ブラスタ 夢 小説。 #シン #夢小説 もう、遅かった

夢 (小説)

ブラスタ 夢 小説

の流行とともにおれの読書量は減った。 減ったどころじゃなく八割減とかそういうレベルだ。 居酒屋か旅館か、というレベルだ。 なぜアウトドアではなくインドアの読書が減ったのか。 図書館が閉鎖されたからだ。 ここ数年のおれの読書習慣とは、図書館とともにあった。 なぜか。 貧乏だから本を買う金がなく、貧乏だから本の置き場がないからだ。 しかし、いよいよ本を買った。 正直にいえば古本だ。 おれは圧力鍋のレシピ本がほしくなった。 ネットオフで探した。 あった。 三冊買えば送料無料になる。 単行本としては持っていなかったの『1999』があったので二冊目。 さて、三冊目。 で検索して出てきたこれを買って三冊。 とおれ。 おれと。 これについてはさんざん語ってきたので適当に検索してください。 おれにとって最大の小説家です。 では、とおれ。 おれと。 これについては、どうだったか。 の翻訳を読んだ。 すばらしいの『パルプ』も読んだ。 高橋 ……当人を前にして恥ずかしいのですが、僕は、柴田さんの、の『パルプ』の翻訳は、日本翻訳史上の最高傑作と思います。 あの作品の、柴田訳のは僕の文章の理想像です。 52 あと、こんなん。 柴田 ……を訳していて、「ああいう汚い世界を書いているから、をいっぱい使っているんでしょう」と訊かれることがあるんですけど、考えてみると、にはほとんどが出てこないんですね。 高橋 たしかにないですね。 すごくわかりやすい。 柴田 わかりやすいですね。 というのは仲間内の通り言葉で、特定の小さい閉じた共同体のなかでしか使われないものですよね。 はどこの共同体にも属さないからは使わない。 友だちがいないとって要らないんですよね(笑)。 163 に「ともだちがいない!」というのは、自伝的小説を読めばいいと思う。 『くそったれ、少年時代』とか。 あと、おれはあまりはまらなかったけれど、や、もちょっと読んだことがあると思う。 との共著も読んだ。 いずれにせよ、今現在、小説、あるいはカの小説を日本語で読むとなると、避けては通れない存在だろう。 たぶん。 たくさん翻訳している。 柴田 ……たくさんやると、一つ一つは雑にやってるんだろうなと思われたり、「やっぱり下訳とか使うわけですか」って言われたりするとすごくむかつきますね。 「なんで他人に自分に代わって遊んでもらわなきゃいけないのか」ってね。 さんも言ってますけど、「何で一番楽しい部分を他人にやってもらうのか理解できないって」。 22 おれはの翻訳も好きで、とかなんか読んでいると思う(本書には村上訳カーヴァーについて語り合ってる部分もある)。 の翻訳というとくらいしか思いつかないが、あんまりしていないのでそういうことになる。 柴田 が出てきた時に、に似ているなと、僕は思ったんですね。 その直後に高橋さんがデビューした時、がならこの人はだなと思いました。 41 そしておれは残念ながらを読んだことがない。 いずれ図書館が開いたらを読みたいと思う。 高橋 ……『さようなら、ギャングたち』を書き始めた頃には、もうすでに断片の集積で書こうとしていました。 断片を集めて長大な作品を作るのは現代詩に特徴的なやり方だったので、それならできるだろう、と思っていたのです。 だから、やを読んで、「あっ、やっぱりやってる作家がいるじゃないか」という思いは強かったのです。 43 おれは一時期、ここに名前の出ているにはまった。 検索すれば出てくると思う。 柴田 ……ちゃんとリズムを考えて翻訳しているのは、現代カだとだけかなって思ったんです。 イギリス小説でも、昔のとか朱牟田夏雄とかだと、リズムというよりは「節」っていう感じなんですが、でも節はちゃんとあるんです。 現代小説の翻訳は節もリズムもあまり感じられなくて、「リズムなしで演奏されてもなぁ」っていう、それが一番の違和感です。 高橋 僕も藤本さんのの翻訳には驚愕しました。 翻訳って、当然、原文は尊重されなければいけないですよね。 柴田 ええ。 高橋 でもだからといって原文に似すぎてもいけないし、直訳調すぎてもだめ。 そして正解はもちろんないから、「これはきっと完璧ではないな」と思うのが翻訳された小説を読む場合の基本スタンスだったんですけど、藤本さんの訳文を読んだ時には「これ完璧じゃないか」って思ったんです。 もう句点の打ち方も、すべてこれ以外ありえない、というぐらいに磨き上げられた感じがあって、そんなことが翻訳でできるということに本当にびっくりしたんです。 柴田 まさに僕もそうですね。 p87. 88 そんでもって、本書には両人の「読むべき海外小説30冊」だとか60冊とか、さらに「海外に紹介したいニッポンの小説」のリストが出てくるのであるが、とうぜんおれはそんなに本を読んでいないので、これは重宝する。 これだけでも一読の価値はあろう。 一方で、「おれ、なーんか読めないなよなー」という作家もいる。 柴田 者として自殺的なことを言いますけれど(笑)、この対談が決まったときに、『』を読んでいないのはまずいなあと。 142 ピンチョン。 おれ、ピンチョンちょっと挑んでみようかと思ったけど、まったくだめ。 まったくわからんし、読み進められない。 おれは単なる高卒の底辺労働者なのでピンチョンを読んでないことが自殺的なこととは言えないけれど、まあも読んでねえなら、いいか! エヘ! ということになる。 と、なにやら自分がちょっとばかり知っている領域の話ばかりしてしまったが、本書ではカン・ウェイ・オブ・ライフについてや、小説家がなぜ「先生」と呼ばれたのか、あるいは呼ばれなくなったのか、など、文学的なお話が展開されているので、そのあたりはちゃんとチェックしてくれよな。 最後に。 高橋 書けない代表として言うと実は僕も詩が書けないんです。 僕の小説には詩に近いところがあると言われたりして、詩人の友達には、「何で君が詩を書けないのか全然わからない。 あのままでいいんだよ」って言われる。 でも、ほんとうに全然書けない。 詩だと意識し出した途端、想像力がまったく働かなくなるんです。 で、小説の中に登場する詩だってことにすると書けるんですね。 ある詩人の生涯を書けって言われて、彼が書いた詩であれば平気で書ける。 自分でも謎なんですよ。 小説だとあまり考えないでとりあえず行けるけど、詩だと考えちゃうんですよね。 18 これについては、おれがの小説を読んでいたときだったろうか、父が「世の中には詩のような小説と、小説のような詩がある」と言った。 おれはなぜかその言葉が深く印象に残っている。 おれはを読んだので、詩のような小説を読んだことにはなろうが、小説のような詩とはだれのどのような作品であろうか、まだ出会ったことがない。 そして、小説について。 柴田 たとえば芝居を見ていて、後ろに背景があって樹木があるんだけれども、実はベニヤ板なわけですね。 それを樹木でなくベニヤ板だと、つい認識してしまう。 高橋 そうです。 「全部舞台の袖にいる演出家が演出したものじゃないか」という感じです。 芝居の中身よりそういうことが気になってしまう。 この世界はコードでできているわけだから、そういう人間にとってそのことを抜きにして何かを書くというのは無理なんですね。 その場合、選択肢は三つあります。 (1)わかっているけれども面倒臭いからコード通りに書く。 (2)コードのあるものは書けないので書かない。 (3)「コードがあるよ」と書く。 この三つしかないんです。 そして、その選択は、どれが正しくて、どれが間違っているかわからないのです。 僕は「コードがあるよ」と書くのが高度なテクニックだとは思いません。 ただ、「これはコードじゃないか」と指摘する作品が、もしほかにほとんどないとしたら、誰かががそれをやらないと気持ち悪いだろう、とは思うんですね。 44,45 ああ、なんか本が読みてえな。 小説読みてえな。 そんなことを思った。 今のところはそんだけだ。

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「オオオォォ……!」 戦慈が両手を握り締めて、腰を据える。 それとほぼ同時に脳無が、戦慈の目の前に右腕を振り被った状態で現れる。 「ヅアァ!!」 戦慈も右腕を振り被り、同時に互いの顔を殴り合う。 バキン!と戦慈の仮面が割れるが、戦慈は仰け反ることもなく脳無の拳を受け止める。 脳無も今回は吹き飛ぶこともなく、戦慈の拳を受け止める。 直後、戦慈と脳無は下がることなく殴り合いを始める。 戦慈の左アッパーが脳無の腹に突き刺さるが、脳無はものともせずに左フックを戦慈の横顔に叩き込む。 戦慈は仰け反ることもなく、右フックを脳無の脇腹に叩き込む。 脳無は僅かに横にくの字に曲がるが、すぐに右アッパーを戦慈の顎に放つ。 戦慈は頭を仰け反るが、すぐに起こして脳無の胸に頭突きを浴びせる。 脳無は左脚が1歩下がるが、直後左脚がブレて再び戦慈の顎を蹴り上げる。 戦慈はそのまま体を仰け反らせて、バク転をしながら脳無の顎を両足で蹴り上げ返す。 脳無は片足立ちだったため、完全に衝撃を打ち消せずに、頭が後ろに仰け反る。 そのまま戦慈同様バク転して、距離を取る。 互いに起き上がった瞬間に飛び出す。 「ウルルルァア!!」 ぶつかり合う瞬間、戦慈が高速で拳の乱打を放つ。 脳無の胴体や顔に、拳の雨が降り注ぐ。 ドドドドドドドドド!!! 脳無の体が衝撃に震えるが、両腕がブレて、戦慈の拳に対抗するように高速で殴り合いを始める。 その様子をディスペは冷や汗を流しながら、観察していた。 「……《ショック吸収》のおかげで耐えられているが、やはり思考回路の未熟さが響いているか……!《瞬動》をもっと上手く使えれば、もう少し余裕を持って戦えるものを……!」 ディスペはビルの屋上から地上に降りて、唸りながら推測する。 降りてきたのはブラスタの出現で、屋上にいては見つかる可能性があったからだ。 地上であるならば、今は戦場周囲は人が避難していないので、逆に隠れやすかった。 ディスペはもしもの可能性を考慮して、スマホを取り出して、ある人物にメールを送る。 「とりあえず、これでいいか。 ……くそっ!マスキュラーもエルジェベートもどうなるか分からんか。 何故ブラスタがここにいる……?今はミルコ以外は有象無象しかいないはずだったのに……!」 ディスペは仮面の下で顔を顰めて、吐き捨てるのだった。 エルジェベートは戦慈と脳無の戦いに顔を引きつかせる。 「あ、あそこまでのパワーだなんて聞いてませんわよ……!?」 「あいつは体育祭で優勝した奴か。 テレビで見たより、パワーがあるじゃないか。 まぁ、正気ではなさそうだがな」 ブラスタも戦慈の戦いを見て、面白そうに語る。 すると、ブラスタのラインが今度は青く変化する。 そろそろ限界が近いか」 「また色が……!?」 「これで終わりだ!!」 ブラスタが高速で飛び出し、エルジェベートに迫る。 エルジェベートは翼をはためかせて上昇し、ブラスタもそれを追う。 「えぇい!!小賢しいですわぁ!!」 エルジェベートは急旋回し、ブラスタに貫手を放つ。 ブラスタは右腕を振って払い退けるが、スーツにヒビが入る。 「あら、思ったより脆いですわねぇ!!」 「ちっ!臨界点が近いと、やはり脆くなるか……!」 エルジェベートは弱点発見とばかりに口を三日月型に吊り上げる。 ブラスタはヒビを見て、舌打ちする。 しかしそれで退くこともなく、エルジェベートに詰め寄り、右足裏の噴射を強めてエルジェベートの脇腹に蹴りを叩き込む。 「ぐぅ!?」 エルジェベートは横に吹き飛び、勢いよくビルの壁に叩きつけられる。 「かはっ!?」 ブラスタはエルジェベートの真上に移動し、再び左手と右手を重ねる。 すると、その両手に先ほどよりも大きな光が集まり始める。 「くっ!」 エルジェベートは顔を顰めながら、両手を突き出して受け止める構えを取る。 「悪いが……さっきと同じだと思うなよぉ!!ギャリック・キャノン!!」 ブラスタが両手を突き出して、エネルギー波を放つ。 それは前に放ったモノより、2倍の太さがあった。 その太さにエルジェベートは目を見開いて固まる。 「な!?そ、そんな!?ア、アアアアアアアアァァ!?」 エルジェベートは大の字でエネルギー波に飲み込まれて、地面に叩きつけられる。 そして爆発を起こして、地面を吹き飛ばしてクレーターが生まれる。 ブラスタの両腕はエネルギー波を放った瞬間に爆発し、スーツが壊れてしまう。 ブラスタはクレーターの傍に降り立つ。 すると、両脚と背中のスーツからも爆発が起こり、ラインの光が消える。 「ちっ。 やはり長時間飛行での戦闘は、そう長くは保たんか。 くそっ!」 ブラスタは片膝を着いて、舌打ちをする。 ブラスタの『個性』は《エネルギー波》。 体からエネルギー波を放出することが出来る。 しかし、生身で放つと全身から放出するため、ただの爆弾にしかならない。 それを抑えて、指向性を持たせたのがあのスーツだが、長時間内部よりエネルギー波を流すと出力に耐えられず、スーツがオーバーフローを起こすのである。 毎回改良を行ってはいるが、使えば使うほど『個性』は強くなるので、エネルギー波のパワーも上がり、イタチごっこになってしまっているのだ。 「ふん……さて、奴は……」 ブラスタは立ち上がり、クレーターの中を見下ろす。 土煙が晴れていくと、そこには、 「あ……あぐ……ま……また……から…だが……」 エルジェベートは呻きながら、地面を這って進んでいた。 その体は小学生並みになっており、服も脱げてしまっていた。 「しぶとい奴だ。 しかし、もう戦うことは出来まい?」 ブラスタはゆっくりとエルジェベートに向かって歩き出す。 すると、クレーターの外から物凄い勢いで、何かがブラスタに迫ってきた。 「!?」 ブラスタは飛び下がって、飛んで来た何かを躱す。 飛んで来た何かはクレーターの縁に激突する。 ブラスタが目を向けると、そこには戦慈が仰向けで倒れていた。 「貴様……!?」 「ウルゥアアアア!!」 「ぐぅ!?」 戦慈はすぐさま起き上がり、再び飛び出していく。 動くことで吹き荒れる風圧を耐えながら、ブラスタは戦慈を見送る。 すぐに戦慈が飛び出した方向で、激しい戦闘音が聞こえてくる。 「あの野郎を吹き飛ばしやがったのか……!?向こうの奴も十分バケモノということか……!」 ブラスタはヘルメットの下で顔を顰める。 そしてエルジェベートに目を向けると、そこにはエルジェベートの姿はなかった。 「なに!?どこに行きやがった!?まだ動けるはずはないはずだ!!」 ブラスタは駆け出して路地裏や穴が空いているビルの中を見るが、どこにもエルジェベートの姿はなかった。 「くそ!!他に仲間がいやがったのか!?探せたとしても、今の俺では戦えん……!」 壁に拳を叩きつけて悔しがるブラスタ。 とりあえずブラスタは周囲を注意しながら、戦況を見守ることしか出来なかった。 ミルコとマスキュラーの戦いも佳境を迎えていた。 「おらぁ!!」 「ぐぅ!?」 ミルコの蹴りを、マスキュラーが腕を交えて防ぐが、後ろに滑り下がる。 マスキュラーの体を覆っていた筋繊維は解れて来ており、マスキュラーのパワーが下がって来ていたのだ。 「はぁ!……はぁ!……くそが……!」 「はん!どうやら体力切れみてぇだな!」 マスキュラーは荒く息を吐きミルコを睨み、ミルコも息を荒らげながらも笑みを浮かべてマスキュラーを見つめる。 「それだけの筋繊維を使ってんだ!消費するエネルギーもハンパねぇよな!?」 「それがどうしたぁ!!」 マスキュラーは苛立ちに顔を歪めながら、右腕に筋繊維を纏ってミルコに殴りかかる。 しかしスピードはそこまでなかったため、ミルコは容易く躱す。 そして体を捻りながら跳び、回転しながら全力で右脚をマスキュラーの顔を蹴り抜いた。 「があぁ!?」 マスキュラーは吹き飛んで地面を転がる。 するとミルコのすぐ前にカラン!と何かが落ちてきた。 ミルコが目を向けると、それはマスキュラーが左目に着けていた義眼だった。 「ふぅー。 これであいつは終わったか?」 マスキュラーは仰向けに倒れており、体を震わせながら起き上がろうとしていた。 「く……そ…が……!」 「諦めな。 もうここまでだぜ」 「ミルコさん!!」 「ミルコ!!」 ミルコはマスキュラーを油断せずに見下ろす。 戦闘が終わったのを確認して、ヒーローや警察達が駆けつけてくる。 ミルコは振り返って捕縛を頼もうとした時、 ドドオオォォン!!! 戦慈が戦っていた場所で、大きな音と衝撃が走る。 ミルコはガバッ!と振り向くと、戦慈がくの字に体を曲げて、吹き飛んできていた。 「な!?下がれ!!」 『!?』 ミルコの声にヒーロー達は慌てて足を止める。 戦慈はマスキュラーの横を通り過ぎて、ミルコの横に転がりながら近づいてくる。 そしてミルコの少し前で止まる。 「グ……ウゥグゥアア……!ハァー!……ハァー!……」 「スサノオ!!」 戦慈は荒く息を吐き、口や鼻から血を流して片膝を着いている。 戦慈の視線の先には脳無がいた。 脳無は特に傷を負っている様子はなく、戦慈達に向かって歩み寄って来ていた。 「あのスサノオの攻撃を完全に耐えてやがんのか……!?」 「ウウウ……!ウルルァアアアアア!!」 「っ!!スサノオ!!」 ミルコは脳無の姿に目を見開いて慄いていると、戦慈が吠えて脳無に向かって飛び出していく。 戦慈は右肩を突き出して、脳無にタックルを仕掛けるが、脳無は両腕を広げて戦慈を待ち構える。 猛烈な勢いで戦慈が脳無に突撃するが、脳無はそれを体で受け止めると、両腕で戦慈を掴んだ瞬間に一瞬でバックドロップを放ち、戦慈を頭から地面に叩きつける。 そして一瞬で起き上がって、振り返りながら戦慈の体に右膝蹴りを叩き込む。 「グラァア!?」 戦慈は頭を下にした状態で6mほど吹き飛び、頭から墜落して地面を転がっていく。 「っ!!ちっきしょうが!!!」 ミルコは全力で踏み込んで、猛スピードで脳無の背後に詰め寄り、右脚を脳無の後頭部に向けて振り抜く。 しかし、手応えはほとんどなかった。 「ちぃ!《ショック吸収》か!?」 「ヅゥルルルルアアァ!!!」 「っ!?ヤベッ!?」 ミルコは顔を顰めるが、戦慈の叫び声を聞いて、慌てて飛び退く。 直後、戦慈が猛スピードで脳無に詰め寄って殴りかかる。 脳無は戦慈の右ストレートを再び体で受け止めるが、すぐさま戦慈は右脚を振り上げ脳無の顎を蹴り上げる。 脳無は仰け反り、2歩後ろに下がる。 戦慈は右脚を振り下ろす勢いで、左腕を振り抜いて脳無の腹部に突き刺す。 脳無はくの字に体を曲げるが、それと同時に戦慈の背中に頭突きを叩き込む。 戦慈は両手を地面に着いて倒れるのを耐えるが、続いて脳無の右脚が戦慈の顔に叩き込まれる。 戦慈は大きく体を仰け反りながら立ち上がる。 「ヅゥルァアアアア!!!」 吠えながら両手を握り締めて、両腕を振り被る。 そしてすぐさま脳無の胸に両腕を叩き込む。 ドッッッパアアアアアァァン!!! 衝撃波が脳無の体内で吹き荒れる。 脳無の体が大きく膨れ上がり、後ろに滑り下がっていく。 そこに、 「ぶっ飛びやがれえええ!!」 反対側からミルコが両脚を突き出して、脳無の背中に飛び蹴りを叩き込む。 両側からの衝撃に、脳無の体内の衝撃波が逃げ場を失い、体内で荒れ狂う。 脳無の体が衝撃を逃がそうと荒れ狂い、手足がバタバタと震える。 ミルコは飛び下がり、脳無から距離を取る。 「っ!!……今ので私の脚も限界だな。 スサノオの奴、どんだけのパワーぶっ放しやがったんだよ」 「ミルコ!!」 足に鋭い痛みが走り、ミルコは顔を顰める。 そこにヒョウドルが駆け寄ってくる。 背中には里琴が背負われていた。 「おう。 シナトベは大丈夫か?」 「右腕が骨折してるけど、それ以外は大丈夫そうよ」 「……なんとか」 「なら、下がってろ。 後はあの脳みそ野郎だけだ」 ミルコはヒョウドルと里琴の様子を確認すると、脳無と戦慈に目を向ける。 脳無はうつ伏せに倒れており、戦慈は荒く息を吐き、両腕をダランとぶら下げて片膝を着いている。 「……勝ったの?」 「だといいがな。 ……嫌な予感がするぜ」 ミルコの不安は的中し、脳無が勢いよく立ち上がる。 『!?』 ヒョウドルやヒーロー達は目を見開いて固まる。 ミルコは盛大に顔を顰めて、歯軋りをする。 「そんな!?ミルコとスサノオの攻撃を喰らって……!?」 「あれだけ殴って蹴られたのに、ピンピンしてやがんのか……!?」 すると、脳無はフラついて片膝を突く。 それを見たミルコとヒョウドルは、周囲に叫ぶ。 「今だぁ!!」 「捕縛出来るヒーロー!!」 2人の声を聞いたヒーロー達は、ハッ!として駆け出す。 すると、脳無の真横に黒い靄が現れる。 『!!?』 ヒーロー達が足を止めて、構える。 黒い靄は脳無を包み込んでいき、脳無の姿が見えなくなる。 「なんだ!?」 「黒い靄?……っ!!雄英襲撃犯の1人よ!!ワープ!!逃げる気だわ!!」 「な!?」 「くそ!!」 「逃がさない!!」 ヒョウドルの声に、ヒーロー達は慌てて飛び掛かる。 しかし、黒い靄は小さくなり、消えたときには脳無の姿は消えていた。 「くそ!!」 「っ!?他の連中もいないわ!!」 「何だって!?」 「探せ!!」 「待て!!まずは被害の確認だ!!他に負傷者がいないか探せ!!」 ヒーロー達は周囲を駆け回り始める。 特に被害が出たビルの内部やその周囲を確認していく。 「ウウウゥゥ……!!」 「お、おい?大丈夫か?」 「どうした!?しっかりしろ!」 戦慈にもヒーローが駆けつけるが、戦慈は片膝を着いたまま歯を食いしばって唸っており、返事がない。 それにヒーロー達は大怪我をしたのかと、更に声を掛ける。 しかし、 「ヅゥルァアアアア!!!」 「うわぁ!?」 「おい!?落ち着けって!?」 戦慈が叫びながら、立ち上がる。 ヒーロー達は慌てて離れて声を掛けるが、戦慈の耳には届かない。 歯軋りしながら唸る戦慈は周囲を見渡し、今にも飛び出しそうだった。 そこにミルコや里琴を背負ったヒョウドル達が駆けつける。 「おい!?スサノオ!!もう終わったぞ!」 「もういいのよ!!落ち着きなさい!!」 「ヅゥウアアアアア!!」 「くそっ!」 「どうすれば!?」 ミルコ達の声も届かず、戦慈は足を踏み出す。 それにミルコ達は顔を顰めて、どう抑え込むかを考える。 「……戦慈」 その時、里琴が声を上げる。 それに戦慈はピクリと反応し、動きを止める。 「……終わった。 ……もういい」 「ウウゥ……グゥ…アァ……」 里琴の声を理解したように、少し唸った戦慈は両膝を突く。 そして体が元に戻り、ゆっくりと前に倒れる。 「スサノオ!」 ミルコが近寄り、声を掛けながら状態を確認する。 「……気絶してやがるな」 「……そう、よかったわ。 流石ね、シナトベ」 「……ん」 ミルコの言葉に聞いていた全員がホッとする。 ヒョウドルは里琴に声を掛けて、里琴は無表情のまま頷く。 「それにしても……厄介な相手だったわねぇ」 「全くだぜ。 って、ブラスタの奴は何でいたんだよ」 「そういえば……」 ミルコとヒョウドルはブラスタの存在を思い出し、周囲を見渡す。 すると、黒い短髪を逆立てた男がミルコ達に歩み寄ってくる。 男の右脇にはブラスタのヘルメットが抱えられている。 「お、ブラスタ!って、なんだ?随分ボロボロだな」 「黙れ!助けに来てやった者への第一声がそれか!?」 「わりぃわりぃ。 いや~、実際来てくれて助かったぜ!」 「それにしてもどうしてここに?」 ミルコは後頭部を掻きながら、ブラスタに謝罪する。 ヒョウドルは首を傾げて、ブラスタに質問すると、ブラスタは顔を顰める。 「……休暇だ。 家族で偶々広島に来ていただけだ」 「相変わらず家族大好きね。 それが何で?」 「黙れ!!息子に頼まれたから来てやっただけだ!!……まぁ、来て正解だったようだがな」 ブラスタは僅かに顔を赤くして怒鳴り、最後は顔を鋭くして現場を見渡す。 それにミルコとヒョウドルも真剣な表情で頷く。 「マジで助かった。 お前が来なかったら、流石に誰か死んでたかもな」 「そうね」 「奴らが雄英を襲撃した敵連合とかいう連中か?」 「みたいね」 「ちっ!気に入らんな。 結局、1人も捕らえられず暴れられただけではないか……!」 ブラスタは顔を苦々しく顰めて、吐き捨てる。 そこにアルコロが駆けつける。 「ミルコさん!!ヒョウドルさん!!スサノオ君とシナトベさんの救急車が来ました!!お2人も一度病院に!!」 「サンキュ、アルコロ」 「あなたもご苦労様。 あなたも付き添ってちょうだい」 「はい!」 「ブラスタはどうすんだ?」 「ふん!俺は問題ない。 家族と連絡を取って、勝手に帰らせてもらう」 「分かった。 今回はマジで助かった。 この借りは返すぜ」 「ふん……まぁ、覚えておこう」 ブラスタはミルコ達に背を向けて歩き去っていく。 ブラスタを見送ったミルコ達は、駆けつけた救急隊員に里琴を渡し、病院へと付き添い検査と治療を受ける。 里琴は右腕の骨折と全身打撲。 ミルコは両脚の疲労骨折。 戦慈は両腕の粉砕骨折、肋骨の骨折、全身ヒビだらけ、全身打撲、筋肉と靭帯の酷使。 少なくとも数日は入院と診断された。 「とりあえず雄英に連絡して、リカバリーガールを呼んでもらったわ」 「おお!ありがてぇな」 「私は一度現場に戻るわ。 被害状況を確認したいしね」 「おう」 「シナトベ。 今日はスサノオの所には行かずに大人しくしてなさい。 明日の朝には会えるから」 「……ん」 ミルコと里琴は同室、戦慈は個室で絶対安静状態である。 そしてヒョウドルは病室を後にする。 外で待機していたアルコロも、ヒョウドルの隣に駆け寄る。 「はぁ~……全員逃がしたのは痛いわねぇ」 「そうですね。 どこまで計画通りだったのかが分かりません」 「そうなのよねぇ。 失血死事件がエルジェベート、暴行殺人は恐らくマスキュラーだわ。 けど、そうなるとスサノオ達を狙ってたにしては、かなり前から広島で活動してたことになるわ」 「普通は身を隠しますよね?見つかる可能性もあるわけですし。 そうなったらせっかくの計画が水の泡になっちゃいます」 ヒョウドルはアルコロの言葉に頷く。 「正直、あの脳無って奴だけでも厄介だったのは変わらないけどねぇ。 ……脳無がどうだったのかってことよね。 スサノオ狙いだったのか……」 「動き的にはそんな感じでしたね」 「だからマスキュラーは、ここで声を掛けた可能性があるわね。 エルジェベートが偶々か、エルジェベートがいるところに脳無が来たのか…か。 はぁ~……思ったより厄介な組織みたいねぇ。 敵連合は……ん?」 ヒョウドルは考察を続けていると、携帯が震えたことに気づく。 携帯を取り出し、操作するとメールが届いており、メールを開く。 その中身を読むと、 「なんですって!?」 「うわぁ!?」 ヒョウドルが目を見開いて大声を上げる。 それにアルコロが驚いて飛び上がる。 「ど、どうしたんですか?」 アルコロが胸を押さえてヒョウドルに訊ねるが、ヒョウドルはもう一度確認するようにメールを見る。 「ヒョ、ヒョウドルさん?」 「……ミルコのところに戻るわよ!」 「え!?は、はい!」 ヒョウドルは顔を険しくして、来た道を戻る。 アルコロは訳が分からぬまま、それに追従する。 「あ、あの……ヒョウドルさん?」 「東京でも脳無の襲撃があったらしいわ。 それも3体」 「え!?」 「でも、それ以上にヤバいことがあったわ」 「そ、それ以上……!?」 「ヒーロー殺しよ」 「……え?」 「脳無の出現と同時にヒーロー殺しも出たのよ!つまり敵連合とヒーロー殺しは手を組んでいた可能性がある!」 ヒョウドルの追い詰められた表情と聞かされた内容に、アルコロは心臓が破裂しそうだった。 「オールマイトと雄英生に返り討ちにされた雑魚集団と思われていた連中が、捕縛されたとはいえヒーロー殺し、それにエルジェベート、マスキュラー、そして脳無とかいうバケモノを抱えている。 この事実が広がれば……単独で動いていた凶悪ヴィランやずっと我慢していたヴィラン予備軍の奴らが動き出すわ!!そして、これはもう止められない!!あれだけ暴れたんだもの!!」 「……そ、そんな……!?」 「やられた……!連中の狙いはこれだったんだわ……!スサノオ達なんて、ついででしかなかったのよ!」 ヒョウドルは歯が砕けそうなほど強く歯を食いしばる。 自分達が戦った敵の想像以上の巨大さと狡猾さに、恐怖さえ感じ始めている。 「それどころか、雄英襲撃さえも……このための布石でしかなかったの?冗談じゃないわよ……!?そんなこと考えるなんて普通じゃないわ!そんな連中にヴィランが集まる?どんなことをしでかすか想像もしたくないわ……!!」 ヒョウドルは自分達の失敗を痛感する。 エルジェベートかマスキュラーのどちらかでも捕縛しておかなければいけなかった!と。 もちろん、そんなことが出来る状況ではなかったとは分かっている。 それでも、今回の逃走を許したのは、更なる大きな被害に繋がるかもしれなかった。 これ以上被害を出さないように、早く対策を考えなければ! そう強く思い、ミルコの元へ向かうヒョウドル。 しかし、その思いは無残にも、打ち砕かれることになるのだった。 もちろん、そんなことは誰も知る由もない。 コスチュームは、全身ロボットスーツ。 両腕両脚は青く、頭部・胴体・手足は白い。 全身に輝くラインが通っており、普段は白い。 ブラストヒーロー。 担当地区は岡山。 ヒーロービルボードチャートJP:14位。 エンデヴァーのように高圧的な態度を取ることが多く、好感度は両極端。 強さは求めているが、別にオールマイトを意識しているわけではない。 結婚してからは家族を守るために、強くなるようになったそうな。 妻・息子・娘がおり、家族にはツンデレ。 家族サービスも欠かさない。 それを知っている者はブラスタに好意的だが、一般人は素顔を知らない者が多いので、家族サービス中のブラスタを見ても気づかない。 なのでいまいち人気が伸びない。 『個性』:《エネルギー波》 全身からエネルギー波を放出する。 しかし指向性を持たず、発動すると全身から全方位に放射する爆弾でしかない。 スーツはそのエネルギー波を動力源としている。 スーツ内部でエネルギー波を放出して、それを吸収することで、攻撃と飛行を可能にしている。 そのためスーツには常時かなりの負荷が掛かっており、長時間使用するとオーバーフローで爆発する。 そのため、肉弾戦が少し苦手。 スーツ内で流れているエネルギー量とスーツ臨界点を示すように、ラインなどの色が変わる。 『ファイナル・フラッシュ』と言う必殺技があるが、ぶっ放した瞬間にどんな状態でもスーツが壊れるため、中々使えない。 スーツが壊れると、自爆以外出来なくなる(そのため体も鍛えているが、『個性』無しでは限界があるため活かしきれない)。 ブラスタの妻は、コスチューム開発会社の社長にして天才発明家。 ブラスタのスーツはもちろん、飯田兄弟や庄田、青山、骨抜のコスチュームも手掛けている。 つまり、夫婦そろって超金持ち。

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夢 (小説)

ブラスタ 夢 小説

「スターレスにいるのは己の欲望に忠実な人間が多いからね。 それに皆自分に素直だ、良い意味でも、悪い意味でも。 」 彼女の反対側を歩いていたクーが苦笑ぎみに笑った。 「その点、確かにリンドウは良心的だ。 理性的とも言うべきかな。 」 「.... そう、見えますか?」 「はい。 とても!」 彼女が屈託なく笑う。 何の疑いもなく、信頼しきったような顔で。 そんな安心しきったように微笑みかけないで、だって僕はそんな良い人、じゃない。 このスターレスに馴染む、欲深い男なのだから。 表面上はね」 そう、本心を見透かすような小さなクーの呟きが耳を掠めて通りすぎていった。 テーブルに置かれた二つのジョッキ。 苦くて痺れるようで前は殆ど頼むことの無かったビール。 今はスターレスに来る度に頼むようになった。 彼と同じものを味わいたくて。 「ん、乾杯」 グラスが触れあう音がなる。 少しだけ口を付けたビールはやっぱり苦くてチラ、と彼を窺い見た、瞬間時がゆっくり流れるように視線が縫い付けられる。 少し重たく感じるジョッキを事も無げに持つその逞しい腕も、横から見ると更に際立つ厚みのある胸板も、ビールを飲む度上下するその首元にも、彼の全てに。 吐く息はうっすら白く雨の冷たさが余計に身体に染みた。 温かくてほんのり甘いカフェオレを一口飲んでほっと息を吐き出す。 暖かい店内、落ち着くジャズがゆったり流れる人気の少ない喫茶店。 外の寒さが嘘のような穏やかな時間。 私は目の前の席で静かに本を読むリンドウさんをチラリと盗み見た。 雨のせいかちょっと物憂げに見える端正な顔。 睫毛の影を落として本を読む姿は実に様になる。 ページをめくる指先が細くて優雅で暫く見惚れていた。 見つめ過ぎていたのか視線に気付いたリンドウさんがふわりと微笑んだ。 「どうかしましたか?」 「あ、いえ何でもないです。 只、凄く落ち着く場所だなあって」 「喜んで頂けたようで嬉しいです。 実はここ、僕の秘密のお気に入りの喫茶店なんです。 」 「そうなんですか?そんな秘密の場所に私なんかお邪魔してもよかったんでしょうか.... 」 「貴女はいつか、連れてきたいと思っていたので。 他の人には内緒です」 そう言ってリンドウさんはまた微笑んだ。 リンドウさんのお気に入りの場所。 私とリンドウさんしか知らない二人だけの秘密の喫茶店。 たまにはこんな日も悪くないな、なんてゆっくり流れる時間に身を任せてカフェオレを一口口に含んだ。 彼女のシャンプーの香りが自分の使ってるのと同じだってことだ。 会ったばかりの頃は甘いベリーの匂いだったのが、今は自分のと同じ爽やかなシャボンの匂いに変わっていた。 彼女が意識的に僕と同じシャンプーにし始めたということに僕はまだ気付いてない、と彼女は思ってる。 本当は気付いてるんだけど。 でも、あえて気付かないふりをする。 だって、そのまま他の所も僕色に染めて欲しいから。 彼女が自分から僕に染まってくれるなんてすごく.... いいじゃない? だから、今日も素知らぬふりして、良い匂いだね、だなんて彼女を抱き締めて束の間の眠りにつくんだ。

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