとにかく本好きな部分。 欲望がはっきりしているキャラクターは面白い。 例えその欲望の対象があまり公序良俗に沿わないものであっても求めてやまない姿には読み手に対して何かしらの印象を与える。 キャラ自体の人格がおかしくなければそれは好印象になりやすいと思う。 リアリティを以って中世ヨーロッパあたりの世界における生活を描いている。 本須麗乃の転生先となったマインの世界は現実世界との違いとして魔法が存在しているが、それ以外は中世ヨーロッパに似た文化及び文明度だ。 日常生活で不衛生な様子も描かれているし(といっても控えめだが)、身分の違いなども描かれる。 中世ヨーロッパの不衛生さなどを知ってガッカリした経験がある人は多いと思うが、原作者の香月美夜先生もそうなんじゃないかと思わせるくらい本好きの下剋上の中で衛生環境の悪さなどについての描写がある。 まだ原作ストックはたくさんある 現在連載されている漫画は既刊4巻で第1部のようやく4分の3程度。 おそらく5巻で1部が修了するのではないか。 乱暴な計算だが、仮に1部が5巻の配分で進むように調整されているとして、現在原作は第5部まで書かれているので巻数は25巻になる。 しかし、4部と5部は1部に比べると話数が多いので実際に必要な巻数はもっと多くなるだろう。 まだまだ続く物語にワクワクを抑え切れない。 本好きの下剋上は今後も目が離せない作品だ。

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